部門別:Microsoftライセンス攻略(前編)
システム管理者に要求されるMicrosoftライセンスの知識
全従業員が、Microsoftのライセンスについて熟知している必要はない。一般従業員とシステム管理者では、知っておくべき事項は当然異なる。部門別に、求められる知識を解説する。
米Microsoftソフトウェアライセンスの複雑さを前にすると、ほとんどの従業員の頭の中では、本来の職務を片付けるなど、他の作業が優先される。しかし、そろそろライセンスについて従業員が知っておくべきことを考える必要がある。
一般に、(自分でインストールすることはなく)ソフトウェアを使用するだけの第一線で働く従業員には、ライセンスの詳しい知識は不要だ。必須事項と禁止事項および質問がある場合の問い合わせ先を伝えておけばよい。
しかし、IT管理や調達担当などの業務職では、ライセンスの知識が有用な場合がある。CEOであっても、コンプライアンスやソフトウェア資源の有効利用を確かなものにするには、財務部や人事部に適切な指示を与えられるだけのライセンスについての知識が必要だ。
前編となる今回は、一般従業員、基幹業務マネジャー、システム管理者の三者を取り上げ、Microsoftのライセンスについて何を知っておくべきかを解説する。
一般従業員
ほとんどの業務職員にとってソフトウェアライセンスの専門知識は役に立たないため、ガイドラインは1分間で読める(覚えられる)ような簡潔なものにするべきだ。このガイドラインには、次のポイントを含める必要がある。
- ヘルプデスクがサポートするソフトウェアは何か? OSやOfficeスイート、Webブラウザ、組織内で広く使用されているカスタムソフトウェアなど、承認されている業務ソフトウェアを簡潔にまとめて提示する
- 業務用PCに私用ソフトウェアをインストールできるか? 100文字程度にまとめ、ソフトウェアの自動更新機能を利用できるか、または業務目的であっても音楽やソフトウェアをWebからダウンロードしてインストールできるかを規定する
- 業務メールや社用文書などのリソースに、私物のPCやスマートフォンを使用してアクセスできるか? このようなアクセスを許可する場合は、ライセンス費用が跳ね上がる可能性があるが、ユーザーの生産性の大幅な向上も期待できる
- 業務用PCからFacebook、Twitter、Google+などのソーシャルネットワーク、音楽サイトや動画サイトにアクセスできるか?
- 業務用PCまたは業務に使用している私物PCから、会社がソフトウェアを削除することはあるか?
- 他に情報が必要な場合の問い合わせ先は? ポリシーの詳細が記載された内部資料の場所、ライセンスの知識があるスタッフの連絡先、ユーザーがインストールできるソフトウェアの包括的なリストを記載する。さらに、承認済みのダウンロードプログラムおよびソフトウェアの発行元がコードの再配布を認めていない場合は、承認済みのダウンロードサイトへのリンクを含める場合もある。また、特定の職務または部門にのみ適用される規則も参照できるようにする
基幹業務マネジャー
ユーザーを管理する立場の人間は、言うまでもなく、ユーザーに対する規則を把握しておかなければならない。また、見極めが難しいケースや、例外的な状況、サポートを必要とする新規または更新されたアプリケーションについて問い合わせ先となるヘルプデスク、IT部門、または業務部の窓口を押さえている必要がある。よくある質問についてはユーザーが答えをすぐに見つけられるようにして、管理者自身が必要以上に多くの情報を扱わなくても済むようにしたい。
組織の階層の複雑さによるが、複数の管理レベルでは、このレベルの情報があれば十分だろう。
システム管理者
新規ユーザーのプロビジョニングやネットワークディレクトリ情報の変更の担当者は、組織の基本のライセンス規則と制約を十分に理解している必要がある。例えば、SharePointベースのExcelスプレッドシートや高度な検索テクノロジー、エンタープライズリソースプランニング(ERP)統合など、SharePoint Enterprise CAL(クライアントアクセスライセンス)が必要な特定のSharePointリソースへのアクセスが認められているユーザーとそうでないユーザーがいる場合がある。コンプライアンスを維持するには、このアクセス権の状態をサーバアクセスやファイルアクセスにも反映することが重要だ。
また、サーバ製品をインストール、展開、管理する管理者には、サーバ製品のライセンスについて詳しい知識が必要になる。例えば、各端末へのインストール数に制限のないMicrosoft製品(一部のデスクトップアプリケーションとサーバアプリケーション)や、仮想マシンでのアプリケーションおよびサーバOSの使用を制限する条項などを把握している必要がある。また、ソフトウェアアシュアランス(SA)や、各OS環境への無制限のインストールが認められるライセンスオプション付きで購入されたソフトウェアについても認識している必要がある。
このレベルのITスタッフは、実際の使用状況を記録し、さまざまなアップグレード、ダウングレード、展開されていない既知のソフトウェアライセンス、その他にライセンスやコンプライアンスに影響する変更について、(できれば資産管理データベースを使って)履歴を管理する必要がある。また、使用中の製品や組織に影響を与え得る使用権の変更について詳細が記載されている文書を管理者が参照できるように整備する。
これは、フルタイムの仕事である必要はなく、運用スタッフがどのシフトで勤務していてもライセンスについて問い合わせできるように、複数の担当者で対応してもよい。一部の組織では、Microsoft SQL Serverの達人など、特定の製品の「達人」を設けている。この「達人」は、技術的なエキスパートであるだけでなく、ライセンスのエキスパートであることも期待される。何か変更があった場合に、その情報が必要な従業員に直ちに連絡されるようにする。
後編「不要なMicrosoftライセンスの節約効果は数百万ドル!?」では、引き続きIT管理部門、ソフトウェア資産管理部門、調達部および業務部、経営陣が知っておくべき事項について解説する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
部門別:Microsoftライセンス攻略
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー