慣れ親しんだ表計算ソフトウェアからの移行
“マクロ依存”からの脱却 オートバックスの「Google Workspace」移行事例
表計算ソフトウェアとマクロで現場の業務を効率化するだけでは、企業が掲げる成長目標に追い付かない場合がある。現場の不安や反発に配慮しつつ、AI前提の業務システムへと移行を進めるオートバックスの事例を紹介する。
企業が非連続的な事業成長を目指すとき、既存の業務プロセスの延長線上では限界が訪れる。カー用品販売店を展開するオートバックスセブンは、2032年度までに売上高を2022年度の2362億円から5000億円へと拡大する目標を掲げた際、この課題と向き合うことになった。同社では長年、マクロを駆使した表計算ソフトウェアによる緻密な業務自動化が、現場の効率化に寄与してきた。
そうした中オートバックスセブンは、さらなる事業成長に向け、「Google Workspace」を中核に据えるとともに、生成AI「Gemini」を組み込んだ業務システムへの移行を決断する。当然現場からは、「慣れ親しんだマクロや表計算ソフトウェアが使えなくなるのではないか」という懸念や反発の声が上がった。
専門業務への配慮を残しながら、同社はいかにして現場の移行を支援し、業務の在り方を変えているのか。その実例を紹介する。
「脱・表計算」への反発を覆す
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Google Workspaceの活用
カー用品の専門店を展開するオートバックスセブンは、Googleのグループウェア「Google Workspace」を中核とする業務システムへの移行を進め、生成AI「Gemini」を活用している。従来は30分から1時間かかっていた報告資料の作成が、Geminiへの指示で2〜3分に縮んだ。2026年10月9日、Googleが事例を公開した。
オートバックスセブンは、グループ全体で、2022年度に2362億円だった売上高を、2032年度に5000億円まで広げる目標を掲げる。長年、オフィスツールを全社の業務システムとして使い、マクロを駆使した表計算ソフトウェアによる緻密な業務自動化で、現場の効率化を推し進めてきた。ただ、目標の達成には、従来の業務プロセスや働き方の延長線上にとどまらない変革が必要と判断し、生成AIを活用した業務プロセスの改革を決めた。既存ツールのライセンス更新に伴う費用の見直しや、追加費用をかけずにGeminiなどの生成AI機能がグループウェアに含まれる点も、後押しになった。現場からは、慣れ親しんだマクロや表計算ソフトウェアが使えなくなるのではないかという懸念や、強い反発の声も上がったが、Google Workspaceを中核とする業務システムへの移行を決めた。
グループのDX推進を担うオートバックスデジタルイニシアチブ(ABDi)が、他社の事例の知見を取り入れ、段階的に移行を進めた。法務部門の契約書の作成、財務・経理部門のフォーマットの維持、営業部門の複雑なマクロ計算といった専門業務には配慮しつつ、多くの業務を、「Googleスプレッドシート」や「Googleドキュメント」に置き換える方針を定めた。社内ポータルとチャットbotによる相談窓口を整え、ABDiの開発チームが、現場の移行を支援する体制を築いた。
業務の在り方を変える起爆剤になったのが、Geminiと「Gemini Notebook」だ。「Gmail」での予定の確認、関連資料の横断検索、月次の報告資料の作成にGeminiを使う。関数などを駆使して、30分から1時間かけていた集計と作成が、2〜3分で終わる。Google Meetの文字起こしと要約で、オンライン会議の決定事項とタスクの整理を自動化した。店舗運営に関わるシステム仕様書、マニュアル、過去の変更履歴は、Gemini Notebookに集約した。異動者や新入社員に、一から口頭で説明していた引き継ぎは、Gemini Notebookに質問すれば、すぐに答えが得られる体制になった。会議の準備に必要な資料も、Gmailや「Googleドライブ」を横断して探せるようになった。
使い始めの時点では、対象者全体の約50%が、従来の表計算ソフトウェアの継続を望んでいた。最終的には、表計算ソフトウェアの利用を約25%に絞り、それ以外はGoogleスプレッドシートに移す計画だ。今後は、ABDiが中心となり、先行して使って得たGeminiとGemini Notebookの活用ノウハウを全社に広げ、全従業員が自然にAIツールを使いこなす体制を整える。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「オートバックスセブン、Google Workspaceで報告資料が2〜3分に」(2026年10月15日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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