注目すべきは画面転送だけでない
3D対応やVoIPも実現、VMware View 5の新機能とライセンス
ヴイエムウェアから新しいデスクトップ仮想化製品「VMware View 5」が登場した。3Dアプリケーションへの対応やVoIPの実現、セキュリティ強化、ユーザー管理、監視など幅広い機能的向上が図られた。
VMware View 5で何が変わったのか
製品の新バージョンを続けざまに登場させているヴイエムウェアから、今度はデスクトップ仮想化製品の新バージョン「VMware View 5」が登場した。ハイパーバイザーを最新バージョン「VMware vSphere 5」(関連記事:ライセンスのカウント方法も分かる! VMware vSphere 5の全貌)にするとともに、さまざまな機能追加および強化がなされ、デスクトップ仮想化製品として使いやすいように改善されている。具体的に、VMware View 5でどのような機能追加および強化がされたのだろう。
ヴイエムウェアの公開Webページ「VMware View 5」でも主な機能の説明がなされているが、本稿では追加・拡張された機能を利用者の視点で分類し直し、かみ砕いて解説する。
利用者環境
1.3Dグラフィックス向けのView メディア サービス
VMware View 5ではハードウェアアクセラレーションが不要な3Dグラフィックス対応機能が実装された。これに伴い今までのVMware View 4.6では利用できなかったWindows 7のWindows AeroやOffice 2010などの機能が利用できるようになった。
また、DirectX 9、OpenGL 2.1もサポートされ、これらを利用した基本的な3Dアプリケーションも利用できるようになった。
クライアント側に特定のGPU(Graphics Processing Unit)やクライアントデバイスを追加し、そのデバイスを利用して動作を実現する他社製品と異なり、特別なハードウェアを使わずに3Dアプリケーションを利用したデスクトップを仮想化できるようになった点がVMware View 5のポイントだ。
2.組み込みのユニファイドコミュニケーション用 View メディア サービス
VMware View 5ではView APIを使用してMitel、Cisco Systems、Avayaとユニファイドコミュニケーション連携を行い、デスクトップ内で統合されたVoIP(Voice over Internet Protocol)の実現が可能になった。
これにより、例えばコールセンターではオペレーターは集約・仮想化された仮想マシン上のインタフェースを使用してコールの受け取りやコンピュータシステムと情報をやりとりするが、実際の通話はコールセンターにある物理メディアを経由するなど、VoIPとコンピュータ情報を分離することができる。また、両者を統合して一括管理できるようになった。
さらに、既存設備がMitel、Cisco Systems、Avaya製品でVMware View APIに対応している場合、既存の設備を活用してVoIP対応およびデスクトップ仮想化を容易に実現できる。
3.PCoIP最適化の管理
利用者は、管理者側で設定するPCoIP最適化の管理によって、適切な帯域で仮想デスクトップ環境を利用することができるようになった。
設定の詳細については本稿「管理-PCoIP最適化の管理」の項目を参照願いたい。
4.PCoIP継続性サービス
利用者が環境を利用しているときに何らかの理由で接続が失われた場合に、その切断を自動的に検出し30秒以内に自動再接続する機能である。この機能によって、利用者が切断されたセッションを再接続、ログインする手間をなくせるとともに、作業中断時間も低減できる。
5.Android向けView Client
現時点で仮想デスクトップにPCoIPで接続できる環境は、VMware View ClientをサポートしているWindows PCまたはiPadに限られているが、今後はAndroid端末でも利用できるようになると発表されている。
管理
1.PCoIP最適化の管理
VMware View 5では「クライアントサイドキャッシング」「ロスレスCODEC(プログレッシブ構築、ロスレス構築切り替え)」「ロスレス構築機能OFFグループポリシー」という新たな最適化オプションを利用し、IT管理者が使用環境、利用者要件、またはネットワーク要件に合わせて帯域幅を構成できるようになった。具体的には、クライアントサイドキャッシュ(デフォルトで利用)によってコンテンツの再送を回避すること、ロスレスCODECによる帯域に適した画面転送などによってPCoIPの最適化が行われる。
なお、自動的にプログレッシブ構築、ロスレス構築切り替えをしたくない場合は、ロスレス構築機能OFFグループポリシーで明示的にどちらかの動作に指定することもできる。
2.View Persona Management
View Persona Managementは、簡単に言えばWindowsの移動ユーザープロファイルと同様の機能をVMware View側で実装したものである。ステートレスなフローティングデスクトップに対し、ユーザーがログインした際、動的にそのユーザーのプロファイルをひも付けする機能である。
