IaaSとセキュリティサービスの一体形
AWSの安全性を高める「サービスとしてのセキュリティ」、利用急増の理由は?
企業のIT部門の中にはセキュリティ対策をクラウドにアウトソーシングしているところもある。だが先端を行く一部の企業は、サービスとしてのセキュリティと、サービスとしてのインフラを組み合わせている。
新興企業を中心に、「Security as a Service」(サービスとしてのセキュリティ)が浸透しはじめている。ITベンダーの米JumpCloudは、全てがひとまとめになった監視サービスをSecurity as a Serviceとして提案するベンダーだ。同社のエージェントベースのソフトウェアは、侵入検知と防止、情報喪失防止、「Active Directory」と連携させたID・アクセス管理に対応する。また、相互のTransport Layer Security(TLS)プロトコルを通じてデータをJumpCloudに送り、JumpCloudで問題や攻撃を検知して、システムが不正アクセスされた場合は警告を出すことも可能だ。
いち早くJumpCloudを採用したマーケティングソフトウェアの新興企業、米TapInfluenceのマックス・パリス業務担当ディレクターは、運用とインフラを1人で担っている。従って、セキュリティをサービスプロバイダーにアウトソーシングするのは同氏にとって理にかなう。
計40台ほどのサーバで構成されるTapInfluenceのインフラは全て「Amazon Web Services」(AWS)で運用されている。
「私に必要なのは、1カ所でシステムのセキュリティイベントに関するログが分析でき、導入しなければならないセキュリティパッチについても通知してくれる場だ」とパリス氏は話す。
同氏によると、AWSではサーバに対する攻撃が日常的に発生している。AWSは大きな標的であり、攻撃者に狙われやすい標的も多数存在する。
セキュリティの観点から適切に設定されていないサーバに対し、もし攻撃者がアクセスを確立すれば、AWSのネットワークの一部をスキャンして脆弱性を探し回ることが可能だ。多くの新興企業がセキュリティの専門要員を置かずにAWSを利用していることから、サーバが適切に設定されないまま、オープンにアクセスできる状態になっていることも多いという。
JumpCloudは開発中の製品であり、ある程度改善の余地もあるとパリス氏は指摘する。「適用しなければならないセキュリティパッチであれ、不正にログインしようとする者の阻止であれ、攻撃に対してはより能動的に反応する必要がある」とパリス氏。アプリケーションレベルの監視もあった方がいいと語る。
米ホテルMotel 6とStudio 6の親会社であるG6 Hospitalityは、現時点でIaaS(Infrastructure as a Service)は導入していない。しかしITセキュリティ・コンプライアンス担当マネージングディレクターのトム・サイプス氏は、米Trend MicroのDeep DiscoveryエージェントでAWSインフラをフルに監視できる機能は、IaaS利用の安心感を高めてくれると話す。
「AWSで何を使用するにしても、このセキュリティサービスで自分のインフラ全体を総合的に監視できるので安心感は高まる」(サイプス氏)
Trend Microの広報によると、Deep Discoveryは現在、ソフトウェアアプライアンスとIaaS上に導入可能な仮想マシンで利用できる。同社はAPIについても検討しており、クラウドベースの導入のための機能追加を予定しているという。
一方、一部のデータセンターでは、プライベートクラウドやハイブリッドクラウドにもSecurity as a Serviceが導入されている。
「新興企業として、自社のプラットフォームのセキュリティ問題に対処する必要があることは分かっていたが、成長軌道の妨げにならないものが必要だった」と話すのは、コラボレーションソフトウェアDevOpsを手掛ける米VictorOpsの上級ITディレクター、マイケル・メレディス氏。
VictorOpsは自らもサービスプロバイダーとしての展開を計画しており、OpenStackをベースとしたインフラを構築し、それをJumpCloudで監視する。
メレディス氏は侵入検知に対するオープンソースのアプローチとして米SourcefireのSnortも検討したが、JumpCloudのソフトウェアの方が望ましいと判断したという。
「Snortでは自社のスイッチのミラーとなるポートをセットアップしなければならず、全トラフィックを一度に取り込んで検査できる大型のマシンも必要だ。しかもそれを自分で調整し、どれが信号でどれがノイズかを自分で見極めなければならない」(メレディス氏)
ただ、JumpCloudもそうしたことを全てやってくれるわけではない。「Webサーバに入ってくるトラフィックを調べて辞書攻撃を見つけ出すところまで拡張してほしい」とメレディス氏は注文を付ける。
米TechTargetが最近実施した実態調査によれば、Security as a Serviceの導入企業はまだ少数派にとどまる。導入している企業でも、アプリケーションの大部分はカバーされていない。
この調査では、現在利用中、または利用予定のあるクラウドサービスについて質問し、345人から回答を得た。このうち21.4%がSecurity as a Serviceを現在利用中、10.1%が利用予定と答える一方、利用していないとの回答は68.4%に上った。
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