中堅・中小企業向けプロダクトレビュー
情報共有と経理、“一石二鳥”のJ-SaaS対応版desknet's
「desknet's+LiRaku」は、業務効率化を支援するグループウェアと、経理業務を補完するワークフローがセットになったJ-SaaS対応サービス。手ごろな料金でROIも大きく、SMBの弱点を補える。
経理ワークフローをセットしたグループウェア
ネオジャパンの「desknet's+LiRaku」は、業務の効率化を支援する多機能グループウェアと経理ワークフローがセットになったJ-SaaS対応サービスだ。J-SaaSは、財務会計などのバックオフィス業務から電子申告までに対応するワンストップサービスとして、経済産業省の主導により2009年3月31日から始まった。2009年10月現在、J-SaaSは32のサービスが用意されており、「desknet's+LiRaku」はWebグループウェアとして位置付けられる。
ネオジャパン マーケティング統括部の市村英二氏は「経理ワークフローとグループウェアをセットで提供することで、グループウェアをさらに普及させたいという狙いがあった。もともとJ-SaaSは中堅・中小企業(以下、SMB)を対象にしていたが、今までわれわれがターゲットにしてこなかったSMBユーザーの中で特に30人未満の小規模企業にアプローチできるようにした」と、同製品の開発経緯について説明する。
同社のグループウェア「desknet's」は、国内228万ユーザーの導入実績を持ち、その使い勝手にはかねてより定評がある。最新版はバージョン7だが、このセットで提供されるdesknet'sサービスは1つ前のバージョン6をベースにしている。もちろんSaaSという提供形態であるため、Webブラウザとインターネット環境があれば、いつ、どこでも手軽に利用できる(ただし携帯電話には未対応)。
desknet'sの特徴として筆頭に上がるのは、その多機能性とコストパフォーマンスだろう。機能面では「スケジュール管理」「設備予約」「インフォメーション(掲示板)」「伝言」「所在管理」「アドレス帳」「文書管理」「議事録管理」「回覧板」「アンケート」など、企業に必要な22個もの多様なサービスがそろっている(表1)。サービス料金は、経費ワークフローアプリケーションである「LiRaku」(後述)とのセットで5ユーザー月額5250円(税込み)で、1人当たり約1000円の計算だ。2つのアプリケーションが利用できるので、SMBでも十分ペイする料金設定といえる。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| スケジュール | 個人・グループのスケジュールを日・週・月単位で参照 |
| ToDo | 仕事の進ちょく状況や期日を即座に把握。アラーム通知も可能 |
| Webメール | 複数アカウントに対応した高機能Webメールクライアント |
| 伝言・所在 | 外出時の行先登録、不在時の伝言登録・確認が可能 |
| タイムカード | 出社、外出などのデータを8打刻まで記録・集計可能 |
| 設備予約 | 設備グループ単位の管理 |
| 回覧板 | 複数メンバーへの同時通知 |
| インフォメーション | 会社への掲示や部署ごとの掲示が可能な掲示・告知機能 |
| アドレス帳 | 個人、共有とデータを使い分けできるアドレス帳 |
| 文書管理 | 共有文書を一元管理。常に最新の文書を参照・更新可能 |
| 利用者名簿 | desknet's上に登録したユーザー情報を参照できる |
| メモパッド | 個人の電子メモ帳として利用できる |
| 購買予約 | 各種必要な備品、購入物の予約 |
| 電子会議室 | 時間・場所を問わずいろいろな人と意見交換が可能 |
| 議事録管理 | 会議にかかわるすべての作業効率を向上する |
| キャビネット | 個人で管理したい文書や画像データを保管 |
| 仮払精算 | 交通費など業務で発生する費用を精算登録可能 |
| 備品管理 | 共通で使う文房具など社内の備品を一元管理 |
| アンケート | ユーザーへのアンケートの実施・集計が可能。匿名機能あり |
| プロジェクト管理 | ガントチャートによるプロジェクトの進ちょく管理機能を備える |
| ワークフロー | 各種の届け出をルート別に申請 |
| リポート | 日報などの報告書を提出する |
使い勝手の良い画面デザイン・機能間連携の相乗効果
desknet'sのポータル画面は、機能の新着情報を通知するほか、上記の各機能を利用シーンに合わせて設定することができる(画面1)。すべてのサービスの基本画面は「メニュー」「メイン」「サブ」という3つのウィンドウ(画面2)でデザインが統一されており、初めて利用するユーザーでも直感的に扱えるようなインタフェース設計だ。特にサブウィンドウは各機能に対する検索機能や、個人設定、機能操作のヘルプなど使用頻度の高い機能が盛り込まれ、操作面のポイントになるところだろう。
このような画面デザインに加え、多機能性を補完する「機能間の密接な連携」がdesknet'sの使い勝手をさらに良くしているといえる。1つの機能からさまざまな登録が行えるため、入力の二度手間がない。例えば、あるグループメンバーで会議を行いたい場合は、スケジュールの「空き時間詳細検索」によって、対象メンバーの全員が共通利用できそうな空き時間を探し、同時に「設備予約」で会議室も押さえればいい。さらに、メンバーに対しては「メール」や「伝言」で決定内容を通知して確認を取れる。このようにスケジュールを中心にした複数の機能間連携で、効率的な情報共有を実現している(画面3)。従来のように各人の予定を何度も変更したりキャンセルするといった面倒なスケジュール調整が不要になるため、社内の人間関係も円滑になる。
