ハードウェアやネットワークによる制限を加味
仮想マシンは何台が適切か? ~サーバクラスタのサイズを決定する
サーバ仮想化では、大規模なサーバクラスタを1つ構築するのと、小規模なサーバクラスタを複数構築するのとではどちらが良いのだろうか。ハイパーバイザーの性能よりもハードウェアの制限が関係しそうだ。
サーバ仮想化ハードウェアの性能が向上するに従って、1つのサーバクラスタで多数の仮想マシン(VM)をホスティングすることの実用性もますます高まっている。
それでも、「全てのVMを収容できる大規模なサーバクラスタを1つ構築する」のと、「小規模なサーバクラスタを複数組み合わせてホスト当たりのVMの台数をほどほどに抑える」のとではどちらがいいのかという疑問は残る。サーバクラスタのサイズには、ハードウェアの性能とネットワーク接続の性能が影響を及ぼし得る。さらには、ハイパーバイザー自身にもサーバクラスタリングの制限がある。
サーバクラスタリングの制限
サーバクラスタを構築する際に最初に行うのは、ハイパーバイザーのサーバクラスリング構成能力を判断することだ。仮想化プラットフォームにはそれぞれ制限があるため、サーバクラスタを計画する際には、そうした制限の範囲内に収まるよう考慮する必要がある。
例えば、米Microsoftの仮想化ソフト「Hyper-V」であれば、1つのサーバクラスタで最大16ノード(ホストサーバ)をサポートでき、各ホストは最大384台のVMをサポート、クラスタ当たりで利用可能なVMは最大1000台だ。米VMwareの仮想化ソフト「VMware vSphere 4.1」は高可用性(HA)サーバクラスタ当たり最大32ノードをサポートし、各ホストは最大320台のVMをサポート、クラスタ当たりで利用可能なVMは最大3000台となっている。
Hyper-V、VMware vSphere 4.1関連記事
ハードウェアによる制限
ホストシステムの制限を考慮することも同じく重要だ。実際、サーバクラスタのサイズはハードウェアによって制限される場合が少なくない。中でも注意すべきは、各ノードにインストールする物理ネットワークインタフェースカード(NIC)の数だ。
NICの要件は仮想化プラットフォームごとに異なるが、一般的には、各クラスタノードには最低4つのNICが必要となる。1つはハイパーバイザーを管理するためのもので、VMはこのNICを一切使用しない。2つ目はVMにネットワーク接続を提供するためのもの。3つ目はクラスタノード同士を接続して障害を検出するためのもの。4つ目は専らiSCSIまたはFibre Channel経由で共有のストレージ端末にアクセスするためのものだ。
だが多くの場合、大規模なサーバクラスタでは追加のNICが必要となる。冗長性を提供したり、シングルポイント障害を回避したりするために、NICを追加してVMを使えるようにするのが一般的だ。
だが、このアプローチには注意が必要だ。なぜなら、サーバハードウェアには大抵、サポートするNICの数に制限があるからだ。もちろん、マルチポートNICや10GビットのNICを使えば、掛けたコスト以上の成果を得られるだろう。だが結局のところ、最終的に制限要因になるのは恐らく、各クラスタノードが収容できるNICの数だ。
例えば、Hyper-Vクラスタを構築するに当たって、クラスタノード当たり384台という最大限のVM密度を実現したいと考えたとする。その場合、十分なパフォーマンスを提供するためには、恐らく数枚の10GビットのNICでは足りない。VMにはそれ以上のネットワーク帯域幅が必要になるはずだ。
ネットワークに関するその他の制限
ネットワーク性能の限界は、他にもサーバクラスタリングの問題を引き起こす可能性がある。仮想化クラスタにおいては、全てのVMの仮想ハードドライブファイルを共有のストレージに格納し、全てのサーバクラスタノードからアクセスできるようにしなければならない。問題は、そうした共有ストレージに1つのFibre Channelアダプター、または1つのNIC(iSCSI経由)を介してアクセスする場合、そのアダプターがシングルポイント障害になりかねないということだ。
複数のアダプターを使えば、サーバクラスタノードから共有ストレージ端末への冗長接続を提供できるが、それを行うと、大規模なサーバクラスタでは問題が生じる可能性がある。実際、米Hewlett-Packard(HP)は2010年、同社のストレージ製品「HP P4000 SAN」について、「Windows Server 2008やWindows Server 2008 R2の大規模クラスタで使用した場合には障害が発生する可能性がある」とのアドバイサリーを出している。
このサーバクラスタリングの問題は、ストレージ端末がサポートするiSCSIセッションの数によるものだ。クラスタノード、マルチパスI/O NICポート、ストレージノードを合わせて、1ボリューム当たりのiSCSIセッションの合計数が31を超えると、障害が発生する可能性があるのだ。VMware ESXクラスタが非冗長構成でも32のiSCSIセッションを使用する可能性があることを考えれば、なぜこれが問題なのかを理解していただけるだろう。
HPはボリューム当たりのiSCSIセッション数の制限を31から64に増やすパッチをリリースした。だが、この64という制限でもまだ問題が起きる可能性はある。何しろ、論理ユニット番号(LUN)を大量に管理せずに済むよう、1つのLUNに複数の仮想ハードドライブを配置している企業が多く、結果として、1台のVMが1つのボリュームに複数のiSCSIセッションを確立する可能性があるからだ。
大規模クラスタを1つ構築するのと小規模サーバクラスタを複数構築するのとではどちらが良いかという疑問は、結局のところ、個々のインフラのハードウェア性能によって決まる。ハイパーバイザーにもサーバクラスタサイズの制限はあるが、実際にはハードウェアの制限の方が先に影響してくるため、サーバクラスタのサイズ制限は実質意味を成さない場合が少なくない。
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