よりよい体験を提供するために
音声、AR/VR、そして5G 次世代モバイルテクノロジーが職場を変える
企業の従業員はますます充実したモバイルユーザーエクスペリエンス(UX)を職場に期待している。そうした要望に応えるためにはさまざまな新しいテクノロジーが役に立つ。
テクノロジーの進歩により、企業は高度な次世代モバイルUXを従業員に提供できるようになってきている。
企業のモバイル環境は進化しており、もはやWebサイトのモバイル対応やセキュアブラウザ経由のイントラネットアクセスにとどまらない。顧客や従業員の要望に応えるには、状況に応じた予測的モバイルUXも求められる。魅力的なモバイルUXを構築するための環境は、端末やプロセッサやソフトウェアの進歩によって変わってきた。
端末が異なっても一貫した体験を提供する
今日ではOSの異なる端末間をシームレスに切り替えられることが求められる。AppleとSamsungは、PCからスマートフォンまで幅広い種類の端末を連動可能にする取り組みを進めている。DellなどのPCメーカーも、ショートメッセージなどの機能をPCで表示するソフトウェアを開発している。コンテキストの維持はこれまでも重要だったが、必要不可欠の要素になった。
だが、これからのUXには、単に各端末に同じ情報を表示するだけでは不十分だ。スマートウォッチにアプリケーションの全ての機能を詰め込んだのでは使いにくい。効果的なモバイルUXを実現するには、適切な情報を適切な画面に表示して、目の前の仕事を遂行できるようにしなければならない。アプリケーションの開発者は、どの端末にどのようなデータとどのようなワークフローが必要か見極める必要がある。例えば、音声入力機能はPCにも搭載できるが、ハンズフリー操作を必要とすることの多いモバイル端末に搭載する方が有用性は高い。
データ入力方式の進化
データ入力方式の進化もモバイルUXの向上に寄与している。
第1の波を起こしたのはタッチパネルだ。ペン、ジェスチャー、ドッキングステーション、音声入力も登場した。スマートフォン用スタイラスと手書き入力ソフトウェアもこうしたツールをさらに便利にしている。
AR(拡張現実)/VR(仮想現実)グラスにも企業の注目が集まり始めている。拡張現実は現場サービスや製造、小売りの分野で活用されている。例えば、ChevronはMicrosoftの「HoloLens」を従業員の設備訓練や遠隔検査に活用している。
Samsungの「DeX」ドッキングステーションは、スマートフォンにキーボードとマウスをつないでPCのように使うことができる。
音声とチャットbotによる会話型インタフェース
AmazonやGoogleなどのデジタル音声アシスタントは対話方式を大きく変えた。企業の人事部門はチャットbotを使って求人応募者の質問に答えたり、採用プロセスを改善させたりしている。SalesforceやSAPなど企業向けソフトウェアベンダー大手はサービスに音声を取り入れ、情報アクセスの利便性を高めている。
会話型インタフェースの導入には自然言語処理サービスが必要だが、それを効果的に活用するには、それまでに蓄積したデータを元に大量のトレーニングデータを入力しなければならない。また、言語の識別、場所や人、ブランド、イベントなどのキーフレーズの抽出、肯定的か否定的かの判別を行う感情分析サービスの導入も検討することができるようになった。このようなサービスでフィードバックをリアルタイムに分類し、問題の特定、市場ポジショニングの把握、フィードバックの優先順位付けなどに活用できる。
先進的なモバイルUXの開発では、単なる音声テキスト変換にとどまらず、ユーザーが必要としている情報を予測して提供する戦略を構築している。
端末本体の能力を高める新しいチップ
スマートフォンの処理能力と、Appleの「Core ML 2」やGoogleの「ML Kit」のような機能の登場により、アプリケーションに機械学習モデルを導入可能になった。エンドユーザーはネットワーク接続が不安定な環境でも高度な機能を利用できる。
例えば、Coca Colaは現場で設備を認識して修理を提案できる機械学習モデルの試験運用に取り組んでいる。
クラウドではなく端末本体で実行すれば、接続とレイテンシの問題を回避できる。ただし、アプリケーションの開発では端末のバッテリー消費を抑えながら複雑なモデルを実行できる設計を考える必要がある。
さまざまな改善につながる5G
新しい高速処理技術と分析モデルが端末本体で利用可能なサービスの幅を広げるのに対し、5G技術はネットワークを進化させる。
5Gでは複数の無線周波数帯を使用できるため、無線通信事業者はこれまでより多くの端末をインターネットに接続することができ、情報送信速度の向上と遅延の低減を実現できる。アプリケーション開発にリアルタイムのストリーミング動画を活用した公共の安全監視、保険用の目視検査、パーソナライズしたスポーツ動画配信なども可能だ。
新しいモバイルUXでは、ユーザーが自分でシステムから情報を引き出さなくても、過去の操作履歴や現在の状況に基づいてアプリケーションが必要な情報を予測する。こうした技術の進歩により、モバイルUXの世界は単にテキストを音声に変換するナビゲーションからデジタルオーバーレイや臨場感ある体験へと広がり、適切なタイミングで適切な情報を提供できるものへと進んでいる。
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