desknet'sでは、メイン機能となるスケジュール管理以外にも有用な機能が用意されている。市村氏は「ほかのASPサービスで対応していない議事録管理機能もお勧め。目的や議題を明確にし、効率の良い会議を実施するために役立つ」と語る。この議事録管理機能(画面4)は、議事録作成だけでなく、会議を円滑に進める一連の流れを作れる。まずアジェンダを事前に登録しておき、それをメンバーに通知して「ToDo」機能で会議の準備をしてもらうようにすれば、話し合うことが明確になり、議論しやすくなるといった具合だ。「このほか日報・リポートなど、議事録作成以外のユニークな使い方をしているユーザーもいる」という。
細かなアクセス制御と運用負担を軽減する機能管理委任
グループウェアは、情報を共有するという目的の一方で、必要な人だけに必要な情報をコントロールすることも重要な課題だ。社内でも内部統制の観点から、一定レベルの情報セキュリティを確保しておく必要性が叫ばれるようになった。この点でもdesknet'sは、「スケジュール」「設備予約」「文書管理」「電子会議室」「プロジェクト管理」の各機能において、「全ユーザー」「グループ」「個人」といった単位で参照・登録・変更・削除権限を詳細に設定できる。
例えば文書管理機能では、フォルダやファイルごとにアクセス権をきめ細かくコントロールして、セキュリティを強固にすることが可能だ(画面5)。文書が更新されると、指定ユーザーに対して更新メールが通知されるので安心だ。このほかスケジュール機能では、上層部のみに役員会議の情報を公開し、設備予約の専用会議室を役員だけの利用にするといった応用例もある。
このように多彩な機能をサポートするdesknet'sだが、「機能が多くなればなるほど管理も大変になるのでは?」という懸念が出てくるかもしれない。これに対して、desknet'sには各機能の管理者を現場サイドに委任できる設定があり、システム管理者に集中しがちな業務を分散し、負荷を軽減できる。電子会議室の場合、システム管理者の承認なしに部・課単位で自由に会議室を作成できる権限を委任すれば、発言も活発になるだろう。
有力会計ソフトに連結する強力な経理専用ワークフロー
desknet'sには、さまざまな申請業務が行えるように、一般的な「ワークフロー」も標準で用意されている。申請経路を設定し、決められた承認ルートで業務が行えるようになっており、承認者が不在の場合でも代理・自動での承認が可能だ。desknet's単体でも十分に社内コミュニケーションを円滑にできるのだが、さらにJ-SaaS版では冒頭で紹介した経理専門ワークフローとしてLiRaku(画面6)が用意されている。LiRakuはdesknet'sとタブメニューを通じて連携しており、さらにID・パスワード再入力の必要がないシングルサインオン対応によってdesknet'sの一機能のように利用できる点も便利だ。
規模の大小にかかわらず、どのような企業でも必ず経理関係の業務は発生する。大規模システムを導入できないSMBでは、経理事務のIT化としてPC会計ソフトなどを導入するケースが多い。しかし実際には、このようなソフトを利用しても「経理事務の合理化が思うように進まない」という声も多く聞かれる。その大きな原因は、販売・購買活動や経費などの領収書・請求書からの仕訳作業が大変で、入力作業にも多くの時間が割かれてしまっているからだ。
そこでLiRakuでは、「ネット申請ワークフローによって伝票レス会計を実現し、会計ソフトへデータをスムーズに連結すべく、仕訳作業を自動化すること」(市村氏)を狙いとしている(図1)。LiRakuがデータ連動する会計ソフトには「弥生会計」「勘定奉行」「財務応援」「大蔵大臣」「PCA会計」「ミロク会計」「楽着会計」「会計王」など、よく利用されるパッケージが並んでいる。そのほかの会計ソフトにも順次対応していく予定だという。
複数依頼の一括処理やPDF出力も
経理上の申請・処理業務は、売り上げ・支払い・経費に関連したものに大きく分類されており、LiRakuの機能もこれらに準じる。例えば売上機能では、営業・販売にかかわる見積もり・受注・請求の申請と承認を行い、承認が完了した時点で請求データを入金伝票として扱える。その後、請求済みの確認や入金を確認できたら、処理データが仕訳データとなる。仕訳データは検索機能によって容易に絞り込めるため、これをCSVデータに出力して会計ソフト側にインポートすればよい。同様に支払機能や経費精算機能も、それぞれ仕入れ・商品や交通費・消耗品にかかわる稟議申請(画面7)・承認が行われる。いずれも承認が完了すると支払いデータや経費データの依頼伝票として扱われ、データ確認後に仕訳データになるといったフローだ。
LiRakuでは、承認申請をすると申請先にメールで通知し、その承認が完了したら申請者側にメールでその旨が返信される。複数依頼の一括処理も可能で、承認作業の迅速化に一役買っている。また、各種の申請作業が完了した時点で、ボタン1つでデータをPDF文書として出力することができる。また、見積書・受注書・請求書など共通項目が多い書類はコピー機能によって簡単に作成でき、書類明細に入力された金額は自動計算されるので処理上のミスも抑えられる。
このようにLiRakuは、見積書や支払い・経費の申請に関する書類作成から承認、データ化までの流れを自動化し、SMBの業務プロセス上“弱点”になりがちな経理関係の処理を強化できる。まだまだ厳しい経済状況が続く中で、グループウェアで企業活動を活性化させ、経理業務を補完するdesknet's+LiRakuは、まさにSMBにとって「一石二鳥」となるサービスといえるだろう。手ごろな価格なので、一度導入してその効果を試してみる価値はありそうだ。
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