Hyper-VマネージャとSCVMMの使い分け
Windows環境の規模に応じた最適なHyper-V管理ツールの選択
Hyper-V環境での仮想化管理ツールを企業規模別に見ていく。企業規模によって求められる管理機能が異なるため、管理ツールの使い分けが必要だ。
米MicrosoftのHyper-Vが広く普及しているのは、Windows Serverライセンスの一部として提供され、追加費用なしで利用できるからかもしれない。しかし、Hyper-Vが手軽に使えるからといって、IT管理者が仮想環境管理のベストプラクティスを考慮する必要があることに変わりはない。むしろ、ハイパーバイザー市場のコモディティ化が進む中、その必要性は一段と高まっている。
ベンダーは現在、仮想化レイヤーを無料で提供し、管理で利益を上げている。このため、各ベンダーの管理ツールスイートを検討し、自社のインフラに最適なものを選択することが非常に重要だ。Hyper-Vツールはさまざまなものが出回っており、企業が選択すべきツールは自社環境の規模によって異なる。
小規模環境:標準ツールや安価なツールで対応可能
仮想化は、もはや大企業だけのためのものではない。実際、サーバを数台しか使っていないような小規模な企業が、仮想化によって大幅なコスト削減を実現している。使用するサーバが数台しかないシナリオでは、Hyper-Vの統合されたツールを使うことが理にかなっている。例えば、Hyper-VにビルトインされたHyper-Vマネージャは、1~2台のサーバを管理する場合、コストの掛からない手っ取り早い選択肢だ。IT管理者は1台のシステム上でそれらを簡単に作成、管理できる。
Hyper-Vマネージャは、小規模な環境に最適と考えられる。クラスタリングが不要な場合は特にそうだ。また、小規模企業は無料のリモートサーバ管理ツールでサーバを管理でき、おなじみのリモートデスクトップセッションでリモート接続を作成できる。
高可用性やP2V変換(物理コンピュータから仮想マシンへの変換)のような仮想化機能を必要とする企業のIT部門は、MicrosoftのSystem Center Virtual Machine Manager(SCVMM)への投資を検討すべきだ。そこそこの規模のIT環境でSCVMMを使う場合でも、莫大なコストが掛かるかもしれない。だがMicrosoftは、それらの機能が低コストで手に入るWorkgroup Editionも提供している(Workgroup Editionの参考記事:「サーバ仮想化ソフトウェア主要4製品 導入コスト比較! ~技術検証用途における試算」)。SCVMM Workgroup Editionでは、最大5台のHyper-Vホストサーバを管理でき、P2V変換のメリットを享受するとともに、クラスタ化されたサーバ間でライブマイグレーションを行うことが可能だ。P2V変換は、再インストールするに値しないソフトウェアが運用されているような、老朽化した寿命間近のサーバがある場合に特に便利だ。
中規模環境:より高度な管理機能が必要
IT部門が管理しなければならない仮想マシンが数十台、あるいは数百台に増えると、Hyper-Vマネージャでは手に負えない。スタッフを大幅に増員せずにそうした新しい環境に対応したいと考える企業は、優れた監視機能や自動化機能を提供し、ゼロからの開発が不要なツールを検討すべきだ。
Microsoft System Centerスイートを使っているIT部門では、SCVMMに目が向くだろう。SCVMMの次期バージョン(現在、System Center Virtual Machine Manager 2012としてリリース予定)でも、System Centerスイート全体にわたる統合的な管理アプローチが踏襲される。この次期バージョンは、同スイートの他のコンポーネントであるSystem Center Configuration Manager(SCCM)やSystem Center Operations Manager(SCOM)などの次期バージョンと共にリリースされることになっている。SCOMは、Hyper-Vを監視するための管理パックが、購入後すぐに使えるようになっており、手間を掛けずに迅速に安定稼働を実現する必要がある企業にとって賢明な選択肢だ。実際、SCVMMを使って仮想マシンとホストマシンを十分に監視するには、SCOMを併用する必要がある(SCOMの参考記事:「サーバ仮想化の導入形態で見る、仮想化ソフトウェアの機能とライセンス」)。
大規模環境:柔軟性が肝心
大企業のIT部門は、企業システム全体に組み込まれていることが多い既存のIT管理システムに、仮想マシンを統合するという課題を抱えている。この統合では、柔軟性が肝心だ。適切なソリューションを実現するには、IT管理者は管理ツールをうまく組み合わせなければならない。
大手ベンダーは、仮想環境でHyper-Vだけでなく、米VMwareのVMware ESX/ESXiも管理、監視するベンダー中立の選択肢を提供している。例えば、米Quest Softwareが提供する統合型ツールであるvFoglightでは、ハイパーバイザーを監視し、使用可能なコンピューティングリソースをワークロードに適切に割り当てる。数千台の仮想マシンを扱う状況では、要求される多様なワークロードとサービス品質をサポート、維持するツールを探すことが重要だ。
また、大企業は、小規模企業が必ずしも重視しない機能を求めることが多い。具体的には、Hyper-Vホストの自動展開、仮想環境の高速バックアップ、共有ストレージのプロビジョニングにおける互換性確保といった機能だ。例えば、米Hewlett-Packard(HP)のInsight Orchestrationは、Hyper-Vホストの自動展開をサポートし、ターゲットブレードマシンで全ての必要なリソースが使用可能であることを確認する。また、新しいクラスタ化されたHyper-Vホストを管理者が簡単にインストールできるように、セルフサービスポータルもサポートする。
物理環境で定番の単機能ツールは仮想環境でも必須
現在、Hyper-Vをサポートするさまざまなツールセットが販売されている。こうしたツールが乏しかった数年前と比べると歓迎すべき変化だ。ハードウェア統合から監視、管理まで、幅広い機能を提供するこれらのアドオンは、サーバが数台以上あり、ライブマイグレーションのような機能が必要な場合は有益だ。
しかし、システム管理者にとって定番の単機能ツールも忘れてはならない。例えば、仮想HDDフォーマット変換、プロセッサ検出、監視といった機能を提供するものだ。これらは仮想サーバ環境でも必ず必要になる。
本稿筆者のエリック・ビーラー氏は90年代半ばからIT業界に携わっており、そのはるか前からコンピュータ技術に親しんでいた。現在、共同経営するConsortio Servicesを通じてコンサルティングとトレーニングを提供している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー