Web会議の「解像度」「フレームレート」「帯域幅」の関係 ビデオの質を左右「Web会議」と「ビデオ通話」の帯域幅【中編】

Web会議のビデオ通話は帯域幅や映像の解像度によって変わる。理想的なビデオ通話を利用するために確認すべき要件とは。

2021年10月04日 05時00分 公開
[Irwin LazarTechTarget]

 社内で利用するWeb会議用の帯域幅(通信路容量)を決めるには、下記2点の検討が必要だ。

  • ビデオ通話の要件と、それを満たす帯域幅
  • 同時接続するWeb会議ツール数

ビデオ通話を左右する3つの要件

 ビデオ通話の帯域幅要件は、解像度と映像処理能力によって異なる。次の表は、一般的なビデオ通話の帯域幅要件を、解像度とフレームレート(fps:1秒当たりのフレーム数)別に示したものだ。解像度は画像に表示するピクセル数で精細さを表し、フレームレートはビデオ通話の映像処理能力を表す。

 以下の帯域幅要件は1画面の場合の数値であり、2画面や3画面の場合はこれより広い帯域幅が必要になる可能性がある。

表 ビデオ通話の帯域幅要件
帯域幅 解像度 フレームレート
384Kbps CIF(Common Intermediate Format) 30fps
512Kbps 4CIF 15fps強
768Kbps 4CIF 30fps
1Mbps HD720 15fps強
2Mbps HD720 30fps
4Mbps HD720 60fps
6Mbps HD1080 30fps
7Mbps以上 HD1080 60fps
CIFは352×288ピクセル、4CIFは704×576ピクセル、HD720は1280×720ピクセル、HD1080は1920×1080ピクセル

 これらの数値は、ネットワークの帯域幅を見積もる際の基準にすることができる。ただし使用するWeb会議ツールのコーデック(圧縮や復号の処理)や圧縮率、独自機能の組み合わせによって要件は変わるため、具体的な数値はWeb会議ツールのベンダーに確認する必要がある。

 表で示した帯域幅要件は、通信プロトコル「RTP」(Real-time Transport Protocol)のペイロード(パケットの付加情報を除いたデータ本体)のデータ量を前提にしている。IPネットワークの実際のトラフィックは、各種ヘッダの付加情報を含めるためこれよりも20%ほど大きくなる。そのため、1Mbpsのビデオ通話は実際には約1.2Mbpsの帯域幅を使用する。

 自社に必要な解像度とフレームレートを確かめるには、従業員のデスクトップPCやノートPC、会議室のWeb会議ツールを使って、実際にビデオ通話をしてみるのが早い。プロジェクターを使う場合は、実際にそれを使って十分な画質が確保できるかどうかを確認しよう。

 従業員がWeb会議の品質(安定性や音質など)に満足できないと、電話や出張など従来型のコミュニケーションに戻りかねない。品質とコストはトレードオフだ。従業員がHD1080、60fpsの品質を望むとしても、それに必要な帯域幅の確保にはコストがかかる。

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