正社員の残業を月10~20時間削減
熟練者の記憶頼みから脱却 2000種の部品ピッキングミス「ほぼゼロ」の副産物は
兼松エンジニアリングは、業務における属人化解消と残業時間の削減に向けて、自社の部品倉庫に「VoiSol Smart」を導入した。その結果、働き方改革まで実現したという。何があったのか。
約2000種類の部品の保管場所を熟練者が記憶し、その経験を頼りにピッキングする――。こうした属人的な倉庫作業をシステム化し、ミスをほぼゼロまで減らした企業がある。
特殊車両や環境整備機器を製造する兼松エンジニアリングは、サトーのウェアラブル音声ナビゲーションシステム「VoiSol Smart」を自社の部品倉庫に導入した。サトーが2026年9月9日に発表した。
VoiSol Smartを導入した結果、約2000種の生産用部品を対象に、棚入れや棚卸し、ピッキング、出荷業務を標準化。経験の浅い従業員でも作業できる体制を整え、正社員1人当たりの残業時間を月間約10~20時間削減したという。同社はさらに、もう1つの成果を挙げることができた。
属人化の解消と残業時間の削減以外に得られた効果は
兼松エンジニアリングの部品倉庫では、自社の組立工場で利用する生産用部品と、既存ユーザー向けの修理用部品を保管、出荷している。倉庫で課題となっていたのが、ピッキング業務の属人化だ。
従来は棚に部品名を表示しておらず、熟練した作業者が自身の記憶を頼りに必要な部品を探していた。そのため経験の浅い従業員は、熟練者から指示を受けながら作業する必要があり、指示待ちやピッキングミスが発生していた。
ミスが起きれば、再作業に数時間を費やす場合もあったという。さらに、単独でピッキングできるようになるまでの教育には半年以上を要していた。部品の場所を人が覚えていることから、棚の配置を容易に変更できないという問題もあった。
音声と画面で「どの棚へ行くか」を案内
こうした課題を解消するため、兼松エンジニアリングはVoiSol Smartを導入した。作業者はスマートフォンの画面に表示される棚の位置や色と音声ガイダンスに従って移動する。部品の配置を事前に記憶していなくても、対象となる棚にたどり着ける仕組みだ。複数の注文を同時に処理する場合は、出荷先ごとに色を分けて画面に表示する。
さらに、棚札に付けた2次元コードを読み取ることで、対象となる部品と保管場所が一致しているかどうかを確認する。誤った操作をした場合には警告音が鳴るため取り間違いを防ぐことができる。
こうした仕組みによって、新人や繁忙期に加わる従業員でも、ピッキング作業に即日対応できるようになり、ピッキングミスは「ほぼゼロ」になったという。
正社員3人+派遣3人の体制も見直し
作業の標準化は、人員配置にも変化をもたらしたという。従来、ピッキング業務は正社員3人と派遣社員3人で担当していた。VoiSol Smartの導入後は、派遣社員を中心にピッキングを担当できる体制へ移行した。
その結果、経験を積んだ正社員は出荷前の検品など、経験や判断が求められる業務へ集中できるようになった。誤出荷リスクの低減に加え、他業務へ人員を振り向けることも可能になり、正社員1人当たりの残業時間は月間約10~20時間削減したという。
棚卸し業務もシステム化した。実際に数えた在庫データとシステム上の理論在庫との照合作業までをVoiSol Smart上で実施できるようになった結果、棚卸しの作業速度と精度は向上した。
電子ペーパーではなく「音声」を選んだ理由
兼松エンジニアリングはツールの導入を検討する際、棚に電子ペーパーを設置する方法も候補として挙げていた。ただし電子ペーパーは、定期的な電池交換や機器ごとの設定作業が必要になる。一方VoiSol Smartは、2次元コードを印刷したラベルを棚札として取り付ければよい。
VoiSol Smartを選んだ最大の決め手について、兼松エンジニアリング 部品部 WEBサポート課 チーフの森尾 涼氏は、音声ガイダンスと、誤操作時に警告音を出す機能だったと説明する。
試験運用した際、作業者からも音声ガイダンスへの支持があった。当初は300アイテムで導入する予定だったが、社内での評価を受けて対象を2000アイテムまで拡大して本格運用を開始したという。
本稿は、サトーが2026年9月9日に公開したサトー、兼松エンジニアリングの物流倉庫作業を「VoiSol® Smart」で標準化 約2,000種の部品ピッキングでミスをほぼゼロに、属人化解消と残業時間削減を実現を基に作成しました。
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