VMware CTOが語る
CitrixとVMwareを比較、デスクトップ仮想化はモバイルデバイスを含む一元管理が鍵に
CitrixとVMwareの競争関係が、データ分析にも広がっている。VMwareのEUC部門最高技術責任者(CTO)は、アプリケーションやデータのセキュリティ強化に分析が役立つと語る。
データ分析は、CitrixとVMwareが次に競争を繰り広げる新たな分野になりつつある。
企業のIT部門は、ユーザーの行動やデバイスのパフォーマンスなどの豊富な情報を駆使し、重大な障害につながる前に問題を特定し、解決しなければならない。2017年5月下旬、Citrixは、「Citrix Analytics Service」をリリースした。同製品は、人工知能(AI)と機械学習を組み合わせ、企業に新たな知見を提供する。VMwareは、モバイルアプリ分析ベンダーApteligentを、2017年5月中旬に買収した。同社エンドユーザーコンピューティング(EUC)(注1)部門でCTOを務めるショーン・バス氏は、VMwareがデータ分析をさまざまな形で強化していると話す。
※注:企業の従業員や部門(エンドユーザー)が、業務に使うシステムやソフトウェアの開発、構築や運用管理に自主的に携わること。
「どのようなユーザーがいて、何にアクセスし、どのようなデバイスやネットワークを利用しているかについて膨大な量のデータが飛び交っている」と、バス氏は語る。「企業データやアプリケーションをうまく保護しつつ、こうした情報を抜き出すことは可能だ」(バス氏)
バス氏は、ボストンで開かれたイベント「Boston VMware User Group UserCon」に参加し、CitrixとVMwareとの競争関係や、クラウドへの移行について語った。
VMwareは、どのようにCitrix製品に対抗しているのですか。
ショーン・バス氏(以下、バス氏) :2016年、Citrixにはあり、VMwareにはなかった機能が少数だがあった。中でも重要だったのが、Microsoftの「Skype for Business」と連動する機能だ。VMwareでも、今月からSkype for Businessを広く利用できるようにしている。そのため、ユニファイドコミュニケーションについては、両社は同等の立場にあるだろう。
VMwareは、低速回線にも対応する画面転送プロトコル「Blast Extreme Adaptive Transport(BEAT)」に長い間取り組んでいる。Citrixのイノベーションに対抗し、同社にはない新たなサービスを加えている。例えば、インスタントクローン(注2)やAPP Volumes(注3)などだ。
※注2:仮想デスクトップのコピー(クローン)を必要に応じて高速で生成する機能
※注3:アプリケーションデータやユーザーの個別環境を、OSと切り離すことで、ストレージ容量やコストをかけずに仮想マシンに配布する機能
併せて読みたいお薦め記事
社員のモバイル利用をもっと安全に EMMについて詳しく
- 今更聞けない「MDM」「MAM」「MIM」の違いとは? EMMの3大要素を比較
- 機能てんこ盛りの「EMM製品」は便利? それとも不要?
- iPhone、Android管理に使いたい「EMM製品」を機能別に整理した
企業のあらゆるデバイス管理へ、VMwareとCitrixは積極的に製品を発表
時代は「統合エンドポイント管理(UEM)」へ向かうか
――仮想化デスクトップ製品「Horizonシリーズ」について、今後の計画を教えてください。
バス氏 製品の1つである「VMware Horizon Cloud」を、Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」向けに提供し始めた。現在、「VMware vSphere Fundamentals」からHorizonを切り離してサードパーティークラウドで提供している。VMwareにとって初めての取り組みだが、Azureの利用に関心のあるVMwareの顧客向けに行っている。VMwareは、顧客がVMwareのソフトウェアをどこで使おうと、受け入れたいと考えている。
――企業のクラウド移行を支援するため、具体的に何をしているのですか。
バス氏 例えば、デスクトップやモバイル、ID管理などのVMwareテクノロジーを結集し、オンプレミスでもクラウドでも使えるエンタープライズモビリティ管理(EMM)製品「Workspace One」は、クラウド移行向け技術の躍進ともいえる。
VMwareからユーザーへの働きかけという点では、実際には何もする必要はない。ユーザーが自身で行っているためだ。VMwareは、オンプレミスとクラウドのインフラを結び付け、ユーザーがあらゆるデバイスで使えるようにしている。VMwareは、あらゆるユーザーの利便性を高めるため、同製品のツールをさらに提供する。
――EUCを利用する企業にとって、現在最も重要な課題は何ですか。
バス氏 依然として、多くの企業では、部門や社員同士が互いに孤立している。専門家でさえ、チームを作り、自身の世界を守ろうとする傾向がある。IT部門は、一歩下がって、企業全体の状況を見る必要があるのではないか。例えば、ある企業のモバイルデバイス管理の担当者が、自分にとって有利に働くからと、その企業でモバイルデバイスを管理する唯一の担当者になりたがったとする。しかし、企業の立場から見れば、むしろデスクトップやモバイル、SaaSを一元管理できた方が、より大きなメリットを生む。企業のコストを数百万ドル削減し、ユーザーにとって心地よく、使いやすいIT環境が実現するのなら、ある特定領域の専門性を犠牲にすることも辞さないとすべきだ。
――企業は仮想デスクトップインフラ(VDI)を利用してどのようにコストを削減できますか。
バス氏 集中管理型の仮想デスクトップの多くは、性能を上げている。データネットワークは高速になり、応用リモート処理も向上している。ストレージは、重複排除(De-duplication)や仮想ストレージエリアネットワーク(VSAN)(注2)、オールフラッシュアレイなどにより、大幅にコモディティ化している。パフォーマンスの高い仮想デスクトップを運用するコストは、物理デスクトップと同等まで下っている。元の資本に費やしたものは、VDIでの運用コストの節約によって簡単に相殺される。ソフトウェアを分散し、分散環境内にコンプライアンスに従わないマシンを存在させるよりも、予測可能な方法で1つの場所で行う方が、はるかに簡単だ。
※注4:複数のコンピュータとストレージデバイスを接続する専用の仮想ネットワーク
――VMwareのモバイル向けEMMソリューション「AirWatch」が、将来独立した製品ではなくなり、Workspace Oneに組み込まれる可能性はありますか。
バス氏 それはない。AirWatchは、依然として非常に強いブランドだ。同じ理由で、もはや“デスクトップ向け”や“モバイル向け”というように、デバイスの世界を2つに分けることは不可能だと考えている。私たちは、これからどちらの世界も知らなければならない。製品としても、対象をモバイルかデスクトップどちらかに絞るのはナンセンスだ。私たちは今後、“ユーザー”コンセプトの中心に据えた製品を、あらゆる種類のデバイス向けに展開したい。VMwareは、Workspace Oneを通してこの流れを先導する。私は、より良いユーザーエクスペリエンスの実現こそ、常に製品の中心であるべきだと考えている。ただし、それはAirWatchとHorizonを個別に販売しないという意味ではない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
世界のデータセンター容量は5カ国に69%集中、電力消費「5%の壁」が招くものとは?
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
8
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
9
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
10
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー