プライベートクラウドソリューション最前線【第3回】
BizCITY、回線の品質とグローバル対応で信頼のプライベートクラウドを実現
プライベートクラウドを実現するNTTコミュニケーションズの「Bizホスティング」。通信の優位性はネットワークキャリアならではだ。
クラウドコンピューティングが注目され始めて、数年が経過した。当初は、「所有するから使用する」に変わる企業システムの形態を見極めようとする企業がほとんどだったが、今は多くの企業が従来のオンプレミス型によるシステム構築からクラウド型へと移行を検討し始めている。それに伴い、大手ベンダーやデータセンター事業者を中心に、クラウド上で企業システムを構築・運用するサービスも続々と登場している。
そうしたクラウドサービス事業に早くから取り組んできたのが、通信事業者のNTTコミュニケーションズである。同社が提供するソリューションサービス「BizCITY」のサービスメニューの1つ、「Bizホスティング」は、NTTコミュニケーションズが用意するクラウド環境上に企業システムを構築できる、言い換えればプライベートクラウドを実現する仮想サーバホスティングサービスである。
企業の経営課題を解決するトータルソリューション
NTTコミュニケーションズは、時間や場所を問わずに業務に取り組めるビジネス環境を提供し、企業の経営課題を解決することを目的とするトータルソリューションサービスを体系化、BizCITYというブランドで提供している。もともとは、固定回線と移動体通信を組み合わせた“企業向けFMC(Fixed Mobile Convergence)”という通信事業者ならではのサービスから始まったものだが、現在はセキュアで高信頼、オンデマンドなクラウド型のサービスも拡充。企業システムにおけるさまざまなニーズに対応できる9つのサービスメニューを用意している。
「BizCITYは、2008年7月からNTTコミュニケーションズのサービスブランドとして展開してきました。当初はまだクラウドという言葉が一般的でなく、FMCをメインにサービスを提供していましたが、それにASPやSaaS(Service as a Software)なども含めたクラウド関連サービスを組み込んで、現在はトータルソリューションとして提供しています。いつでもどこでもセキュアに利用できるサービスを提供しながら、情報を安心・安全に、高いコストパフォーマンスで預かり、お客さまの経営課題を解決できることがBizCITYの特長です」
そう話すのは、NTTコミュニケーションズのクラウド戦略やBizCITYのサービスに関する企画を担当する経営企画部 サービス戦略担当の成田大助氏だ。
BizCITYは、いつでもどこでもビジネス環境を展開できるリモートアクセス系サービスと、NTTコミュニケーションズのクラウド基盤上で展開されるサービスとに大別される。それらのサービスに、メールやストレージ、SaaSなど幅広いメニューを用意。その中でも、企業の基幹システムを預かって運用するというプライベートクラウドを実現するサービスメニューが、「Bizホスティング」である。
クラウド基盤を提供するBizホスティング
Bizホスティングには、「エンタープライズ」「グローバル」「ベーシック」という3つのサービスメニューがラインアップされている。
プライベートクラウドを実現するのが、エンタープライズとグローバルである。いずれも顧客専用のプラットフォームを用意する。また、エンタープライズとグローバルおよびベーシックを組み合わせたり、オンプレミス型の企業システムと連携したりする、いわゆる“ハイブリッドクラウド”にも対応するという。
「エンタープライズは、国内のデータセンターを利用し、設備専用型でお客さまの要件に合わせてきめ細かく対応するプライベートクラウドサービスです。基幹システムの運用も可能な品質で提供しています。一方、グローバルはグローバルに事業展開する多国籍企業向けに、北米、欧州、シンガポール、香港、日本の全世界5拠点のデータセンターにクラウド基盤を用意し、どこの拠点でもすべて統合監視できるというサービスです」(成田氏)
一方のベーシックは、Amazon.comのEC2をはじめとするパブリッククラウドを意識したサービス。ただし、不特定多数の誰が使っているのか分からないというプラットフォームを提供しているわけではなく、設備を共用しながらコストを削減することを狙ったものだ。設備共用型のパブリッククラウドでありながら、VPN接続が可能なオプションメニューも用意されており、企業がクラウドのサーバに対してプライベートIPアドレスを振り、あたかも社内環境の中にあるような仮想プライベートクラウドも実現できる。
Bizホスティングにおいてプライベートクラウドを取り扱うITマネジメントサービス事業部 サーバマネジメントサービス部 基盤サービス部門の栗原秀樹氏は、プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いを次のように説明する。
「プライベートクラウドの構築に当たっては、当社がコンサルティングを含めて、お客さまの要望に沿ったシステムを構築します。一方、パブリッククラウドは基本的に、お客さま自身の設定が基本になります。Bizホスティング エンタープライズにおいては、ミッションクリティカルなアプリケーションを稼働させるプライベートクラウドですから、お客さまのシステムで稼働しているアプリケーションをどのように容易に移行するか、どのように品質を担保できるかなど、オンプレミスからの接続性を重視しています」
もちろん、クラウドサービスというからには、NTTコミュニケーションズが所有する標準クラウド基盤を利用することになる。しかし、標準クラウド基盤をベースにしつつも、システムの仕様によってアプリケーションを異なる仮想環境・物理環境に振り分けるなどの収用設計を行ったり、ネットワークのトラフィックやストレージの接続方法を変えるなど、十分なシステム設計が行われるという。
Bizホスティングのエンタープライズ、グローバル、ベーシックをプライベート、バブリックで示すと下図のようなイメージになる。
キャリアならではの強み
多くのITベンダーやデータセンター事業者がプライベートクラウドサービスを提供しているが、NTTコミュニケーションズのBizホスティングにはどのような優位性があるのだろうか。
「Bizホスティングの最大の強みは、当社がネットワークキャリアであるというところにあると考えています。当然、クラウド基盤だけでなく、ネットワーク回線が一体のサービスになります。例えば、他社のクラウドサービスでは、ネットワーク転送量に応じた従量制料金が別に徴収されることがありますが、強力なバックボーンネットワークを自前で持つ当社では転送量に対する課金は行っていません。カタログスペック上は料金が高いように見えることもありますが、転送量を含めて考えるとかなりリーズナブルな料金のサービスだと自負しています」(成田氏)
また、障害対応にも強みがあるという。ITベンダーやデータセンター事業者も、その多くはネットワークを一体化したサービスメニューを提供している。しかし、実際にはネットワーク部分はネットワークキャリアから提供を受けているものであり、ネットワークの監視はNTTコミュニケーションズが請け負っているという例も少なくないのだという。
「クラウド基盤とネットワークのトータルで品質を確保し、何か起きたときに短時間で切り分けをして、回線が悪いのか、サーバが悪いのか、その接続点なのか、お客さま側の問題なのか、その対応力はネットワークキャリアだからこそできると思っています」(成田氏)
さらに、大きな優位性の部分がグローバル対応だ。
「NTTコミュニケーションズは、クラウド基盤を国内限定で提供しているわけではありません。ネットワークもサーバもグローバル規模でクラウドサービスを展開できるところが、他社に比較しても大きな強みになっています。また、プライベートクラウドを実現するエンタープライズ/グローバルと、パブリッククラウドのベーシックを用意し、回線も高品質な回線からエントリー型の回線まで柔軟に組み合わせることができます。」(栗原氏)
今後は、さまざまな事業者が提供する複数のクラウドサービスを横断的に利用する企業も増えてくることが予想される。この連携を誰が保証していくのかは、今後の大きな課題になっていくだろうが、NTTコミュニケーションズはこの課題にも積極的に取り組む姿勢だ。
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