SCVMM 2012新機能 ~ストレージ管理&ネットワーク管理
Microsoft、SCVMM 2012でVMwareのvCloud Directorに挑戦(後編)
Microsoftがプライベートクラウド市場への参入を狙い、2011年下半期にリリースする仮想データセンター管理ツール「SCVMM 2012」。後編では、ストレージ管理とネットワーク管理の分野における新機能について紹介する。
仮想化のための物理インフラのプロビジョニング
TechEdのSCVMM vNextセッション「Fabric Management for the Private Cloud」での説明によると、SCVMM 2012では、代理管理者レベルにおいてネットワーク管理者とストレージ管理者という2つのロールが新たに追加されるという。すなわち、同ソフトウェアの新バージョンは、ベアメタルサーバ、ホストクラスタ、ロードバランサ、ネットワークリソースおよびストレージリソースのプロビジョニングに対応した初のSCVMMバージョンになるということだ。
同セッションによると、SCVMM 2012では仮想マシン作成の際にOSとアプリケーションの配備を自動化できるという。さらに、SCVMMのGUIを使って物理的なホストクラスタを作成し、共有ストレージボリュームを接続することも可能だ。
「クラスタリングの自動化がもたらすメリットは大きい」と話すのは、米Slumberlandでインフラチームのマネジャーを務めるセス・ミッチェル氏だ。同社では約120個のHyper-Vゲストを運用し、SCVMMを「酷使」しているという。「クラスタリングはとりわけ手間の掛かる作業の1つだ」と同氏は語る。
TechEdセッションのパネルで説明を行った米Microsoftの担当者によると、ストレージのプロビジョニングでは、共有ストレージボリュームを作成し、これらをホストクラスタに接続する作業を自動化する機能があるという。このプレゼンテーションでは、SCVMM 2012がSMI-S標準に従ってストレージアレイに接続することが明らかにされた。なお、ストレージ分野では同標準はまだそれほど普及していない。
「これは面白そうなコンセプトだが、ストレージとの連係が実際にどんなメリットをもたらすのかが不明だ。当社の場合、クラスタ内のストレージに関しては、かなり細かい設定作業がある。そういったことに対応できないのであれば、この機能は利用しないかもしれない」とミッチェル氏は話す。Slumberlandでは米Compellent Technologiesのストレージアレイを利用している。この製品は自動階層ストレージ機能を備えているが、ミッチェル氏は、SMI-S標準だけを使ってこの機能と連係できるか疑問だとしながらも、CompellentがPowerShellスクリプトを使って連係するのを期待しているという。
ネットワーク分野に関して言えば、SCVMM 2012には仮想マシンをF5 Networksおよび米Citrix Systemsのロードバランサに自動的に接続でき、使用するプロトコルおよび負荷分散手法、ならびにパーシステンスと状態監視の設定をロードバランサに指示するカスタマイズ可能な仮想IPテンプレートも用意されている。
IPアドレス、MACアドレスおよびVIP(仮想IP)アドレスは、ネットワーク管理者が「Logical Networks」と呼ばれるSCVMM 2012の新機能を使ってプールし、プロビジョニングを行う。Logical Networksでは、ネットワーク接続サービスカタログを作成・監視することもできる。アドレスプーリング方式では、仮想マシンの作成時にIPアドレスとVIPアドレスが「チェックアウト」され、静的なMACアドレスに対応付けられる。そして仮想マシンが削除されるかサービス終了となった時点で、これらのアドレスがプールに戻される。
Dartmouth Hitchcock Medical Centerのマクシンスキー氏によると、Microsoftがこういった機能を強化しているのは歓迎すべきことだとしながらも、同氏の部門で運用している米SymantecのAltirisなどの既存のプロビジョニングツールにSCVMMが適合するかどうかは現時点では不明だとしている。「データセンター内で連係できるのかという疑問が残されている」と同氏は話す。
VMwareにとって手ごわい相手
SCVMM 2012の機能強化の中でマクシンスキー氏が特に関心を示しているのが、Dynamic Optimization and Power Managementだ。これらは一連のPowerShell拡張機能で構成され、ライブマイグレーション機能を利用して分散リソーススケジューリングを実行するほか、複数の仮想マシンをグループ化することにより効率的な電力管理を可能にする。
マクシンスキー氏によると、これはSCVMMにとって新たな機能というわけではないが、大幅に改善されているという。「従来は、Operations Managerが備えるコネクタを使って仮想マシンを移動していたが、Operations Managerでは別途インフラが必要とされるので使い勝手が悪かった」と同氏は話す。「このユーティリティがSCVMMに組みこまれるのは大きな進歩だ」
先ごろ開かれたMicrosoftのイベントでは、同社のクラウドプラットフォームであるWindows Azure用に開発中の柔軟なマイグレーション機能が発表された。これは米VMwareが「ハイブリッドクラウド」と呼んでいるモデルに非常に近い。
ミッチェル氏は「SCVMMの新リリースは、私のようなユーザーがHyper-Vのビジネス利用を検討するきっかけになりそうだ。Microsoftがこの分野に参入し、競争力を高めるのは喜ばしいことだ」と話す。
しかし現時点では、VMwareのvCloud Directorは既に出荷中であるのに対し、SCVMM 2012が現実の存在となるのは2011年のことだ。また、どのIaaSツールを使うにせよ、ユーザーがプライベートクラウドを構築するに当たっては、他にもさまざまな課題に直面するだろう。
「Microsoftのツールは確かに成熟しつつあり、データセンターとクラウドの総合管理に関して、VMwareの多くの機能と肩を並べるようになってきた」とマクシンスキー氏は指摘する。「だがこの競争の行方はまだ分からない」
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