連結決算ソリューション製品紹介【第2回】
国産連結ソフトのもう1つの定番「STRAVIS」が支持される理由
国内で広く使われる連結会計パッケージである「STRAVIS」は連結会計についてのさまざまなノウハウが搭載されている。データ収集や経営分析にも力を入れるSTRAVISの今後の方向性とは。
国産の連結会計パッケージ製品として、前回記事「『連結』のニーズ変化に対応、定番パッケージ『DivaSystem』の強みは」で紹介した「DivaSystem」と並んで数多くの大手・中堅企業において導入されているのが、電通国際情報サービス(以下、ISID)が提供する「STRAVIS」(ストラビス)である。同製品は2003年に初代バージョンがリリースされているが、その前身となる製品「SCOPE」は1994年にリリースされており、長く国内で利用されてきた。さらに、同社はそれ以前の1984年から、米ゼネラル・エレクトリックの大型コンピュータ上で動作する連結会計ソフトウェアのシェアードサービスを手掛けていた。
「非常に古くから連結会計ビジネスに携わってきたのが、われわれの強みだ」
ISID ビジネスソリューション事業部 BS事業推進部 プロジェクトディレクター 梶野秀美氏は、このように述べる。
「SCOPEをリリースしたころは、まだ日本で連結決算開示が義務化される以前の時代だったので、ユーザーも大手グローバル企業や、独自に米国基準で決算開示をしている一部の企業に限られていた。また当時のコンピュータは処理能力が低かったため、重い処理に時間がかかるなど、使い勝手も制限されていた」(梶野氏)
そんな中、2000年前後に始まった会計ビッグバン(日本の会計基準の改正)と連結開示の義務化に伴い、連結決算業務を支援するITソリューションが次々と登場した。それらの多くは、当時のコンピュータの限られた処理能力を考慮し、データとロジックを軽量化したものが多かった。しかし、SCOPEの後継製品として同社が2003年にSTRAVISをリリースしたころには、サーバやPCの処理能力は飛躍的に向上しており、パッケージの仕様を設計するに当たってコンピュータの処理性能を考える必要はほとんどなくなっていた。
「競合製品がコンピュータの処理性能に配慮してデータや機能を絞り込んでいるのに対して、STRAVISは初めから豊富な機能を実装していたのが特徴。従って、導入に際してカスタマイズの必要がない。事実、これまで400社以上の企業に導入されているが、カスタマイズ作業は発生しておらず、パラメータ設定だけで顧客の要件を満たしている」(梶野氏)
ドリルダウン機能により高いトレーサビリティ を確保
STRAVISが提供するのは、グループ企業の親会社における連結決算業務を支援する機能だ。具体的には、個別財務諸表の合算、連結財務諸表の作成、連結キャッシュフロー計算書の作成といった作業を自動化し、連結決算業務の効率化を実現する。制度連結に必要な仕訳作業のほとんどが自動化されるため、決算担当者は数値の検証や確認作業だけに集中できるようになる。
STRAVISではさらに、この検証、確認作業を支援する機能も多く備える。その1つが、ドリルダウン機能だ。連結数値で内容を詳細にチェックする必要がある項目が見つかった場合、そのまま数値を仕訳や明細のレベルまでドリルダウンして内容を詳細にチェックできる。この機能について、ISID ビジネスソリューション事業部 ソリューションコンサルティング1部 副部長 片桐邦彦氏は次のように説明する。
「連結数値に対するトレーサビリティの高さがSTRAVISの大きな特徴。STRAVISのユーザーからは、ドリルダウン機能を活用した結果、連結決算の検証、確認作業が大幅に効率化されたという声を多くいただいている」
詳細な数値までドリルダウンできるためには、当然のことながら単体会計レベルの数値を内部に保持しておく必要がある。ISIDでは連結のみならず、単体会計のソリューションも幅広く手掛けており、そのノウハウがSTRAVISのデータの持ち方にも反映されているという。同社 ビジネスソリューション事業部 ビジネスコンサルティング部 ソリューション企画ユニット プロジェクトマネジャー 坂井 拓氏は、次のように述べる。
「われわれは連結会計だけでなく、会計システムやERPなど個別会計のソリューションも提供しており、そのノウハウがSTRAVISにも反映されている。連結会計ソリューションに特化したベンダーの製品にも、明細データまでトレースできる機能は備わっているが、あくまでも連結の視点から見た数値を持っているにすぎない。その点STRAVISでは、『個別会計の上流データ』という視点でデータを保持しているため、より詳細なレベルまで追跡できるようになっている」
さらに同社では、連結決算作業の早期化を支援するためのコンサルティングサービスも提供している。この場合も、親会社の連結決算業務だけでなく、子会社の個別決算業務も支援の対象に含む。
「STRAVISの提供による連結決算業務の効率化だけでなく、個別決算から連結決算まで、トータルでの業務改革を支援できるのがわれわれのソリューションの強みだ」(坂井氏)
ニーズの高いデータ収集ソリューション
ここまで紹介してきたのは、主にSTRAVISの連結会計パッケージとしての機能だが、ISIDではこれ以外にもさまざまな周辺製品を組み合わせることにより、幅広い連結会計ソリューションを提供している。例えば、データ収集ツール「STRAVIS・LINK」や、データファイル変換ツール「STRAVIS・BRIDGE」などがそれだ。特に、STRAVIS・LINKはユーザーからの評価が高く、STRAVISを採用する際の決め手になることが多いという。
