ERP Now!【第11回】
定番ERPだけじゃない、中堅・中小企業のERP選びに第2の選択肢
ERP市場をリードする中堅・中小企業市場。ERPには新興国など海外に進出する企業を支援する機能が求められる。どのような製品やソリューションがあるのか。定番ERPだけではない、第2の選択肢を紹介する。
ERPパッケージの主戦場が、大企業向け製品から中堅・中小企業向け製品に変わりそうです。中堅・中小企業の多くが海外展開を目指していて、拠点の早期立ち上げや、グローバルでの業務標準化にはERPが欠かせません。そのため中堅・中小企業の間であらためてERPが注目されています。この流れを受けてERPベンダーも中堅・中小企業向けのソリューションを相次ぎ発表しています。今回の「ERP Now!」では中堅・中小企業を狙うベンダーの動向を紹介しましょう。
アクセンチュアが中堅・中小向けERPに本格参入
これまで大企業向けのソリューションを得意としてきたアクセンチュアが中堅・中小企業向けの市場に本格参入します。ERPとして担ぐのはマイクロソフトの「Microsoft Dynamics AX」です。アクセンチュアは「SAP ERP」や「Oracle E-Business Suite(以下、Oracle EBS)」を使ったソリューションを多く手掛けてきました。それがなぜDynamics AXなのでしょうか。同社のテクノロジー コンサルティング本部 財務・経営管理 グループ シニア・マネジャーの山本照晃氏は「SAP ERP、Oracle EBSを展開しようとすると、現地法人で時間とコストが掛かり、早期展開の足かせになるケースがあります。現地法人向けのセカンドチョイス(第2の選択肢)としてDynamics AXを提供します」と話します。
アクセンチュアはDynamics AXに加えて、CRM製品の「Dynamics CRM」、プロシップの固定資産管理製品「ProPlus」、ディーバの連結会計製品「DivaSystem 9」「GEXSUS」を組み合わせて、グローバル進出をする中堅・中小企業向けのテンプレートを開発しました。主なターゲットは製造業です。アクセンチュアの他に、同社とマイクロソフトとの合弁企業でシステム構築を手掛けるアバナードが協力します。今回のソリューションでは、最短6カ月で導入できることを売りにしています。
アバナードはもともとDynamics AXベースのテンプレートを持っていました。今回はこのテンプレートを日本の中堅・中小企業向けに改修しました。アバナードによると、同社はアクセンチュアと協力して、欧州で100件以上のDynamics AXの導入実績があるということです。
クラウドERPで中堅・中小企業を支援
アクセンチュアが中堅・中小企業向けのERPとして選んだのは上記のようにDynamics AXでした。山本氏は「多言語に対応し、世界中でサポートされているERPはDynamics AXくらいしかありません」と話しました。
この見方に対しては異論もあるでしょう。例えば、日本オラクルが提供する「JD Edwards EnterpriseOne」はDynamics AXと同様に日本の製造業で広く使われているERPです。オンプレミスでも使われていますが、最近、注力しているのはクラウドコンピューティングを使った提供です。日本オラクルは7月にパートナー企業のデータセンターにJD Edwardsを構築し、顧客に従量課金で提供するサービスを開始すると発表しました。サービス名は「JD Edwards EnterpriseOne BPO プログラム」です。
このクラウドサービスも海外に進出する製造業の支援が目的です。企業はライセンス、ハードウェア、運用課金のコストを負担する必要がなく、短期間でJD Edwardsを利用開始できます。JD Edwardsは多言語・多通貨に対応していて、オラクルによる世界各地でのサポートも期待できます。SAP ERPやOracle EBSに続く、第2の選択肢になり得るでしょう。
実際、JD Edwardsは好調です。日本オラクルのアプリケーション事業統括 アプリケーションビジネス推進部 ディレクターの野田由佳氏は「JD Edwardsは2010年度には世界で26%の成長を果たしました。2011年度6-8月期は対前年同期比で73%の増加。グローバルで支持されています」と話します。
SAPも大企業向けのSAP ERPだけではなく、中堅企業向けに「SAP Business All-in-One」を展開しています。SAPのパートナー企業は、SAP Business All-in-Oneをホスティングし、顧客企業にサービスとして提供する事業を始めています(参考記事:「SAP ERPは月額料金で利用」が当たり前になるか)。
国産ERPもグローバル対応を強化
一方で、国産のERPはどうでしょうか。東洋ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)とエス・エス・ジェイ(以下、SSJ)は、B-EN-GのERPパッケージ「MCFrame XA シリーズ」と、SSJの「SuperStream-NX」を連携させるインタフェース「MCFrame XA 会計Link for SuperStream-NX」を開発しました。
MCFrame XA シリーズは販売物流、生産管理、原価管理の機能を持つ製造業向けのパッケージです。また、SuperStream-NXは財務会計、管理会計などの機能を持つ会計パッケージ。インタフェースでこの2製品をつなげることで、「国内および海外の企業グループ全体でコスト管理や業務の効率化を実現」すると両社は説明をしています。
ERPの歴史を見ると、中堅・中小企業向けERPのブームが何度かありましたが、その多くはベンダー主導で、ベンダーが中堅・中小企業の需要を懸命に掘り起こしました。今回は生き残りのために海外進出を急ぐ中堅・中小企業の強い実需が感じられます。
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