DX・AI推進の壁は「導入後」にあり
AI投資への危機感は世界一 それでも日本企業がDXで成果を出せない致命的理由
DEXソフトウェアベンダーNexthinkの調査によると、日本企業はAIの重要性への認識は高い一方、その価値を事業成果へ結び付ける仕組みや組織体制に4つの課題を抱えていることが明らかになった。
DEX(デジタル従業員エクスペリエンス)ソフトウェアベンダーNexthinkは、日本を含む5カ国のIT意思決定者を対象に、「日本におけるDXとAIの現在地」に関する調査を実施した。本調査は、日本のITリーダー層の意思決定やAI活用に対する考え方を他国と比較分析し、日本企業が抱える課題や今後の方向性を明らかにすることを目的としている。
調査結果を見ると、日本企業はAIの重要性に対する認識では世界でもトップクラスにある一方、その価値を事業成果へ結び付ける仕組みや組織体制には課題を抱えていることが分かった。ここでは、他国との比較から浮かび上がった日本固有の課題を4つ紹介する。
課題1.AIへの危機感は強いが、投資効果を測定できていない
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「AIに投資しなければ競争に敗れる」と回答した割合は、日本では90%に達し、全体平均の83%を上回った。調査対象5カ国(米国、英国、フランス、ドイツ、日本)の中でも最高水準であり、日本企業のAIに対する危機感の強さがうかがえる。
一方で、「AI投資の金銭的価値を正確に評価することに課題がある」と回答した割合は70%だった。全体平均は46%であり、日本は約1.5倍高い結果となった。
調査結果からは、AI導入の必要性は理解しているものの、その投資がどの程度の利益や生産性向上につながったのかを十分に把握できていない企業の実態が明らかになった。Nexthinkは、その背景としてレガシーシステムによるデータの分断が、AI投資の追跡や成果の可視化を構造的に困難にしている可能性を指摘している。
課題2.IT部門がビジネス成果との関係を説明できていない
「IT部門が自らの業務と他部門のビジネス成果との関連性を説明できる」と回答した割合は、日本では88%だった。数値自体は高いものの、全体平均の95%を下回り、調査対象国の中では最も低かった。
AI時代には、IT部門はシステムを運用するだけでなく、事業成長への貢献を経営層へ説明する役割も求められる。しかし、日本企業ではITの成果とビジネス成果を結び付けて示す取り組みが、他国ほど進んでいないことが示された。
課題3.AIへの期待は高いが、認識と実行の間にギャップがある
日本では、「AI・自動化の専任組織が必要」と回答した割合が84%と、全体平均の73%を上回った。AI活用を推進する組織の必要性についても、高い認識を持っていることが分かる。
その一方で、「生産性を阻害する要因を特定できる」「デジタルアダプションにおいて支援が必要なユーザーを特定できる」といった項目は高水準ではあるものの、調査対象国の中では相対的に低い結果となった。
調査結果からは、AIの必要性に対する認識は高い一方で、実際の成果創出には課題が残っていることが示された。
課題4.人事部門とIT部門の連携不足がDX推進の障壁になっている
人事部門(HR)とIT部門の連携についても、日本企業は他国に比べて課題があることが分かった。「HRとITの業務統合の準備が整っている」と回答した割合は33%で、全体平均の44%を下回った。一方、「HRとITのコミュニケーション不足が最大の課題」と回答した割合は61%となり、全体平均の52%を上回った。
AIを業務へ定着させるためには、システム導入だけでなく、人材育成や業務改革も同時に進める必要がある。しかし、部門間の連携不足によって、その取り組みが十分に進んでいない実態が明らかになった。
求められるのは「AI導入」から「AI活用成果の可視化」への転換
今回の調査から、日本企業はAIの必要性については世界でも高いレベルで認識している一方、その投資効果の可視化やビジネス成果との結び付け、組織横断的な運用体制の構築に課題を抱えていることが分かった。
今後、情シスやITリーダーには、AIを導入すること自体ではなく、「どの業務でAIが成果を生み出しているのか」を継続的に測定し、経営判断へ反映できる仕組みづくりが求められるだろう。
本調査はVanson Bourneが担当し、2025年8月~9月にかけて実施。1100人が回答した。
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