デスクトップ仮想化5つのシナリオ
さまざまな仮想化シナリオとWindowsライセンスのオプション
Microsoftのデスクトップ仮想化にはさまざまなシナリオとライセンスが存在する。ライセンスの選択ではトレードオフは避けられないため、仮想化の目的や要求仕様を固め、適切なライセンスを選択するべきだ。
仮想デスクトップインフラの導入を目指す企業や組織は、ライセンスの検討を始めた途端、必然的な問題にぶち当たる。米MicrosoftのデスクトップOSのライセンス方式が物理デバイスを前提にしているためだ。これは今日全盛を迎えつつある仮想化時代に全く対応していない。
企業は仮想マシンで実行するOSのライセンスをどこで入手できるだろうか? また、ローカルマシンから仮想マシンへのユーザーアクセスは、どのようにライセンスされるのだろうか?
Microsoftや同社の再販業者は通常、エンタープライズアグリーメントのような全社レベルのライセンシングプログラムを通して、デスクトップOSライセンスにSoftware Assurance(SA)を追加することによって得られるメリットを顧客に案内しているようだ。既にSAを取得済みの顧客にとっては、1台150ドルのコストが掛かるWindows Professional OEMライセンスと比較して、仮想化のメリット──デスクトップ1台当たり約55ドルで仮想マシン(VM)に無制限にWindowsをインストールでき、最大4台まで同時実行できる権利──は非常に価値がある。
制約的なルール
ただ、Microsoftの顧客はいつでも自由にSAを手にできるわけではない。SAは新しいライセンス契約を結ぶときにしか提供されないからだ。そのため顧客は、まず新しいOSを購入しなければならない。既にWindows 7をインストール済みでも、新たにWindows 7を買わなければならないのだ。
その場合のみ、顧客は年間55ドルでMicrosoftからSAを受けることができる。だが、請求書は3年間でデスクトップ1台当たり300ドルを超えるだろう。また同社は、小売りとOEMのラインセンスを物理デバイス1台につき1ライセンスに制限している。
もっとも、このコストを下げる方法は幾つかある。全く無料のものから年間100ドル程度のものまで、さまざまなオプションがある。それに加え、1つのVMで実行するOSのコストを複数のユーザーで負担すれば、ユーザー当たりのコストを削減することが可能だ。
要求仕様の定義
デスクトップ仮想化に向けた最も一般的な2つの動機は、デスクトップ管理と、Windows VistaやWindows 7と互換性のないアプリケーションを実行する必要性だろう。
仮想ライセンスの選択肢には必ずトレードオフが含まれるため、要求仕様をしっかり定義することが重要だ。まずは代替オプションでやっていけるかどうかを判断するために、仮想化の目的を明確にしなければならない。
デスクトップ管理のシナリオでは、長期的なアプローチで組織内のほとんど、あるいは全てのデスクトップをカバーすることになるだろう。一方、アプリケーション互換性のシナリオは、より短期的で、特定の目的に焦点を合わせたものになるかもしれない。恐らく、仮想環境のライセンスを必要とするのは一部のユーザーとアプリケーションに限られるだろう。
Windows XP Mode
仮想マシンでレガシーアプリケーションを実行したい場合、明確なソリューションはWindows 7のWindows XP Modeである。それはMicrosoftがユーザーに初めて無償で提供する特筆すべきセカンドOSライセンスだ。Windows 7 Professionalユーザーは、同じく無償提供のWindows Virtual PC内でWindows XPのフリーコピーを実行できる。
このソリューションは、恐らく中規模企業や特定の部署などで、レガシーアプリケーションの利用を図る短期的な仮想化に最適だろう。
Remote Desktop
これから説明する仮想化オプションは、Windows XP ProfessionalやVista Business、あるいはWindows 7 ProfessionalなどのビジネスOSを実行するコンピュータ向けのものだ。
それはRemote Desktopと呼ばれるもので、名称はWindows Terminal Services──Remote Desktop Services(RDS)と混同しがちだが、全く別物である。Remote Desktopは、OSを実行する新規のコンピュータに適用されるエンドユーザーライセンスアグリーメントに含まれ、物理、仮想を問わず、遠隔地のコンピュータに2つのアクセス方法を提供する。
まず、リモートコンピュータのプライマリユーザーであれば、どのようなOSを実行しているコンピュータからでも、そのコンピュータにアクセスできる。例えば、もしユーザーの自宅にWindows 7が稼働するデスクトップがあれば、どのようなコンピュータやデバイスからでも、ユーザーは自宅のコンピュータに自由にアクセスできるだろう。追加的なライセンスは必要ない。
次に、同一のOSライセンスを持つコンピュータであれば、追加的なライセンスやSAなしで、リモートコンピュータにアクセスできる(リモートコンピュータやVM上で実行するOfficeなどのアプリケーションにはライセンスが必要)。
Remote Desktopは、リモートOSへのアクセスをカバーするが、VMのOSそのものに対するライセンスではない。従って、同じOSがライセンスされたコンピュータであれば、ビジネスOSのOEMライセンスが適用されたコンピュータやブレードにリモートからアクセスできる。
特定の部署でXPアプリケーションを実行する必要がある場合、このソリューションは有効だろう。需要のピークに対応できるだけのOSを購入し、大勢のユーザーでそのコストを負担すればよい。
OEMバージョンのWindows 7 Professionalは、Windows XPのライセンスを含むため、この方法で作成したVMでXPを実行すれば、Windows XPやWindows 7のライセンスを持つユーザーからアクセスできる。
Remote Desktop Services
Remote Desktop Services(旧Terminal Services)は、アプリケーションの互換性でも、一元管理でも、長い年月をかけて有効性が実証されたソリューションだ。仮想化オプションでも見逃すわけにはいかない。
RDS Client Access License(CAL)は、Windows 2008 R2 Server(Windows 7アプリケーションを実行可能)やWindows 2003 Serverへのアクセスに利用できる。それらのサーバはXP互換アプリケーションの実行環境としても優れている。
このCALは、さらに2つの便利な機能もライセンスしてくれる。その1つは、Windows Server 2008 R2の接続ブローカ機能だ。この機能を利用すれば、デスクトップユーザーは適切なRDSセッションやリモートの物理、仮想サーバにリンクできる。もう1つは、Terminal Services用のApp-Vで、アプリケーションをRDSセッションへ排他的にストリームする。アプリケーションの中にはRDSセッションで正常に動作しないものもあるため、この機能はそうした非互換性を改善するのに役立つだろう。
デバイスあるいはユーザー当たりの一時的コストは85ドル以下なので、RDS CALは比較的安価だ。ただし、Windows Serverのライセンスと追加的なハードウェア、特にサーバメモリが必要になる場合がある。
Virtual Desktop Access
最も安価な仮想化ソリューションというわけではないが、年間100ドルのVirtual Desktop Access(VDA)ライセンスは、限定的な仮想化を目指す組織に高度な柔軟性を保証してくれるだろう。また、ユーザーがディスクレスPC上でWindowsインスタンスを実行できるなど、コスト面においても有利な点がある。
VDAライセンスは、シンターミナルやLinuxデスクトップなど、あらゆるデバイスに適用できる他、VMの無制限な作成、サーバ上の4つのVMへの同時接続、ローカルマシン上のVMでOSインスタンスを実行できるなど、SAライクな仮想化オプションも提供する。さらに、1本のWindowsをキオスクやホームPC、あるいはVDAライセンスユーザーの所有していない他のデバイス上のVM(フラッシュドライブやDVDにストアしたVM)へ「ローミング」することも許される。
Software Assuranceの追加
一方、ライセンシングに関する2つの回避策を利用すれば、新しいライセンスを購入するときのみSAを取得できるというルールをバイパスすることが可能だ。
最初の回避策は、Windows 7 Professionalのライセンスを持つ新しいコンピュータのOSライセンスに、購入から90日以内にSAを追加する方法だ。古いハードウェアをWindows 7 ProfessionalマシンにリプレースしてSAを追加すると、年55ドル以下のコストで非常に気前のよいSAを取得でき、XPアプリケーションを実行する必要のあるユーザーもアップグレードできる。
もう1つのソリューションは、Open Value Subscription(コンピュータ250台以下で1台当たり年間70ドル、それ以上で年間61ドル)やEnterprise Subscription Agreement(250台以上で1台当たり年間55ドル)などの、サブスクリプション方式のライセンシングプログラムを通してOSをライセンスすることだ。
これらのプログラムは、アップグレードライセンスを購入せずに既存のコンピュータを全て最新のWindowsバージョンにアップグレードできるだけでなく、全てのPCに仮想化を含むSAのメリットをフルに適用できる。
Microsoftのライセンシングプログラムは、仮想デスクトップインフラに大きくコミットしたい企業や組織を手助けしてくれるだろう。ほとんど、あるいは全てのWindowsインスタンスをVMで実行することにより、デスクトップ管理のコストも大きく削減されるはずだ。
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