BIツール最前線:リポーティングツール編
コマーシャルOSSが注目を集めるリポーティングツールの最新動向
BIツールの中で最も汎用性が高いリポーティングツールの基本機能と代表製品を紹介。リポーティングツールの機能を生かすには、幾つかの前提条件が必要だ。
リポーティングツールに求められる機能
もともとリポーティングツールは定型的なリポートを作成するためのツールとして登場した。リポーティングツールはデータベースを参照できれば業務システムに依存することなく外付けでリポートを開発することができる。リポーティングツールのメリットは開発効率が高いだけでなく、Web環境でリポートを公開するものが主流なため、リポートの種類の拡充や情報の共有化、情報鮮度の向上にも一役買うことになる。
しかし、今日のリポーティングツールは単なる業務リポートの作成だけではなく、意思決定プロセスにおいて、問題の兆候を発見するためのリポート作成機能が要求される。問題の兆候を発見するためには、推移、比較、内訳、順位、関係、シグナル表示といったさまざまなデータの可視化手法が用いられるため、リポーティングツールにはこれらの高度な可視化機能が求められる(関連記事:「読めば分かる! BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの種類と必要な機能」)。
さらに、最新のリポーティングツールに求められる機能に、ダッシュボード機能がある。ダッシュボード機能とは、複数のリポートを単一画面にレイアウトして表示する機能だ。この機能により、より多くの情報を1画面で俯瞰することができるため、より素早く問題の兆候を発見することができる。
リポーティングツールの機能を生かす前提条件とは
リポーティングツールの活用局面は、ユーザーが能動的にデータを分析するというよりは、「定型的に表示されているもの」を眺めることが主となる。よって作成される個々のリポートは、異常値が自然と浮かび上がるように視覚化されていることが理想といえる。データの視覚化はリポーティングツールの得意とするところだ。しかし、リポーティングツールが持つ機能を本当に生かすためには、以下のような前提条件が必要となる。
リポーティングツールの機能を生かす前提条件
- 全体を俯瞰するのに十分な指標や切り口を定義すること
- 異常値を認識しやすいようにデータを視覚化すること
- 適切な意思決定につながるよう、リポートやパーツのバリエーションと配置に配慮すること
せっかくリポーティングツールを導入したのに、あまり活用されていないという場合は、「活用のためのシナリオが十分に練られていない」というのが大きな要因だと考えられる。何を知ったら的確に自社の状況を把握できるのか、次のアクションをどう取るべきか、どのようなフレームワークで情報をそろえたらよいのか、ということを念頭に置きながら、リポートのバリエーションと組み合わせを検討することが肝要だ。
また、経営ダッシュボードの作成という観点では、自社に存在する業務機能に関する指標のうち、全体を俯瞰するのに必要十分な指標を選んで表示するというのが一般的である。
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主なリポーティングツールとその特徴
現在、国内で入社可能な主なリポーティングツール製品を以下の表にまとめた。
| 製品(モジュール)名 | 開発元 | 提供形態 |
|---|---|---|
| IBM Cognos Report Studio | IBM | BIスイート製品「IBM Cognos10」に含まれている |
| SAP Crystal Reports | SAP | 単体製品として販売されている |
| Oracle BI Publisher | Oracle | BIスイート製品「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」に含まれている |
| SQL Server Reporting Services | Microsoft | データベース製品の1モジュールとして無償バンドルされている |
| WebFOCUS | Information Builders | 単体製品として販売されている |
リポーティングツールはBI(Business Intelligence)ツールの中でも最も汎用性が高いツールであるため、さまざまな提供形態がある。単体製品として提供されているのが、「SAP Crystal Reports」と「WebFocus」だ。「IBM Cognos Report Studio」と「Oracle BI Publisher」は、各社のBIスイート製品の1モジュールとして提供されている。「SQL Server Reporting Services」は「Microsoft SQL Server 2005」以降で標準サービスの1つとして提供されている。
コマーシャルOSSが注目を集めるリポーティングツール
リポーティングツールは、BIツールの中で最もユーザー数が多くなるツールであるため、導入する側にとっては導入コスト、特に製品のライセンスコストを低く抑えることが最大の関心事となる。一方で、特殊なデータベースや複雑なユーザーインタフェース技術を必要とせず、リレーショナルデータベース(RDB)やJavaといった極めて汎用的な技術のみを使用して開発されている。
こういった背景の下で、リポーティングツールの分野ではコマーシャルOSS(Open Source Software)製品が注目を集めている。OSSは、Linuxに代表されるOS分野や、Tomcatに代表されるアプリケーションサーバ分野におけるWeb3層アーキテクチャの普及とともに注目されてきた。本来のOSSは、「コミュニティー」と呼ばれるボランティアの開発集団が継続的に品質および機能の向上を行うことで、誰でも最新の技術を(基本的に)無償で入手できることが最大のメリットとされてきた。
近年では、これらのメリットの一部を犠牲にしても、ライセンスを有償で入手する代わりに商用製品と同様の技術サポートを得ることができるコマーシャルOSSが登場し、1つのマーケットを形成するに至っている。コマーシャルOSSは有償ではあるものの、一般の商用製品に比べればはるかに安価に購入可能で、かつサポートが得られることが最大のメリットだ。
リポーティングツールの分野でも、近年コマーシャルOSS製品がシェアを伸ばしている。現在、国内で入手可能な主なコマーシャルOSSのリポーティングツールを以下にまとめた。
| 製品名 | コマーシャルOSSベンダー | OSSプロジェクト |
|---|---|---|
| ActuateOne | Actuate | http://www.birt-exchange.org/ |
| JasperReports | Jaspersoft | http://jasperforge.org/ |
| Pentaho Reporting | Pentaho | http://community.pentaho.com/ |
この表でOSSプロジェクトとして記載されているWebサイトは、各製品がもともと、どのOSSコミュニティーで開発されているかを表している。従ってこれらのWebサイトからOSSとして無償で入手することもできるが、製品としてのサポートを受けるためには各コマーシャルOSSベンダーが提供している製品を購入する必要がある。また、一部の機能については、コマーシャルOSS製品にしか含まれていないものもある。
平井明夫
株式会社アイエイエフコンサルティング
マーケティング部 マーケティングディレクター
日本DEC(現日本ヒューレット・パッカード)、コグノス(現日本アイ・ビー・エム)、日本オラクルを経て、現在はアイエイエフコンサルティングに在籍。一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特に、DWH、BIを得意分野とする。現在はBI技術の啓蒙のため、講演・執筆に積極的に取り組んでいる。
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