企画倒れを避けるための「目標設定」とは?
次の注目「インダストリアルIoT」を成功させる企業の条件
インダストリアルIoT(産業向けのIoT)は潜在的価値を有するデータを大量に生み出している。企業がこれらのデータを活用するためには、ビジネス価値につなげる目標を明確にすることが肝要だ。
多数の産業用機械にセンサーが取り付けられ、接続したセンサーから膨大なデータが生み出される。だが企業がIoT(モノのインターネット)データの分析から真の価値を引き出すには、その長所と短所を明確に理解する必要がある。
2016年2月に米国で開催された「2016 IoT Data Analytics & Visualization」カンファレンスのパネルディスカッションの参加者たちによると、忘れてはならない最も重要なことは、インダストリアルIoTの目的はビジネスプロセスを改善することであり、流行の新技術を導入することではないという。
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アナリティクスを専門とするコンサルティング会社Asrymの創業者で最高経営責任者(CEO)のナウマン・シェイク氏は最近、大手公共企業と共同で、予防的メンテナンスを行うためのセンサーを補修用トラックに取り付けた。同氏は、センサーから送られてくるデータを分析する予測モデルを作成した。これにより、トラックの故障につながる可能性のある振動パターンなどの兆候を特定できるという。
ビジネスにおけるIoTの価値
だがシェイク氏はこのアイデアを公共企業の経営陣に説明したとき、同氏が作成しようとしているアルゴリズムや必要なネットワーク技術については話さなかった。同氏によると、プロジェクトを立ち上げるための鍵となるのは、ビジネス部門のニーズを把握し、“彼らの言葉”で話すことだという。
「経営陣を相手に魅力的なツールや最先端の技術のことばかり話していたら、彼らは関心を示さなかっただろう。それが、私が学んだ教訓だ」とシェイク氏は話す。「彼らが苦労している問題とIoTが提供できる価値を結び付けることができれば、導入は迅速で非常に効果的なものになる」
Trimble Navigationでソフトウェアアーキテクチャと戦略を担当するプラカシュ・アイヤー副社長も「IoTデータ分析に関心がある企業は、最終的な目標を見据えなければならない。その目標とは産業プロセスを自動化することだ」と話す。同社は農業や建設などの業界向けにGPSソフトウェアやコネクテッドハードウェアを開発している。
アイヤー氏によると、IoTや産業用インターネットなどのプロジェクトで重要なポイントは、これまで可視性がほとんどなかった機械から新たな洞察を得られるようにすることだという。単純な可視化機能あるいは複雑な機械学習アルゴリズムを使って機械から得られるデータを分析すれば、発生したイベントに対処するビジネスルールを開発し、産業プロセスを自動化できる。「企業が産業プロセスを理解すれば、それを自動化するためのルールを開発できる。だがIoTデータ分析プロセスが実行可能な洞察を提供できなければ、プロジェクトを見直す必要がある」とアイヤー氏は語る。
「最も重要なことは可視化ではなく、いかにしてそれを実行可能にするかだ。次のステップを自動化できるようにする必要があるのだ」(同氏)
インダストリアルIoTプロジェクトに必要な柔軟性
車載・設備管理製品メーカー大手のJohnson Controlsで製品開発、ビルディング技術およびサービスを担当するスディー・ランジャン・シンハ副社長によると、産業用のインターネットアナリティクスプロジェクトからビジネス価値を実現する上で鍵となるのは、柔軟性を確保することによって将来に備えることだという。
「当社が属する空調業界では、冷媒の使用に関する法規制や効率に対する顧客の期待が将来的に変化する可能性が高い」と同氏は話す。だがJohnson Controlsが生産する機器の大半は推定寿命が約25年だという。
「このため、私のチームがインターネット接続型の空調機器の効率を計測し、潜在的な問題を特定する予測モデルを作成するに当たっては、機器製造時に設定された効率条件に頼るのではなく、状況が変化することを念頭に置いた上で、予測モデルに柔軟性を織り込むことが重要だ。この業界には永続的なものは存在しない」とシンハ氏は話す。
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