大企業の引継ぎ、構造的な課題は
業務引き継ぎで困ったこと 大企業200人調査で判明した課題の第1位は
taiziiiは、大企業の管理職200人を対象にした「業務引き継ぎに関する実態調査」の結果を発表した。引き継ぎの課題を尋ねたところ、「全体像がつかめず」が38.0%で第2位だった。
引き継ぎ資料はそろっているのに、担当者が代わった途端に業務が滞る。大企業でも、そんな場面は珍しくない。AIを活用した業務改善コンサルティングなどを手掛けるtaiziiiは2026年8月6日、大企業の管理職200人を対象にした「業務引き継ぎに関する実態調査」の結果を発表した。引き継ぎで困ったことの第2位は「全体像がつかめず」で38.0%。では、最も多くの管理職が挙げた第1位は何だったのか。
引き継ぎの課題第1位は?
調査は2026年2月24日~3月6日、従業員1000人以上の大企業に勤務する課長職以上の管理職200人を対象にインターネットで実施した。
業務の引き継ぎで困ったことや課題を複数回答で尋ねたところ、最多は「暗黙知が共有されず」の79件(39.5%)だった。次いで「全体像がつかめず」が76件(38.0%)、「資料が古い・不十分」が68件(34.0%)、「十分な期間なし」が65件(32.5%)だった。
この他、「人間関係が途切れた」が58件(29.0%)、「前任者頼みの業務」が57件(28.5%)が続いた。上位6項目はいずれも回答率が28.5%を超えており、引き継ぎの課題が複数の領域にまたがっていることが分かる。
引き継ぎ方法の最多は「口頭」と「既存マニュアル」
実際にどのような方法で引き継ぎを実施したかを複数回答で尋ねた結果、「口頭での説明」と「既存マニュアル共有」がそれぞれ107件(53.5%)で最多だった。
「資料の新規作成」と「OJT」はそれぞれ89件(44.5%)。口頭での説明や既存資料、OJTといった従来型の手法が、現在も業務引き継ぎの中心になっていることが示唆されている。
一方、デジタル技術などを使って知識を記録、共有する方法の利用率は低い傾向にあることが調査から分かった。引き継ぎの方法を尋ねた質問では、「専用ツール」が15件(7.5%)、「動画・音声」は12件(6.0%)で、いずれも1割未満だった。「外部研修」は5件(2.5%)だった。
taiziiiは、こうした引き継ぎ方法と課題の調査結果を関連付けて考察している。口頭での説明では、話し手がその場で思い出した内容に情報が限られやすく、既存マニュアルも文章として残された情報しか伝えられない。そのため、判断の背景や業務のつながりといった言語化しにくい情報が十分に残らない可能性があるという。
「不十分なマニュアル」に頼る引き継ぎ
既存マニュアルの状態にも課題があることが調査から示された。既存マニュアルの課題を尋ねたところ、回答者の74.0%は既存マニュアルを「不十分」と回答したという。一方で、引き継ぎ方法として「既存マニュアル共有」を挙げた割合は53.5%に上った。
つまり、多くの企業がマニュアルの不足を認識しながら、そのマニュアルを主要な引き継ぎ手段として利用している状況がうかがえる。
特に暗黙知は、手順だけを文書化しても残しにくい。ある状況でなぜその判断をしたのか、例外時にどこを確認するのか、誰と調整する必要があるのかといった情報は、担当者の経験の中にとどまりやすい。
taiziiiは、暗黙知や業務の全体像に関する課題が上位を占める一方、専用ツールや動画・音声の利用が広がっていないことから、知識の言語化や記録を支援する仕組みを引き継ぎプロセスにどう組み込むかが改善の論点になるとしている。
今回の調査対象は、製造業が32.5%、情報通信業が15.0%、金融・保険業が12.5%、サービス業が10.5%、その他が29.5%。年齢構成は30代以下15.5%、40代33.0%、50代33.5%、60代以上18.0%だった。
本稿は、taiziiiが2026年8月6日に公開したプレスリリースを基に作成しました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] AIランサムウェアに勝つ 自律型エンドポイント管理導入で確認すべき条件4つ -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] 研究分野でAI活用が進まない? 真の成果につなげるデータ管理の在り方とは -
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
2
デンソークリエイト、Excelからの移行も簡単に行えるプロジェクト管理ツールを発表
-
3
VMware離れの決め手は“機能”以外だった 情シス109人が選んだ新基準と死角は
-
4
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
5
二極化する生成AI活用 「一部の社員しか使いこなせない」をどう解消すべきか
-
6
「Apple Watch」、読者の95%は「仕事で使える」、5%は何に不満?
-
7
「クラウドDR」4大基礎用語 クラウドバックアップやDRaaSとの違いは?
-
8
Claude Opus 5.5、GPT-6 Sol/Luna登場 情シスが迫られるモデル使い分け
-
9
高機能化が進む“タブレット型電子カルテ”は次の段階へ
-
10
なぜ情シスは評価されにくい? 読者調査で見えた「成果が見えない仕事」第1位は
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
登録セキスぺが語る「SCS評価制度」の舞台裏 星を取得すべき理由と対応のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
OSSでは困難 100超のサービスを持つマネーフォワードが実践した統合監視術
-
4
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
7
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
8
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
9
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
10
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー