端末種類に応じたアプリ一斉配布などが可能に
iPhone/Androidも統合管理、IT資産管理SaaS「Windows Intune」の新機能
米MicrosoftのIT資産管理SaaSである「Windows Intune」の次期バージョンでは、Windowsマシンに加えて、新たにiPhoneやiPad、Android端末の管理が可能になるという。
米Microsoftは、米AppleのiOSや米GoogleのAndroidの搭載端末もWindowsマシンと併せて管理可能にすることが最優先事項であることを、ついに受け入れたようだ。
Microsoftがクラウドサービスとして提供するデスクトップ管理ツール「Windows Intune」の次期バージョンは、Windows Phone端末やWindowsタブレットだけでなく、従業員の私物のiPadやiPhone、Android端末も管理することができる。
特に現在、Microsoftは新世代のWindows Phone端末とWindowsタブレットを売り込み中であることを考えると、この動きが意味するところは大きい。
一部のIT管理者は、Microsoftから複数のプラットフォームに対応したモバイル端末管理(MDM)ツールが提供されることを待ち望んでおり、同社がついに私物端末の業務利用(BYOD)のサポート戦略を打ち出したことを喜んでいる。
Windows Intuneの新版のβテストに参加した米モバイルソフトウェア会社Skywire Mediaのトーマス・キャッスルベリーCOO(最高執行責任者)は、「当社は大企業ではないが、Android端末やiOS端末などのスマートフォンを使っている開発者が多いので、(統合管理できれば)端末の管理が格段に楽になるだろう」と話す。
しかし、業界ウオッチャーは、新しいWindows IntuneのMDM機能について、特に革新的だという印象は受けていないようだ。
世界的な製薬会社の仏Sanofiで、モバイルエンジニアリング担当ディレクターを務めるブライアン・カッツ氏は、「Microsoftは巻き返しを図っているというのが実情だ」と言う。
Windows Intuneのモバイル管理機能
2012年4月半ばにラスベガスで開催された「Microsoft Management Summit(MMS)」において発表されたWindows Intuneの次期バージョンでは、現在、プレリリース版のダウンロードが提供されている。
Windows Intuneは、Active Directory(AD)とExchange ActiveSyncを利用したMDM機能を備える。モバイル端末へのアプリケーション展開が容易になり、会社のADに接続されない私物端末であっても、“ドメイン信頼”端末であると見なして、会社のデータやアプリケーションへのアクセスを許可できる。
MicrosoftのManagement&Security部門担当コーポレート副社長のブラッド・アンダーソン氏は、MMSの基調講演で「(Windows Intuneは)もはやWindowsマシンの管理を目的とするサービスではない。iOSやAndroid端末も緊密に統合管理できるよう取り組んでいる」と語った。
Windows Intuneの次期バージョンでは、端末種別のアプリケーションストアに登録されているアプリケーションへのリンクを作成できる。また、アンダーソン氏の話では、アプリケーションストアを通さずに、Windows Intuneから各端末に直接アプリケーションをインストールすること(サイドロード)もできるということだ。ただし、AppleはiOS端末へのサイドロードを認めていない。Microsoftの担当者は、Windows Intuneを使ったiOSのサイドロードの仕組みについての質問には、ブログ「Windows for Your Business」の次の一節を引用してそれに答えた。
「Windows Intuneは、セルフサービス型のカスタマイズ可能な企業ポータルを備える。簡単に構築できるこのポータルから、エンドユーザーの生産性を維持するために必要なアプリケーションやツールを提供することが可能だ。また、複数のユーザープロファイルをターゲットにしたポータルを用意でき、エンドユーザーは、WindowsマシンやiOS端末、Android端末など、さまざまなモバイル端末からポータルへアクセスできる」
エンドユーザーがある端末にログオンすると、Windows Intuneはその端末の種類と事前に定義してある他のポリシーを基に、特定のアプリケーションを提供する。ユーザーの認証には「Windows Azure Active Directory」が使われる。これは、会社のファイアウォール内にユーザーデータを維持しながら、ファイアウォール外のユーザーを検証するクラウドサービスだ。
キャッスルベリー氏は、従来のWindows Intuneにはモバイル管理コンポーネントがないこと、Active Directoryとの統合が限定的であることに最大の不満を感じていたが、新しいMDM機能のおかげでこの不満は解消されると話す。また、ノートPCとスマートフォンの両方に対応する新しいアプリケーション管理機能も魅力的だとのことだ。
また、同氏は「新しいWindows Intuneなら、ノートPCの管理以上のことができる」と話し、法人向けMDM分野へのMicrosoftの新たな取り組みに期待を寄せている。
カッツ氏は、同様のアプリケーション配布は他のMDMツールでも可能性なため、新しいWindows Intuneには出色の機能はないとしながらも、「小規模・中堅企業で、既に(Windows Intuneを)導入しているのであれば、利用する意味は大いにある」とする。
MDMをテコに巻き返しを図るMicrosoftとRIM
Windows Intuneを使ったMicrosoftのアプローチは、カナダのResearch In Motion(RIM)のそれに酷似している。RIMも「BlackBerry Mobile Fusion」を携えて、iOS/Android端末管理のゲームに乗り出した。Windows PhoneとBlackBerryは、iOSとAndroidにかなり後れを取っているが、MicrosoftもRIMも法人市場では大きな実績を収めている。競合のiOSとAndroidの人気に便乗しつつ、法人市場で培ってきたノウハウを生かす1つの手段としてMDMを考えている。
ただし、両社とも、その他の端末を管理するサービスは提供していない。
Windows Intuneは、クライアントPC1台当たり月額1230円までのサブスクリプションサービスとして提供される。Microsoftによると、当面の間はこの価格を維持し、1ユーザー当たり最高4台の端末まで管理できるようにするという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
5
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
6
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
9
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
10
VBAマクロ“原則ブロック”後に「Office」でマクロを実行する方法
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー