Googleと「Google+」で変わる思考と社交【前編】
Googleは本当に記憶力を低下させているのか?
どこかで読んだ調査によれば、私たちはGoogleのせいで頭が悪くなっているわけではないそうだ。もし必要ならリンクをツイートしよう……いや、もう送ったっけ?
あなたは情報を“後で必要に応じてネットで見つけられるもの”と、“ネットでは見つからないので記憶しておかなければならないもの”とに分類していないだろうか。もしそうなら「Googlitis」(Google炎)にかかっているかもしれない。Urban Dictionaryの定義によると、これは取りつかれたように、あるいは無意識のうちにGoogleで検索してしまうなど、人生の全ての疑問の答えをGoogleで探そうとする症状を言う。
Googlitis、ではなくてGoogleは、記憶力の低下や怠慢、さらには知能の低下にまで関係するといわれてきた。しかしコロンビア大学が最近実施した「記憶におけるGoogle効果:指先だけで手軽に入手できる情報が認識に与える影響」という調査によると、Google検索(および他社の検索エンジン利用)によって記憶力が低下したり、知能が低下したり、知的動機が低下したりはしていないことが分かったという。一方でこの調査を実施した研究者は、検索エンジンは私たちが情報を処理する方法を変化させていると論じた。
情報を処理する方法は産業革命によって変化した。そういう言い方をすれば、情報を処理する方法はエアコンによって変化した。猛暑が続くこの夏にエアコンがなければ、私が情報を処理する方法は劇的に変化していたに違いない。つまり私が言いたいのは、テクノロジーによって私たちの生物学的な社交パターンや行動が根本的に変わることはなく、それは検索エンジンにも当てはまるということだ。
情報の所在場所の記憶
私たちは何か分からないことがあると、必要な情報をどこで見つけられるかを考える。そして情報そのものよりも、どこで見つけられるかを優先しがちな傾向がある──。人間の記憶の仕組みに与える検索エンジンの影響に関する研究を主導したコロンビア大学のベッツィ・スパロウ氏はそう解説する。
私たちはGoogleで検索できる、あるいはネットで情報を見つけられると思ったものについては、忘れてしまう傾向がある。しかしネットで見つからないと思ったものは、その情報を記憶に刻みつけようとすることが多い。
スパロウ氏によると、私たちの脳が記憶をインターネットに頼るのは、友人や家族、同僚の記憶に頼るのと同じようなものだという。つまり、情報を引き出す相手が変わっただけで、他に何が変わったのかということだ。
父がオイル交換の方法を教えてくれ、私の初めての車でやって見せてくれたとき(これは車を操作するための数ある条件の1つにすぎない)、私は概略は記憶したが、タイヤがパンクしたら誰に電話すればいいかは分かっているとの認識だった。自分の車のオイル交換方法は知っておいた方がいいが、実際にはオイル交換は全て店がやってくれると父が説明した時点で、私の脳はスリープモードになり、動かなくなった。
反対に、私たちが記憶をとどめているときは、どこでそれを得たかを覚えていることが少ないと報告書は指摘する。つまり、情報を記憶できないときは一般的に、それがどこで見つかるかを覚えている。一方、情報を記憶している場合、どこでその情報を得たかを思い出せるとは限らない。20世紀に最もダウンロードされた楽曲はジャーニーの「Don’t Stop Believing」だったという話はご存じだろうか。私は先週どこかのニュース番組で見たのだが、どこだったかは思い出せない。
記憶力の低下はGoogleのせいではない?
Googleの副作用の可能性を大げさに言い立てた説に便乗して騒ぐのはたやすい。あなたが1週間のうちに使うユーザーネームとパスワードは幾つあるだろうか。行き来するSNSの数と、管理しているプロファイルの数、電子メールアカウントの数は? 今年は幾つ、新しいアプリの使い方を覚えただろうか。まだいくらでも続けられるが、私たちのほとんどは情報荷重の日々──あるいは歳月──を送っており、たった今Googleで検索した情報のことも、自分たちがかつてほどスマートではなくなったと感じるときのことも思い出せないと言えば十分だろう。
大抵の人は、記憶力の問題を平均以下の知能と結び付けて考えがちだが、精緻化と呼ばれる記憶の符号化プロセスは知能とは関係ないので安心してほしい。例えば自分の電話番号さえ覚えられず、余計な鍋を洗いたくないからとスープを煮ている鍋で卵をゆでるような人物から助言を得たいと思う人がいるだろうか。この、記憶力に問題があって無精者だった男とはアインシュタインのことだ。アインシュタインは言った。「本で調べられること(あるいはGoogleで検索できること)は覚えなくていい」と(Googleの部分は冗談で付け足した)。
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