「HENNGE One」採用
Microsoft 365移行で露呈した標準機能の限界 地方銀行は上長承認や「脱PPAP」をどう実現?
クラウド型メールシステムへの移行時、標準機能だけでは厳格なセキュリティ要件を維持できない場合がある妥協すれば情報漏えいリスクを招く。この課題に対し、山梨中央銀行はどのような代替手段を選んだのか。
組織内外をつなぐシステムをクラウドサービスに刷新する際、従来の運用ルールと新しい標準機能の間に生じるギャップが、情報システム部門を悩ませることになる。山梨中央銀行は、業務システムの全面的な刷新に伴って、メールシステムを「Microsoft 365」内の「Exchange Online」に乗り換えた。従来のシステムが抱えていた保存容量の不足やシングルサインオン(SSO)の未適用、社用スマートフォンからメールボックスを閲覧できないといった制約の解消が目的だった。
移行によって利便性の向上を図る一方で、金融機関として妥協できない要件が存在した。対外メール送信時の上長承認ルールや「脱PPAP」(PPAP:パスワード付きZIPファイルをメールで送り、別メールでパスワードを送る共有方法)といった、従来の厳格なセキュリティ運用を維持することだ。
検証の結果、Exchange Onlineの標準機能だけでは設定の自由度が低く、既存の厳格な運用をそのまま再現するには、機能を補完する専用ツールが必要なことが判明した。同行はいかにして、セキュリティ要件とクラウドサービスならではの利便性を両立させたのか。
「標準機能の限界」と自組織に合う補完ツールの見極め方
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Microsoft 365のセキュリティ対策
山梨県内唯一の地方銀行、山梨中央銀行は、情報系システムのMicrosoft 365への移行に合わせて、HENNGEのクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」を使い始めた。対外メールの上長承認や脱PPAPなど、従来のセキュリティの水準を保ちながら、スマートフォンからの承認などの利便性を高めた。標的型攻撃メール訓練は、外部委託から内製に切り替えた。2026年10月14日、HENNGEが事例を公開した。
山梨中央銀行は、「山梨から豊かな未来をきりひらく」をパーパスに、中期経営計画でDX(デジタルトランスフォーメーション)を変革ドライバーの一つに掲げる。2023年に勘定系システムをクラウドサービスに切り替え、10年以上にわたって、内製開発の体制を築いてきた。
情報系システムの更改に伴うMicrosoft 365の採用に合わせ、メールシステムを、Exchange Onlineへ移した。旧メールシステムの保存容量の不足、SSOの未適用、社用スマートフォンから閲覧できない点を、解消するためだ。旧メールシステムでは、対外メールの上長承認や脱PPAPを実施しており、その維持が大前提だった。Exchange Onlineの標準機能では、設定の自由度に限りがあり、補完するサービスが必要だった。
選定では、Microsoft 365との連携性を評価した。構築ベンダーからも推奨を受けた。決め手は、標的型攻撃メール訓練の「HENNGE Tadrill」や、脅威対策の「HENNGE Cloud Protection」などを、同じシステム内で活用できる拡張性だ。将来にわたって、必要な機能が提供され続ける期待もあった。Microsoft 365と別のシステムを並行して展開すると、社内の負担が大きくなるため、まずMicrosoft 365を先行させ、1年ほど間を置いてから、メールの移行に合わせてHENNGE Oneを使い始めた。行員向けの説明会は開かず、切り替えの手順を図解で案内しただけで、おおむね円滑に移れた。
標的型攻撃メール訓練は、従来、年2回、外部ベンダーに委託していた。不審なメールを受信した行員が電話で報告し、担当者がヒアリングするため、訓練期間中の負荷が大きかった。Tadrillは、手順書に沿えば自分たちだけで実施でき、テンプレートも豊富だ。日程調整の手間と、実施ごとの費用の心配もなくなった。誰がいつ何回メールを開いたかのレポートと、営業店と本部といった部署別の集計が得られ、報告資料や注意喚起の作成工数が減った。通報は外部のSOC(セキュリティオペレーションセンター)に直接届く流れに変え、対処が速くなる。
メール誤送信対策の「HENNGE Email DLP」では、対外メールを例外なく上長の承認を経て送るルールを、そのまま再現できた。スマートフォンでも、SSOで簡単にログインでき、承認の申請から上長の承認までが可能で、現場で好評だ。脱PPAPは、「HENNGE Secure Download」の添付ファイルURL変換機能で継続している。宛先が一定数を超えると自動でBCCに切り替わる機能で、一斉送信時のメールアドレスの漏えいリスクを低減している。大容量ファイルは、CDの送付や取引先のストレージの借用が必要だったが、「HENNGE Secure Transfer」で、安全に送受信できる。この他、「HENNGE Cloud Protection」でMicrosoft 365の脅威対策を、「HENNGE Email Archive」で全行員分のメール保存を補っている。
山梨中央銀行システム運用課の山田翔一氏は「利便性とセキュリティ強化の両立を、これからも追求する」と話す。SaaS(Software as a Service)の利用が広がる中、メールは攻撃の主要な侵入経路で、対策の手を緩められないという。HENNGEには、脅威や対策の変化に応じて、進化を続けることを期待する。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「山梨中央銀行、メールセキュリティをHENNGE Oneへ 訓練を内製化」(2026年10月15日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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