施策に落とし込むプロセス構築が大切
データサイエンティストだけでは何もできない理由
データサイエンスチームに必要なのは、1人の人物に全ての役割を担わせることではなく、データサイエンスのプロセス全体に焦点を当てることだ。
データサイエンティストよりも大切なもの
ある企業のデータサイエンスチームのリーダーによれば、「データサイエンティストというなかなか席が埋まらない職種の人材を採用することよりも、データサイエンスチームのプロセスを構築することの方が重要だ」という。データサイエンティストという職種はまだ定義が固まっておらず、1人ではこなし切れない所まで役割が拡大している現状を考えると、この指摘は理屈が通る。
さまざまな観点から見て、データサイエンティストのジョブディスクリプション(職務記述書)には、プログラミング言語「R」のプログラマー、Scala開発者、Hadoop管理者、データ品質の専門家、ドメイン専門家、アルゴリズムモデル開発者などが含まれるようになった。しかし、コンサルタント会社、米Think Big Analyticsのデータサイエンスチームリーダーを務めるダン・マリンジャー氏も「実際に必要なのは、1人の人物に全ての役割を担わせることではなく、データサイエンスのプロセス全体に焦点を当てることだ」という。
マリンジャー氏は米ボストンで開かれた「BigData TechCon」の講演で、「データサイエンティストの役割の定義は、最近の記憶をたどる限り最悪かもしれない」と指摘した。ただ、いかに定義が不適切でも、データサイエンティストの給与を抑えることはできない。データサイエンティストを抱えるための経費はビッグデータの取り組みの陰に隠れているといえそうだ。
マリンジャー氏は「Hadoopのようなものは、コンピュータの観点から見れば安上がりだが、人材の観点から見ると極めて高くつく。新しいスタイルの大規模分析のためには、幅広い人材と幅広いスキルが必要だ」と指摘する。
まずは本当に有用なデータか見極めよ
同氏は自身の実践を通じて、1人の卓越したデータサイエンティストに頼る方法から、チームを基盤とする包括的なプロセスへと移行する道を見いだしてきた。同氏がこれまで見てきた中で最高のデータサイエンスチームは、ビジネスアナリスト、データ品質管理エンジニア、そして分析の成果を元来の事業目標に結び付けたプロダクトマネジャーで構成される「機能横断的集団」だったという。「彼らは私が見てきたほとんどのチームに比べて大きな成果を挙げていた」
では彼らに共通する関心事は何だったのか? 「全員がRに関心を持っていた」とマリンジャー氏は語る。いずれにせよ、データアナリティクスの多様性やボリュームといった要素が変化すれば、チームの分析スキルは明らかに進化する。
BigData TechConに出席した米ソーシャルブログサイト「Tumblr」のデータサイエンティスト兼エンジニア、アダム・ライアカノ氏は、ビッグデータの多様性を強調する。同氏はビッグデータについて、「今まで生成されたことのないデータで、価値があるかもしれないもの」と表現する。
ライアカノ氏はこのデータを「排気ガス」と呼び、業務の副産物であることを印象付けた。例えば、ユーザーのWebアクティビティによって生成される非構造化データと構造化データがある。同氏はデータサイエンティストの仕事を、モーターの排気を使ってピストンに送り込む空気の量を増やし、馬力を上げるエンジンのターボチャージャーになぞらえる。その副次的なデータに取り組むことが、現在のデータサイエンスのプロセスだという。
「データサイエンスの専門家は、ビッグデータが収集されるだけでなく、確実に利用されるよう努めなければならない」とライアカノ氏は話す。さらに、「誰もそのデータを使っていなければ、それはビッグデータプロジェクトに誤りがあることを示す紛れもない証拠だ」と指摘する。
「自分がそのデータの最初のユーザーで、もし自分自身が使わないのであれば、そのこと自体が手掛かりとなる」とライアカノ氏は語り、「ビッグデータプロジェクトでは、まず自分たち自身の仕事にとって有用なデータを見つけ、次にそれが組織内のビジネスユーザーにとっても役に立つかどうかを見極めるべきだ」と助言した。
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