「STRAVISのユーザーは年商1000億円以上の比較的規模が大きい企業が多い。それだけの規模のグループ企業やグローバル企業になると子会社の数も多いため、連結決算用のデータを各子会社から収集する作業負荷が高くなる」(梶野氏)
STRAVIS・LINKは、こうしたデータ収集作業をオンライン化し、収集作業を効率化するための製品だ。具体的には、子会社側で決算データを入力するためのフォーム画面と、それに対応するバックエンドのデータベースを自動的に生成する機能を備える。フォーム画面は、「Microsoft Excel」(以下、Excel)とよく似た操作性を備えており、使い勝手に優れる。また、Excelシートを基にフォーム画面を自動生成することも可能だ。
入力フォームを簡単に変更できるのも特徴。Excelと同じ感覚で入力項目を簡単に追加でき、またそれに対応するデータベース項目も自動的にバックエンドで作成される。これは、ユーザーから見ると非常に重宝される機能だと坂井氏は述べる。
「制度改正や管理会計上の新たなニーズに対応するため、頻繁にデータ収集内容を変更する企業は多い。その場合でも、STRAVIS・LINKはシステムをカスタマイズすることなく、ユーザーが簡単な操作で直接変更を加えることができる。このメンテナンス性の高さが、ユーザーから高く評価されている」
また、単にデータを収集するだけでなく、データ内容の自動エラーチェックを行ったり、あるいは子会社間のグループ内取引の照合を、データを入力する子会社側で行える機能も備える。こうした機能の活用で、親会社側の連結決算業務の負荷を大幅に軽減できるという。
「親会社側で、子会社から送られてきたデータの不備を見つけた場合、もう一度子会社側に差し戻して修正を依頼しなくてはいけない。特にグローバル企業の場合、海外子会社とのやりとりは時差の関係上、非常に時間がかかってしまう。STRAVIS・LINKを活用すれば、あらかじめチェック済みのデータが親会社に届けられるため、こうした手戻りを極力減らし、連結決算の早期化を実現できる」(梶野氏)
こうしたデータ収集ソリューションに対する企業のニーズは高く、中にはSTRAVIS以外の連結会計パッケージを運用しながらも、データ収集の部分だけにSTRAVIS・LINKを新たに導入する企業もあるという。
ERPの子会社展開についての記事
管理連結機能のさらなる強化を予定
ここ数年、連結会計の世界はIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)への対応を巡って大きく揺れてきた。一時は2015年、もしくは2016年のIFRS強制適用はほぼ規定路線だとされていたが、その先行きは再び不透明になりつつある。しかし、STRAVISではIFRSへの対応を順次進めており、ユーザーの中にはSTRAVISを使ってIFRS早期適用のプロジェクトに取り組んでいる企業もあるという(参考記事:ISID「IFRSは業務・システムへの影響分析を早めに」)。
「もともとSTRAVISには複数の会計基準への組み換えを自動化する機能が備わっており、昔からこれを使って米国会計基準での開示を行ってきたユーザー企業も多い。従って、IFRSに関しても何ら問題なく対応できる。既に、現時点で確定している法対応に関してはSTRAVIS本体に実装しており、今後も動向を見ながら随時対応を進めていく」(梶野氏)
また、STRAVIS・LINKとSTRAVIS・BRIDGEを使ったデータ収集、変換の仕組みも、IFRS対応において大きなアドバンテージになると坂井氏は説明する。
「オンライン上でデータを収集、変換する仕組みなので、子会社のローカル基準のデータをIFRS基準へ組み替える際、親会社、子会社双方からデータを参照して作業できる。従って組み換えを親会社で行うケース、子会社側で行うケース、どちらに対しても幅広く対応できる」
IFRSとセットで語られることの多い連結ベースの管理会計に関しても、さまざまな機能を備える。ユーザーはSTRAVIS・LINKを使って、任意の管理連結用データを収集できる。またSTRAVIS本体でも、こうして収集したデータを使って、月次連結、連結予算、中期経営計画などさまざまな管理連結をユーザーが自由に定義、実施できるようになっている。
ISIDでは今後、STRAVISのこうした管理連結機能をさらに拡充していく予定だという。片桐氏は次のように説明する。
「日本企業の海外進出が増えるに従い、グローバル経営強化のための管理連結のニーズが増えてきている。そうしたニーズに応えるために、リポーティング機能の充実や、BI(ビジネスインテリジェンス)を取り込んだ分析機能の強化など、各種管理連結機能の強化を予定している」(片桐氏)
またこれらと併せて、使い勝手の改善も今後進めていく予定だという。
「かつて連結会計業務は、ベテランの専門家が行うものと相場が決まっていたが、最近では各社でジョブローテーションが進んだせいか、経験の浅い担当者も増えてきている。そのため、連結会計業務の経験が浅いユーザーでも戸惑うことなく使いこなせるようにガイド機能などを付加して、使い勝手を高めていく工夫が必要だと考えている。また製品の機能以外にも、サポート面を含めた全体的な業務支援の体制を強化していく予定だ」(片桐氏)
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