サードパーティー製品への乗り換えも検討すべし
Microsoftのサーバソフトライセンス料金は高過ぎる?
「1カ月当たりの料金はごくわずか」をうたうライセンス料も、年額×ユーザー数で計算すると数百万ドルに跳ね上がるかもしれない。Microsoftのサブスクリプション方式には要注意だ。
米Microsoftのサーバソフトウェアのライセンス料金は、デスクトップPC 1台当たりで考えると非常に安価に思えるが、組織全体で考えた場合は膨大な出費になる。ベンダーがソフトウェアのサブスクリプションを売り込む手の内を理解し、サードパーティーの代替製品を検討してライセンス費用の削減を図りたい。
広告は、1日または1カ月当たりのライセンス料はごく“わずか”であるとうたう。確かに一見すると微々たる額のようだが、1年の総計を出すと実際はかなりの金額になる。さらに、この総計に社内の従業員数を掛けてみよう。たちまちのうちに、年間のライセンス費用は数十万ドルか、下手をすると数百万ドルに跳ね上がる。
Microsoftなどのベンダーが、月々わずかなサブスクリプション料金で社内の全てのデスクトップPCを対象にライセンスを供与する方式を採用するのはこのためだ。この方式は、データセンターのサーバ上で稼働するソフトウェアにも適用される。Microsoftがデスクトップベースでサーバソフトウェアのライセンスを販売したがる理由は2つある。
- Microsoftほど、ビジネスPC市場を掌握しているベンダーはいない
- デスクトップPC 1台当たり月額1ドルというのは、特に多数のPCを抱え年間コストを計算する余裕がない大規模企業にとっては、微々たる額に感じられる
コンピューティングの世界では、今やPCベースのライセンス体系という概念は新しいものではない。これまで何十年にもわたり、メインフレームやミニコンピュータで稼働するソフトウェアのライセンスは、“シート”、つまり特定のユーザーまたは物理デバイスを基準に提供されてきた。メインフレームやミニコンピュータ向けのソフトウェアは、ローカルのデスクトップPC上で実行されないため、他に選択肢はなかった。しかし、現在は、状況が違っている。別の選択肢を選ぶことで、運用面でも費用面でも大きな違いが生まれる可能性がある。
Microsoft Exchange用のウイルス・スパム・フィッシング対策ソフトウェアを例にして、考えてみよう。Exchange 2003より前のバージョンでは、通常、Microsoftサーバソフトウェア用のサードパーティーのマルウェア対策ソリューションを購入するか、サードパーティーのOutlookアドオンなどのデスクトップソフトウェアを利用して、マルウェア対策を講じていた。
Exchange 2003からは、送信者のIDアドレスか名前、受信者名、メッセージの内容と添付ファイルを基にメッセージをフィルタリングする「インテリジェント メッセージ フィルタ(IMF)」という技術が組み込まれた。MicrosoftはIMFを声高にアピールしていないが、それはIMFを無償で提供しているからだろう(PCの1台当たりのライセンス料は小額だが、総計するとかなりの金額になる製品を売り込める場合に、1円にもならない機能をアピールする気にはならないだろう)。
Microsoftが販売に力を入れている2大マルウェア対策製品は、IMFよりも強力なウイルス検出機能を備えた「Forefront Protection for Exchange Server(FPE)」と、包括的なマルウェア対策機能を提供するホステッドサービスの「Forefront Online Protection for Exchange(FOPE)」だ。
Microsoftは、FPE(デスクトップPC 1台当たり年間15ドル※1)とFOPE(同21ドル※2)の併用を勧めている。FOPEは、FPEとIMEの機能の多くを網羅していると思われる上、ホステッドサービスである点も魅力だ。ホステッドサービスの中でも、マルウェア対策サービスは特に人気がある。インターネットから送られてくるスパムメールの90%を、顧客のネットワークに配信される前に捕捉でき、ネットワークトラフィックとサーバ負荷を大幅に軽減できるからだ。
※1:日本でのライセンス価格は年額2856円/1ユーザーまたはデバイス。
http://www.microsoft.com/japan/forefront/protection-for-exchange/pricing-licensing.mspx
※2:日本でのライセンス価格は年額で4080円(月額340円から換算)。
http://www.microsoft.com/exchange/2010/ja/jp/exchange-hosted-services/buy.aspx
しかし、デスクトップPC 1台当たりのライセンス料金の“実質的なコスト”は、十分に検証しなければならない。例えば、1万シートを必要とする企業がFPEとFOPEの両方を購入した場合、ボリュームディスカウントが適用されても、メール保護に掛かる費用は年間約30万ドルになる。Exchangeサーバが20台あれば、サーバ1台当たり1年で約1万5千ドルの計算だ。
これを、デスクトップベースではなく、物理デバイスまたはサーバに直接ライセンスを供与するサードパーティーのソリューションと比べてみよう。
米Barracuda Networksのスパム&ウイルス対策ファイアウォールなどのハードウェアアプライアンスの場合は、製品価格が約2万5千ドルで、その他にシグネチャの更新と技術サポートに年間8000ドル掛かる。これは、1万強のユーザーのメールをスキャンし、捕捉するユニット用の製品の場合だが、これよりも多くのユーザーに対応できるモデルもある。このようなハードウェアを複数導入して冗長性を持たせても、必要な費用はFPEとFOPEの1年間の利用料金をはるかに下回る。
Microsoftの競合他社も、通常はユーザーまたは端末ベースのライセンス方式を採用しているが、Microsoftのサーバソフトウェア向けマルウェア対策製品を提供している多くのベンダーは、サーバベースでライセンスを販売している。
Microsoftは、ユーザーまたは端末ベースのライセンス方式のメリットとして、サーバアーキテクチャから切り離してデスクトップライセンス費用を管理できる点を挙げている。つまり、必要な数のデスクトップサブスクリプションが用意されていれば、Exchangeサーバをどれだけ追加しても、セキュリティサービスに関しては追加費用が発生しない。また、FOPEのようなホステッドサービスを利用すると、ネットワーク費用と、さらにはユーザーが必要とするExchangeサーバの台数も削減できる。
それでも、デスクトップPC 1台当たり2ドル未満というMicrosoftのサーバソフトウェアのサブスクリプション料金を、とるに足りない額だと考えてはならない。多数のデスクトップPCを擁する企業は計算をして、予想されるデスクトップライセンスの費用と技術的なメリットを見極め、別のソリューションと比較検討する必要がある。節約効果は、決して微々たるものではないかもしれない。
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