クラウドとの親和性も追い風に
「ブロックチェーンストレージ」とは何か? 5つの質問で基礎を知る
ブロックチェーンストレージに対する関心が高まっている。この新しい技術を検討するに当たり、よくある5つの疑問とそれに対する回答を紹介する。
分散型台帳技術(DLT)のブロックチェーンを使ったストレージ「ブロックチェーンストレージ」への関心が高まっている。
調査会社IDCの予想では、世界でブロックチェーンに投資される額は、2022年に124億ドルに到達する見通しで、2018年~2022年の5年間は年平均76%で成長する。現実には、ブロックチェーンとそれを使ったブロックチェーンストレージはまだ黎明(れいめい)期の技術にすぎない。企業が理解し、対処しなければならない課題が山積している。
ブロックチェーンでは、ピアツーピア(P2P)の分散ネットワークを使って取引を検証する。データは分割され、数千のノードに分散される。ブロックチェーンのネットワークへの参加者は全ての取引を参照できる。
データの流れの追跡、データの保管という観点でブロックチェーンを推奨すべき理由は少なくないが、ブロックチェーンストレージに関してはまだ疑問が残る。本稿では主要な5つの疑問に対する回答と考察を紹介する。
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分散ストレージとは何か?
ブロックチェーンがデータ管理に役立つ理由
ブロックチェーンストレージはどう機能するのか
ブロックチェーンは、複数の参加者間の取引に関する情報を記録する、非集中型データベースの役割を果たす。取引の情報を時系列に沿って記録し、連続したブロックとして台帳に保存する。各ブロックはその前のブロックを参照し、チェーンを形成する。ブロックチェーンは複数のノードに台帳を分散させる。各ノードでデータの完全なコピーを保持し、ブロックチェーンの全参加者は台帳を参照し、検証できる。中央機関や検証サービスは必要ない。
ストレージシステムにブロックチェーンを使ったブロックチェーンストレージは、データの断片(セグメント)を作成し、その断片を暗号化し、各断片に個別のハッシュ値を生成する。その上でそれぞれの断片のコピーを作成する。複製した断片を、ブロックチェーンの構成要素である複数のノードに分散させる。取引を台帳に記録し、ブロックチェーンのノードを横断して、取引の検証と同期を実施する。
ブロックチェーンストレージの「ファーマー」になるには
ストレージに空きがある企業は、ブロックチェーンストレージの提供者側である「ファーマー」として参加し、ノードを提供できる。Storj Labsの「Storj」やNebulousの「Sia」のようなブロックチェーンストレージにファーマーとして登録するためには、自社が提供できるストレージ容量やスループット(データ転送速度)、平均ダウンタイムといった情報を提供する必要がある。
自社で余ったストレージ容量をブロックチェーンベースのサービスに提供するというコンセプトはまだ新しく、企業のストレージリソースに与える影響について完全に把握するのが難しい。ファーマーが自社のストレージを解放する際には、どのようなリスクがあるのか。そのリスクを最小限に抑えるにはどうすればいいのか。リスクと引き換えにどの程度の報酬を受け取るべきか――。こうした疑問への解決策は、サービス事業者やブロックチェーンの参加者が模索している段階だ。
ブロックチェーンストレージを利用するメリットとは
ブロックチェーンストレージを利用する利点は幾つかある。ブロックチェーンストレージは、オンプレミスや従来のクラウドストレージよりもコストを抑えられる。ハードウェアやソフトウェアを調達して、メンテナンスする必要はない。ストレージシステムに割り当てる管理/運用リソースも、従来型のストレージシステムより少なくて済む可能性がある。
ブロックチェーンストレージは、従来のクラウドストレージより透明性が高い。データが複数のノードに分散されるため耐障害性と可用性が高まる。近くのデータ保存場所にアクセスできれば、レイテンシが減少して効率性が向上する。
セキュリティも一元管理型のストレージより優れていると想定される。データが分散しているため、マルウェア感染によって全面的に被害を受ける確率が低い。データは冗長化しているため、あらゆる事態によるデータ損失を避けられる可能性がある。
ブロックチェーンストレージのデメリットは
ブロックチェーンストレージが効率的に機能するためには、ストレージ環境に対するユーザーの可視性が十分にあり、そのブロックチェーンを構成する複数のノードが、物理的にも論理的にも多様性を備え、高い可用性と安定性を確保している必要がある。例えばネットワーク内の全てのノードがたまたま1つの地域に集中していた場合、その地域で大規模な障害が発生すればシステムが脆弱(ぜいじゃく)になりかねない。
企業がブロックチェーンのネットワーク内で別々のノードからデータを取得し、集約するという運用は、ブロックチェーンのネットワークがより広範に広がった場合に問題になる可能性がある。さらにサイバー攻撃者がブロックチェーンを悪用する手段を発見すれば、セキュリティ面の問題も浮上する。
ブロックチェーンはクラウドとの親和性が高いのか
専門家は、ブロックチェーンが導入されるインフラの大部分はクラウドベースになると予想している。これら2つの技術は同じコンセプトの上に成り立っており、同様のメリットを提供するためだ。
パブリッククラウドベンダーは、大規模な分散コンピューティング環境を運用している。それはブロックチェーンの根幹を成す条件でもある。拡張性やオンデマンドといったクラウドの特徴は、ブロックチェーンの利点でもある。オンプレミスのブロックチェーンをパブリッククラウドに移行すれば、オンプレミスよりも高い効率性と柔軟性を実現できる。
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