データサイエンティストに聞く、ビッグデータ活用の条件TechTargetジャパン プレミアムレビュー

世間の注目を集めている「データサイエンティスト」。企業におけるその「本当の役割」と、分析という行為を確実にビジネスの成果につなげるための鉄則を探った。

2013年05月29日 08時00分 公開
[内野宏信,TechTargetジャパン]

「TechTargetジャパン プレミアム」第6弾、『データサイエンティストの本当の役割』をダウンロード提供

情シスの社内プレゼンス向上に役立つコンテンツを新規書き起こしでお届けするPDFコンテンツ「TechTargetジャパン プレミアム」。その第6弾となる『データサイエンティストの本当の役割』をTechTarget ホワイトペーパーダウンロードセンターから無償でダウンロード提供している。ぜひご活用いただきたい。


データと分析結果を“ビジネスの成果”に落とし込む方法とは?

 ビッグデータに続くキーワードとして、「データサイエンティスト」が注目を集めている。ビッグデータをバズワードと見る風潮もあるが、一部では実際にビッグデータ活用に成功する企業が現れた他、多くの企業がデータ活用に本腰を入れるきっかけともなった。だが、そうしたトレンドの中で、「データはあるが、どう活用すればよいのか分からない」「BI(Business Intelligence)システムの導入によって分析はできるが、どのようにビジネスの成果に結び付ければよいのか分からない」といった声が多くの企業から上っている。「データサイエンティスト」が注目される背景には、データの山を前にして、その中に眠る金脈の存在を感じながらも掘り出す術がない企業のストレスがあるのだろう。

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 だが一方で、「今最もセクシーな職業」「2018年には14万〜19万人が不足する」(米マッキンゼー)といったメディアの喧伝(けんでん)も手伝い、「データサイエンティスト」という言葉も既に飽和が始まっているようだ。分析スキルとITスキルを併せ持つといった認識は浸透しているが、「企業における立ち位置」「ビジネスにおける役割」といった最も重要な点が置き去りにされ、イメージばかりが先行している感が強い。

 では「データサイエンティスト」とは何を行う人材なのか? その企業における意義と役割、分析のアプローチを、データを扱う情報システム部門は見直しておくべきなのではないだろうか?――情シスの社内プレゼンス向上に役立つコンテンツをお届けする「TechTargetジャパン プレミアム」。その第6弾となる『「データサイエンティスト」の本当の役割』では、企業のデータ分析・活用を支援しているブレインパッド アナリティクスサービス部 ゼネラル・マネージャーの佐藤洋行氏にインタビュー。データサイエンティストの役割を再確認しつつ、「効果が出せる分析のアプローチ」を具体的にまとめている。

その課題は、本当に分析すべき課題なのか?

 中でも注目すべきは、「本当に大切なのは、分析そのものではなく、分析を施策と成果につなげることだ」と強調している点だ。例えば分析によって、「顧客を数十セグメントに分け、それぞれ違う商品を訴求すれば売り上げが上がりそうだ」という結果が出たとする。これがAmazon.comのようなEコマース運営会社ならセグメントごとにリコメンドの内容を変えるなど施策を打ちやすいが、実店舗を持つ小売業の場合、そうした対応は難しくなる。リコメンデーションという施策にも問題がある。セグメントごとに電子メールで訴求するとしても、数十種類のセグメントに対して最適な文章を本当に用意できるのか、といった施策の実現性の問題もあるためだ。

 「分析結果を出せても、実現するための施策が本当に打てるのか、施策を行うためのコストは想定されるリターンと帳尻が合うのか、という問題まで含めて考える必要があります。分析と施策実現の可能性、掛かるコストとリターンのバランス――これらを考えなければ分析を成果に還元することはできません」(佐藤氏)

 それだけではない。分析は“目的が大切”といわれているが、「その目的で本当に正しいのか、分析すべき事象を疑うことも大切だ」という。例えば「低下した顧客単価を回復させたい」という目的について、「顧客単価とは、1日当たりの単価なのか、1カ月当たりの単価なのか」「なぜ顧客単価の低下が自社にとって問題なのか」など、さまざまな角度から検証すると、目的とするには課題設定が曖昧であり、真の課題と分析すべき事象は顧客単価ではなく別の点にあるようなケースも多いという。

 佐藤氏は、こうした“分析以前の分析”をした上で適切な課題設定を行い、「分析結果を確実にビジネスの成果につなげられる人材」がデータサイエンティストであることを強調。その見解に基づいて、効果が出せる課題設定の方法、施策を実現できるシナリオの作り方、ステークホルダーへの配慮など、分析を成果につなげるためのポイントを極めて具体的に説いている。

 データサイエンティストそのものについては「データのハンドリングスキルや、SASやSPSSといった分析ツールを使いこなすスキル、ビジネスの知識が必要」「専門スキルを持つ人材を集めたチームを組織する」など、具体的な議論が進んでいる。だが企業が最終的にほしいのは、データサイエンティストでもなければ分析結果でもない。ビジネスの成果だ。本稿における佐藤氏の数々の指摘から、分析に対する期待と現実のギャップ、分析ツール活用の問題点、そして冒頭で挙げたデータ活用の課題に対する回答が、鮮明に浮かび上がってくるのではないだろうか。

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ビッグデータのトレンドを受けて、データサイエンティストという人材が注目されている。だが企業の間では、この言葉に対する過度の期待や誤解もあるようだ。あらためてデータサイエンティストの役割と意義を探る。

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