「ServiceNow」採用でサイロ化を解消
“個別最適”が社内を崩壊させる? 弁護士ドットコムのワークフロー刷新の全貌
急速な組織拡大に伴うシステムの乱立や二重入力、業務の属人化は、企業の生産性を低下させる。非効率性に悩まされていた弁護士ドットコムが、分断された業務プロセスを解消し、構造的な課題を克服した手法とは。
急激な組織拡大に伴う社内システムの個別最適化は、業務効率を低下させる要因になりやすい。クラウドサービスの導入が進む一方で、システムごとに申請窓口が分散し、情報の二重入力や確認作業の手戻りが発生するという構造的な課題が企業でたびたび発生している。
法律ポータルサイトを運営する弁護士ドットコムも、同様の制約に直面していた。同社は従業員数が毎年数十人のペースで増加しており、システムが乱立してサイロ化を招いていた。申請手続きが複数システムに分散し、後続プロセスを手作業で処理する非効率や、特定の担当者に知見が集中する業務の属人化が深刻化していた。
この課題を解消するため、弁護士ドットコムは社内申請・承認ワークフローの統合システムとして「ServiceNow」を採用し、2026年5月に本格稼働を開始した。従業員向けの窓口を単一のポータルサイトに集約することで、二重入力や手戻りを排除し、業務効率化と従業員体験(EX)の改善を進めている。
今回導入されたシステム構成は、ServiceNowの「App Engine Enterprise」「Workflow Data Fabric Standard」「Employee Center ProPlus」という3つの製品群から成る。これらを連携させることで、フロントエンドの申請受付からバックエンドの承認・システム間連携までを一気通貫で処理する仕組みの構築を進めている。
従業員が直接操作するフロントエンドの画面には、統合セルフサービスポータルであるEmployee Center ProPlusを採用している。これまで管轄部門ごとに異なるシステムにログインして実施していた申請作業や、社内規定などの情報へのアクセスを、単一のインタフェースに順次集約させている。利用者はシステムの裏側の構成を意識することなく、1つの窓口から必要な手続きを完結できる。
バックエンドの業務プロセス構築においては、ローコード/ノーコード開発ツールとしてApp Engine Enterpriseを活用している。同製品はカスタムアプリケーションを開発する際の制限が少なく、業務の実態に即した複雑な承認ワークフローを設計できる自由度がある。
システム間のデータ連携と処理の自動化を担うのがWorkflow Data Fabric Standardだ。社内で利用されている各種の国産SaaS(Software as a Service)などの外部システムとAPIなどを介してシームレスに接続し、部門間にまたがる分断されたデータフローをつなぎ合わせる役割を持つ。
弁護士ドットコムがServiceNowを選択した判断軸は、自社の内製開発チームが主体となって継続的な改善を回せる「拡張性」と「開発の容易さ」にある。同社は最初から大規模な全社導入に踏み切ったわけではない。2025年1月の段階で、まずはPoC(概念実証)を兼ねた1年契約で導入を開始した。実際の運用を通じて、ローコード/ノーコード開発ツールを用いた内製開発との親和性を実証した上で、2026年1月の契約更新時に製品構成を拡張し、本格稼働へと移行するという段階的なアプローチを採っている。導入を支援する農中情報システムからライセンス提供と技術的なサポートを受けつつも、開発の主体はあくまで自社のエンジニアリングチームに置いている。
この仕組みは、従来の一般的なシステム構築アプローチとは設計思想が根本的に異なる。従来のITツール導入では、各業務部門が抱える目先の課題を解決するために個別の専用ツールを導入するケースが多く、結果としてシステムが乱立する「個別最適」に陥りやすかった。各システムが連携せずに分断されているため、部門をまたぐ処理が発生した場合、人間がデータをダウンロードして別のシステムへ手作業で転記する中間作業が発生し、それが属人化や人為的ミスの温床になっていた。
ServiceNowのアーキテクチャは、システムを個別に切り離して構築するのではなく、共通のクラウドインフラでデータとワークフローを一元管理する「全体最適」を前提としている。全てのアプリケーションやデータは単一のデータモデルで動作するため、情報の二重入力が発生せず、申請が現在どの承認ステップにあるのかといった状況もリアルタイムで把握できる。
弁護士ドットコムは新システムの契約から4カ月で一部の申請業務を先行稼働させており、2026年中に社内申請プロセスの全面稼働と標準化を見込んでいる。今後はWorkflow Data Fabric Standardを活用した外部システムとのリアルタイム連携をさらに深め、これまで人間が介在していたデータ転記や確認作業の完全な自動化を進める。情報の鮮度と正確性を維持しながら、申請から処理完了までの所要時間を短縮し、年間数十人規模で従業員が増加する同社の事業成長に耐え得る、堅牢で効率的な社内管理体制の整備を進める計画だ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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