Microsoft製品のライセンス管理法【前編】
Microsoftが勧めるボリュームディスカウントに要注意
Microsoft製品を購入する際は、同社の複雑なライセンスを理解しておく必要がある。同社も同社の代理店も、顧客ではなく自分たちにとって都合がいいボリュームライセンスを提案するので要注意だ。
多くの企業では、Microsoftのライセンス関連業務を運の悪い人物に押し付けている。担当になってしまった人は定期的に辛酸をなめては、役目を果たしたら次の出番が来るまでは元の部署に戻って行く。これはソフトウェアのライセンスを処理する賢い方法とはいえない。ライセンスは複雑なプロセスで、次のように複数の部門をまたいで関係者がいるからだ。
- ユーザビリティを基に、ソフトウェアの調達を申請する人物
- そのための予算を策定する人物
- ソフトウェアを購入するボリュームライセンス契約の交渉担当者
- 発注書を発行して請求書の支払いをする人物
- ライセンス済みの製品をインストールして構成するIT部門の人物。この人物は、その製品が稼働しているサーバやデスクトップの管理を担当している場合もある
- 実際に製品を使用する従業員
- 会社の資産管理の担当者で、製品が使用およびインストールされている場所や、この製品を使用停止またはアップグレードするときに、削除または更新すべきレコードを把握している人物
ここまでで、少なくとも7人がライセンスに何かしら関わっている。このうちの誰かに過失があった場合、規約違反のリスクが発生し、このリスクは相乗的に増幅し得る。場合によっては、単純な誤りが巨額のペナルティにつながることがある。
このように責任の所在が分散している組織では、ライセンスの知識を持つ担当者を確保するだけでなく、問題を防ぐにはどうしたらよいか、問題が発生した場合に誰に連絡すべきかについて周知徹底を図る必要がある。これは特にMicrosoft製品の場合に当てはまる。Microsoftほど、企業のライセンスの状態について目を光らせているメーカーはないからだ。
今回の記事では、2部シリーズの前編として、申請から予算策定までのライセンスプロセスの各段階と、ライセンスについての知識が重要な理由について説明する。
申請
“ライセンスに詳しいから”といってITスタッフが採用されることはめったにない。実際、IT担当者がライセンスにかける時間は少ないほどよい。しかし、ソフトウェアアーキテクトなど開発プロセスの上流工程に関わる場合は、予算、ソフトウェア設計、運用に対するライセンスの影響を認識しておく必要がある。例えば、データベースの設計では、少しだけ多めにハードウェアに予算を割くことで、ソフトウェアのライセンス費用を大幅に削減できる場合がある。また、設計によっては会社に罰則が課せられかねないライセンス上の落とし穴(負荷分散や仮想マシンのプロビジョニングを制限する規約など)がある。
ソフトウェアの依存関係も地雷の1つだ。例えば、Microsoftの多くのサーバ製品は、Microsoft SQL Serverのライセンスを必要とする。また、外部ユーザーが使用できるマルチサーバ構成のSharePointシステムを開発する場合は、SharePointのライセンス方法について十分に理解していないと、多額の追加費用や柔軟性の低いソリューションを生み出す。
アーキテクトはこのような製品間の依存関係を考慮しつつ、パフォーマンスの良いソフトウェアモデルを考案する必要がある。投資効率を最大化し、通常の操作で規約順守に神経をすり減らすような事態を極力避けるように、アプリケーションを管理する。
有利なボリュームライセンスの選択
Microsoftには、ボリュームディスカウントが提供されるプログラムが少なくとも10種類はある。しかし、通常は同社も同社の代理店も、顧客に提案するのは1つだけで、しかも顧客ではなく営業部隊にとって都合がいい提案になりがちだ。
私の経験では、顧客企業のITの計画や目標にそぐわない提案がなされることが多い。最終的に、顧客は他に選択肢がないと判断して割高で柔軟性の低いプログラムを契約してしまい、パフォーマンスや製品受け渡しの保証がほとんどされないまま長期間にわたり忠実なMicrosoftユーザーとなる。
ボリュームライセンスプログラムの選定と交渉は、法務、財務、購買など、複数の部署が関係する場合があるが、組織にとって利用可能な全ての選択肢を把握するよう努めたい。それにより、その組織のIT目標を達成する上で最もふさわしいプログラムを特定できる。
また、このことからライセンスに関してまた別のポイントが見えてくる。「コミュニケーション」だ。運用部門が要件を明示できれば、IT部門がその要件に合ったハードウェアとソフトウェアを特定でき、IT部門が描いたアーキテクチャに沿って購買部門が最適な購買プロセスを選択できる。
Microsoftの場合は、価格や他の要素以外に、タイミングも重要だ。同社のボリュームライセンスプログラムの仕組みを社内の誰かが理解していれば、すぐには必要ないものについては購入のタイミングを調整することで、非常に有利な割引が受けられることがある。
予算策定
IT関連製品の購入資金を確保し、無駄を抑えるため、予算の担当者は組織の全体的な予算と財務処理を踏まえてライセンス要件と購入プランを特定する必要がある。
Microsoftのボリュームライセンスプログラムは、“分割払い”の利率がゼロの場合もあるが、通常はアップグレードや保守関連のサービスが提供されるSoftware Assurance(SA)を併せて購入しなければならない。SAは25%以上のケースで、費用対効果を考えると割に合わない。むしろ、Microsoftの融資部門であるMicrosoft Financingが、一般のローンと張り合える利率でプランを提供している。数年間にわたる分割払いを検討しているのなら、こちらの方が有利だ。この場合、SAを購入する必要がないのだ。
また、同社のサブスクリプションライセンスプログラムも、特に地域によっては税制上のメリットがあるため有力な選択肢だ。
契約期間の途中で、ソフトウェアや追加のデスクトップPCの購入に伴い、多額の一時出費が発生することがある。従って、予測可能な現行の支払いだけでなく、期間ごとに予備費も考慮して予算を立てるようにしたい。自社の資金調達の選択肢と計画外の出費につながる出来事を把握しておけば、臨時の出費にも対応(または防止)できるだろう。
さて、ニーズを見極め、予算が決まったら、次は何をすればよいだろうか。後編「ライセンス管理欠如がもたらす“正規ユーザーによる不正使用”に注意」では、Microsoft製品のライセンス購入、使用、管理の実際について見ていく。
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Microsoft製品のライセンス管理法
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