注目技術の行方
競争が激化するSD-WAN市場、2017年に注目すべき7つのトレンド
2016年はSD-WAN技術が飛躍的に進歩して普及に勢いが付いた。用途やサプライヤーの数も増えている。2017年のSD-WANの展望について7つのトレンドを紹介する。
ソフトウェア定義WAN(SD-WAN)はこの1年で多くの組織にとって信頼できる技術になり、SD-WAN経由で接続されたブランチの件数は数万規模になっている。
2017年はSD-WAN技術の進展とブランチ展開にとって再び記録的な年になりそうだ。それを念頭に、2017年に注目すべきSD-WANの7つのトレンドについて以下に紹介する。
1. エンタープライズスケールへの移行
2017年の間にSD-WANは小売りや金融サービスのような分散性の高い組織の多くで試験プロジェクトから本格展開へと移行する。組織がSD-WANのブランチ拠点を数十から数千へと移行させる場合、以下のような機能を提供するSD-WAN技術が必要になる。
- 導入済みのWANブランチネットワーク要素に統合できる機能
- ブランチでのゼロタッチプロビジョニング
- マルチベンダー環境との相互運用性を促進させる標準
2. 成熟した製品の提供
SD-WAN技術はハイブリッドWANアーキテクチャやサービスのような当初の機能を越えて急速に進展している。2017年は製品の成熟に伴い、バイヤーは以下のようなSD-WAN機能に注目する必要がある。
- 中央管理、オーケストレーション、管理機能の向上
- よりきめ細かい分析およびアプリケーションの可視化
- サードパーティーネットワークセキュリティと連携できる機能および内蔵のセキュリティ機能の向上
3. WAN最適化機能との融合
多くの組織は現在、特定の種類のWANトラフィックを圧縮、複製、高速化するWAN最適化アプリケーションの恩恵を受けている。2017年のSD-WAN技術は引き続き、内蔵あるいやオプションのWANアクセラレーション機能を提供することによって、WAN最適化機能を取り込み続ける。Riverbed Technology、Cisco Systems、Silver Peak、Citrix Systemsなど多数のWAN最適化サプライヤーが、今ではSD-WANサプライヤーと位置付けられている。
4. クラウドサービスへのオンランプ向上
IT組織は社内ITリソース増強のため、パブリッククラウドプラットフォームやアプリケーションの利用を急速に増やしている。このハイブリッドクラウドのアプローチにおいて、企業はアプリケーションのイノベーションや柔軟性のため、需要ピーク時のスケールに対応するため、そして冗長性や災害対策戦略のためのバックアップとしてパブリッククラウドを活用できる。
パブリッククラウドのトラフィックはSD-WANの需要を増大させてきた。だがSD-WANサプライヤーは、複数のクラウドプロバイダーやエンタープライズネットワーク間で高速かつ遅延の少ない接続を保証するため、その機能を拡張している。多くのSD-WANおよびクラウド企業が既に、CitrixとEquinix、ViptelaとMicrosoft Azureのような提携を発表している。2017年を通じてさらに多くのパブリッククラウドとSD-WANプロバイダーの提携が発表される見通しだ。
5. マネージドサービスの増加
マネージドサービスプロバイダー(MSP)が統合型コミュニケーションやアウトソーシング型WANと同様に、SD-WANオプションを提供するケースが増えている。WAN運営のシンプル化を望む多くの組織は、MSPが提供するSD-WANオプションの恩恵を受けることができる。
Versa Networksが最近実施した調査によると、複雑性の増大はブランチネットワークのセキュリティに関する筆頭の懸念事項に挙げられており、調査対象となった企業の半数以上はマネージドSD-WANを検討すると回答した。例えばEarthLinkとAT&TのVeloCloudとの提携のように、多くのサービスプロバイダーは既に最初のSD-WANパートナーを選定している。2017年はマネージドSD-WANサービスの爆発的な増加が予想される。
6. インターネットオンリー接続の台頭
大規模組織のほとんどはSD-WANをハイブリッドWANアーキテクチャ、一般的にはMPLSとインターネットで開始する。それより規模の小さい企業は、インターネットオンリーまたはLTE(Long Term Evolution)ワイヤレスWANでのインターネットを選択することもある。SD-WANの安定性とセキュリティが十分に確立されれば、有名企業が帯域幅を最大限に活用してMPLSコストを抑えるために、インターネットオンリーのオプションに移行するようになる見通しだ。規模の小さいブランチにとってはLTEが主要バックアップリンクになろうとしており、Cradlepointなどのサプライヤーがこの分野で有利な地位にある。
7. サプライヤーとM&Aの増加
SD-WANは最もホットなソフトウェアネットワーキングの分野であり、20社を超すサプライヤーが存在する。新しいサプライヤーもSD-WAN技術やオーケストレーションのようにSD-WANをうまく機能させるための技術でこの市場に参入している。2017年はさらに多くの企業がSD-WAN市場に参入するだろう。
2017年のSD-WAN市場では第1陣の統合も起きるだろう。大手ブロードベースネットワーキング企業やITベンダーは自社の製品ポートフォリオの補完や増強のため、SD-WANの新興企業を買収する。一部の企業は参入が相次ぐSD-WAN市場で顧客獲得のための激しい競争や困難に直面し、市場から撤退する見通しだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
6
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
9
2035年までに1億4500万台、急拡大する「フィジカルAI」市場の勝者は誰か
-
10
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー