データドリブンの意思決定強化へ
「Tableau」を社員3万人に浸透させるためにMorgan Stanleyがやったこと
Morgan Stanleyはデータドリブンの意思決定強化のために「Tableau」を選択した。問題は3万人の従業員にどうやって浸透させるかだった。
金融大手のMorgan Stanleyは市場の状況に合わせてビジネスモデルを調整しており、大部分の業務にセルフサービスBIツールを活用している。資産管理部門向けには、ビジュアル分析と厳密な基準と堅牢(けんろう)なデータアーキテクチャを組み合わせてセルフサービスBIプラットフォームを推進している。
全米数万人のフィナンシャルアドバイザーにも利用を奨励
資産管理部門の分析・データ担当バイスプレジデントを務めるジェフ・クレンデニング氏によると、Tableau SoftwareのセルフサービスBIツール導入により、ビジネスアナリストは新しいレポートを即座に作成できるようになったという。また、基幹業務責任者や支店長、全米各地にいる数万人のフィナンシャルアドバイザーにも活用を奨励できるようになった。
同氏は2018年10月に開催された「Tableau Conference 2018」のセッションで次のように語った。「意思決定をより正確に、より速く、より少ない労力で行いたい。分析作業を分散化する文化を醸成したい。そこでこう考えた。『当行のアナリスト全員がそれぞれ分析プラットフォームを使ってデータにアクセスでき、それぞれのインサイト(洞察)を導き出すことができればいいのではないか』。データに一番近いところにいて最善のインサイトを引き出せるのはそうしたアナリストたちだ」
Tableauを選んだ理由
同行がTableauを採用するプロセスは4年前に始まった。データ分析チームからメンバーを選び、さまざまなシステムに保存されている膨大なデータの活用をどうすれば合理化できるかを検証した。
「フィードバックループやフェイルファーストの仕組みがなければならない。視覚化にはこうした機能が必要だ。投資が的確であるかを素早く判断し、的確でない場合は資本を引き上げて別のところに移さなければならない」とクレンデニング氏は話す。
そこでTableauを検討したところ、このシステムがセルフサービスデータ分析プログラムの推進に大きな効果を発揮できることが分かった。
基本的な考えとしては、Tableauを主要なデータストアにリンクし、最初からガバナンスを組み込んでおく。従業員にデータを渡し、意味のある方法でさまざまな角度から分析してもらう。これにより、特定のタイプの分析モデリングや視覚化のユースケースが明確になる。適切なものが見つかったら報告する。そうやって公開されたレポートをIT部門が最適化・強化し、組織全体規模で利用できるようにする。
Morgan Stanley資産管理部門エンタープライズ情報管理担当エグゼクティブディレクターのラーム・ジョイス氏は「このプラットフォームでは、管理されたやり方で、従業員自身がレポートの作成と公開を行うことができ、その中から承認されたものをIT部門が組織全体に展開することができる」と説明する。
これを実現するためには、ユーザーフレンドリーなツールを選ぶことに加え、従業員の参加と学習とプラットフォーム活用を促進するイネーブルメントセンターを構築して、プロセスとコミュニティー意識を形成することが重要だったという。
「イネーブルメントセンターの最大の目的は、組織の中のできるだけ深いところに浸透させ、それと同時に、調整したトレーニングやガバナンス、品質管理機能を提供することによってアウトプットの正確性と一貫性を確保することだった」とクレンデニング氏は述べた。
ユーザー数600人から3万人へ
分析チームがこのシステムの学習を終えると、2016年には600人以上のパワーユーザーを対象にTableauセルフサービス分析プラットフォームのスケールアップを開始した。対象となったのは幅広いデータを扱う経験豊富なビジネスアナリストたちだ。トレーニングの制度化や、トレーニングとエクスペリメントを奨励するためのゲーミフィケーション、所定のデータセットの視覚化を作成するコンテストなどでシステムの活用を促進した。
パワーユーザーに十分に浸透した後、2017年には3000人の支店長と基幹業務責任者に対象を広げた。ダッシュボードにTableauを埋め込み、データのエクスペリメント手順のトレーニングを実施した。2018年には3万人に範囲を拡大した。そのうちの1万5000人はフィナンシャルアドバイザーだ。彼らの使うメインアプリケーションにレポートの自己公開機能を組み込んだ。
セルフサービス分析ツールはMorgan Stanleyとそのフィナンシャルアドバイザーに非常に大きなメリットをもたらしている。資産管理部門向けの新機能「ネクスト・ベスト・アクション」は、ここ数年で台頭してきたセルフサービスモデルから直接生まれた。クレンデニング氏はデータの民主化をさらに組織全体へと進め、このトレンドを継続したいと語った。
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