仮想環境対応や障害分析などに注目
失敗しないネットワーク管理製品の選び方
ネットワークの運用管理の効率化に役立つ「ネットワーク管理製品」。本稿は、その選定のポイントや導入の注意点を解説する。
ネットワーク機器やサーバの情報を収集したりトラフィックを監視することで、ネットワークの障害検知や性能分析などを可能にする「ネットワーク管理製品」。本稿は、ネットワーク管理製品を選定する上で注目すべき点をまとめた。ネットワーク管理製品のトレンドは、下記に紹介する関連記事を参照いただきたい。
選定の基本:主要機能は5つ、まずは必要な機能を見定める
ネットワーク管理製品を選定する際、まずは自社にとってどういった機能が必要かを把握しておくことが大切だ。ネットワーク管理製品の機能は、ISO(International Organization for Standardization)が定義する「FCAPS」モデルが基本になる。FCAPSは以下の5機能を定義する。
- 障害管理(Fault Management):ネットワーク障害の検出や通知、復旧支援
- 構成管理(Configuration Management):ネットワークを構成するハードウェア/ソフトウェアの設定や接続状況の把握
- 課金管理(Accounting Management):ユーザーやユーザーグループごとのネットワーク利用状況を計測
- 性能管理(Performance Management):ネットワークのスループットやレスポンスの解析
- セキュリティ管理(Security Management):セキュリティポリシーに基づくアクセス制御
商用のネットワーク管理製品は、障害管理、構成管理、性能管理の3機能を統合したスイート化が進みつつある。障害管理など単機能であれば、基本的な機能を十分に備えた安価、またはオープンソースソフトウェアのネットワーク管理製品が充実している。ただし、リモート監視機能を搭載しないなどの制限がある場合も多いので、選定の際は注意が必要だ。
FCAPSモデルの5機能を全てカバーするネットワーク管理製品はごく少数である。特に課金管理については、不要だと考えるユーザー企業も多いだろう。ただし、グループ企業向けにプライベートクラウドをサービスとして提供するユーザー企業であれば導入する意味がある。
選定ポイント(1):仮想環境の対応状況を確認
サーバ仮想化の導入を進めると、仮想スイッチや仮想NICといった仮想化されたネットワーク機器の管理が必要になる。物理的なネットワーク機器のみを対象としたネットワーク管理製品では、こうした仮想的なネットワーク機器を管理対象にすることができない。仮想環境の導入を推し進める企業は、ネットワーク管理製品の選定時に仮想環境への対応状況を確認しておくことが必要だ。
ネットワーク管理製品の仮想環境向けの機能には、仮想スイッチや仮想NICを流れるトラフィックを監視する機能、仮想環境を含めたトポロジーマップを作成する機能などがある。
選定ポイント(2):障害の根本原因分析や予兆検知機能に注目
ネットワーク管理製品の選定に当たっては、障害管理機能も重要な要素だ。ネットワーク障害の発生を完全に防ぐことはできないため、障害発生時に障害の発生箇所を迅速に検知して復旧することが重要になる。だが大規模化、複雑化が進むネットワークにおいては、障害の根本的な原因を把握することが難しい。
障害管理を重視する企業にとっては、障害の根本的な原因を推測する「根本原因分析機能」を搭載する製品が有力な選択肢となる。根本原因分析機能は、ネットワーク機器やサーバなどから得た大量の障害情報を解析し、障害の原因を順位付けして表示したりする。ネットワークのトラフィックやサーバのリソース使用率などを基に障害発生の可能性を割り出し、障害が発生する前にアラートを発する製品もある。
選定ポイント(3):アプリケーションレベルのパフォーマンス測定の可否
ネットワーク管理製品の選定においては、エンドユーザーに対するサービスレベルの測定機能にも注目したい。WebシステムやSaaS(Software as a Service)など、業務システムをネットワーク経由で利用する動きが急速に進んでいることが背景にある。
最近は、アプリケ―ションごとの応答速度などを測定する機能を備えたネットワーク管理製品が登場しつつある。サーバのCPUやメモリの利用率、通信経路、パケットロスなどの情報を幅広く収集し、エンドユーザーが体感するアプリケーションのパフォーマンスを割り出す。他にも、アプリケーションの種類別に最適なネットワーク機器の設定をまとめた「テンプレート」を用意し、ネットワーク機器への設定適用を自動実行できる製品などもある。
導入の注意点:SIerなどとの責任範囲の明確化を
ユーザー企業がネットワーク管理製品を導入する場合、システムインテグレーター(SIer)やサービス事業者との管理上の線引きを明確にしておく必要がある。ユーザー企業が管理すべき対象や範囲が明確にならなければ、ネットワーク管理製品の機能やスペックを確定することはできないからだ。
SIerやサービス事業者との責任分担やアウトソースの範囲を明確化できていないユーザー企業は多いだろう。ネットワーク管理製品の選定に入る前に、管理対象や範囲の設定、サービス品質保証(SLA)の締結などをしておくべきである。
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