2010年08月16日 08時00分 UPDATE
特集/連載

中小小売業のためのPOSデータ活用【第4回】あるスーパーマーケットに見るPOSデータ分析の実践

POSデータの効果的な活用により、売上高や粗利益高の向上、販売機会ロスの削減や店頭在庫の適正化などに成功したスーパーマーケットの事例を紹介する。

[滝口 勉,富士通]

さまざまな利益指標とPOSデータを連動させる

 企業経営の目的が、企業のゴーイングコンサーン(※)である以上、適正な利益を獲得し続けることがあらゆる経営努力の最終成果物として最も重要であることは論をまたないだろう。ここでいう利益とはもちろん税引後当期利益のことであるが、それに至るためにさまざまな利益指標が設けられている。

(※)企業などが将来にわたって、無期限に事業を継続し、廃業や財産整理などをしないことを前提とする考え方(@IT情報マネジメント用語事典)。

各利益指標の算出方法

  • 粗利益高=売上高−売上原価
  • 営業利益高=粗利益高−コスト
  • 税引後当期利益=営業利益高−営業外損益−特別損益−税

 これらの変数をコントロールすることで利益が出てくるわけだが、この部分にPOSデータを活用する意義がある。これから紹介するのは、POSデータとこれらの指標とを組み合わせて経営効率を向上させたスーパーマーケットの事例である。

 スーパーマーケットでは多種多様な商品が販売されているが、筆者の経験上、大きく2つの商品群に分けて考えることをお勧めしたい。1つは生鮮・日配商品であり、もう1つは加工食品や菓子などのドライグロサリー商品および雑貨などのノンフード商品である。いずれの商品群であれ、売り上げを上げて、販売機会ロスを減らし、在庫を適正化するためのポイントは、POSデータとほかの情報を組み合わせることである。

生鮮・日配商品のPOSデータ活用のポイント──鮮度情報

 例えば、昼食用に「お刺身の盛り合わせ」が売れるだろうか? 商品は顧客が必要とする時間帯に並べる必要がある。鮮度の劣化が早い、刺身やすしなどの生鮮商品であれば、2、3時間で確実に風味が低下する。並んでいても鮮度の落ちた商品は売れないだろう。

 事例のスーパーマーケットでは、店内で商品を加工していたが商品作りが間に合わず、せっかく顧客が来店しているのに商品が売れないという悩みがあった。この課題に対して、POSデータの時間帯別販売動向を活用した。客数のピークに合わせて新鮮な商品を提供することがポイントであるから、まずは「平日」と「週末」に分けて、「商品別」「カテゴリー別」に傾向を把握することが必要となる。さらに商品の鮮度を守り売り上げを増やすために、以下の3つの情報と連携した。

(1)製造データとの照合

 店内で加工した商品は、計量値付器の値付けデータと照合することで、「何時に製造したものが何時に売れたか」ということが分かる。事例のスーパーマーケットでは「朝9時に製造された商品が夜の21時まで売場に並んでいる」といった状況が把握できたため、商品の製造を1日3回に分けることで、鮮度の向上、売り上げの向上、値引きの縮小を実現した。これらの単品の時間帯別販売数量に合わせて、販売計画および製造計画を作成し、製造計画に合わせて人員配置計画を組むことで、顧客が必要としている商品をちょうどよいタイミングで提供できるようになった。

(2)最終販売時刻

 製造データと連動させることが難しければ、店舗の商品がちょうどよいタイミングで販売されているかどうかを確認するために、POSデータの最終販売時刻を指標にするとよいだろう。仮によく売れている商品の最終販売時刻が18時になっていたら、それ以降は品切れしていたということにほかならない。

(3)廃棄情報との比較

 もう1つ、値下げや廃棄の情報とPOSデータの売れ筋情報を比較する方法がある。よく売れている商品に値下げや廃棄がまったくない場合には、その商品は欠品していると考えられる。逆にあまり売れない商品の値下げや廃棄が多い場合には、作り過ぎや鮮度の問題を考えるきっかけになる。

 生鮮商品や日配商品の場合、POSデータの売れ筋情報を把握して、よく売れるものに多少の値下げや廃棄が出ているのが好ましい状態だといえるだろう。

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