Windowsの移動ユーザープロファイルと異なる点は、Windowsの移動ユーザープロファイルはOSとユーザープロファイルが一体となって機能するが、View Persona ManagementはOSとユーザープロファイルが分離されて別々に管理されるため、将来的にOSの入れ替えが発生してもユーザープロファイルには影響しない点だ。また、Windowsの移動ユーザープロファイルでは業務開始時などアクセス集中によるログイン遅延が発生することがあるが、View Persona Managementでは管理方法が異なるためこれを回避することが可能である。
3.PCoIP拡張サービス
View Persona Managementは、VMware View環境に対しWindows Management Instrumentation(WMI)ベースのツールを使用して、セッションごとに4つのカテゴリ(イメージ、ネットワーク、USB、オーディオ)および20以上のセッションの統計を収集し、プロトコルのパフォーマンス、ネットワークに対する影響度を監視する機能である。これにより利用者のVMware環境の問題監視やトレンド分析、トラブルシューティングを迅速に行うことができるようになった。
4.強化されたセキュリティ設定
クライアントがVMware View環境に接続する際に証明書をチェックし、許可されたクライアントだけが利用できるようにする機能である。WebブラウザのSSL証明書モデルを使用している。この機能は設定により「No Security(無効)」「Warn But Allow(警告するが許可する)」「Full Security(フルセキュリティ)」を選択できる。VMware View 5のデフォルトではWarn But Allowが設定されている。
インフラストラクチャ環境
1.VMware vSphere 5のサポート
最初にも書いたが、VMware vSphereが5にバージョンアップしたことに伴い、VMware ViewもVMware vSphere 5を利用する形になった。
ライセンスとアップグレード/ダウングレード
ライセンス体系についてはVMware vSphere 5とは異なり、VMware View 4からのライセンス体系や価格についての変更はない。そのため今までVMware View 4でデスクトップの仮想化を検討していたとしてもコスト増加はない。
ただし、幾つか構成に変更があるため、そこだけは間違えないよう理解しておこう。
1.パッケージ構成の変更
VMware View 4からVMware View 5になる際に、変更になっているコンポーネントを表1に示す。実際には各コンポーネントに新バージョンが出たための変更が主である。
表1
| コンポーネント | VMware View 4 | VMware View 5 |
|---|---|---|
| 仮想インフラストラクチャ | VMware vSphere 4 | VMware vSphere 5 |
| 仮想化環境管理サーバ | VMware vCenter Server 4 | VMware vCenter Server 5 |
| PC上の仮想化製品 | VMware Workstation 7 | VMware Workstation 8 |
| セキュリティ基盤 | VMware vShield 4.x | VMware vShield 5 |
| 追加 | - | VMware View Persona Management(Premier Editionに追加) |
2.ライセンス構成
VMware View 4からVMware View 5になってもライセンス体系に変更はなく、Enterpriseと Premierの2つのエディションが用意されている。ライセンスについては購入形態により何パターンかの方法が用意されているため、詳細はヴイエムウェアのWebサイト「VMware Viewを使用するには」を確認いただくか、ヴイエムウェア製品を取り扱っているリセラーに確認していただきたい。
変更になったコンポーネントは表1を参照してほしい。実際には各コンポーネントに新バージョンが出たための変更が主である。
3.アップグレード/ダウングレード
VMware View 4からVMware View 5へのアップグレードは、サポート契約を結んでいる場合のみ無償で行うことができる。これはインフラストラクチャとして含まれているVMware ESXiおよびVMware vCenter Serverも対象となる。
また、VMware View 5のライセンスを購入し、VMware View 4.6へダウングレードして使用することも可能である。
以上、細かく見ていくと利用者および管理者には役立つ機能がいろいろと追加・強化されていることが分かったと思う。デスクトップ仮想化を検討している場合には、単なる画面転送の部分だけに視点を置くのではなく、その周りの多くの機能を理解することをお勧めする。VMware View 5は、単純に「PCの集約」にとどまることなく、オフィスの仮想化(どこでもオフィス)を実現する手段として十分に応えられる製品である。
なお、今回登場したVMware View 5は、デスクトップ製品であるVMware Workstation 8およびVMware Player 4.0上で動作させることも可能である(Intel VT-x、AMD-Vをエミュレートしているため)。高価なサーバを用意する前に、まずはこれらの製品を利用して仮想環境上にVMware View 5の環境を構築し、機能を評価することもできる。まだVMware Viewを使用したことのない方はぜひお試しいただきたい。
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