Microsoftライセンスとの賢い付き合い方【前編】
Microsoft「ソフトウェアアシュアランス」のリスクを理解する
Microsoftの「ソフトウェアアシュアランス」というギャンブルは買いか否か。得をするにはどのような条件が必要か。下手をすると、Windows 7を2.6倍の値段で買うことになるかもしれない。
米Microsoftのソフトウェアアシュアランス(SA)には、常にギャンブルの要素が付きまとう。ボリュームライセンスプログラムの契約時にSAを追加で購入しておけば、将来、製品がバージョンアップしたときに、アップグレードが保証される。だが、契約期間中に新バージョンがリリースされなかった場合、SA料金は返金されず、顧客はIT予算に大打撃を受け、やり場のない怒りを抱えることになる。
しかし企業は、自社にSAの料金に相当する費用を保有しておくことで、このリスクをヘッジできる。
Microsoft SAのリスクを計算する
Microsoft SAというギャンブルでの勝ち目を計算してみよう。
デスクトップ製品(主にWindowsとOffice)のSAを購入する場合、1年につき製品価格の29%を支払う。通常のボリュームライセンスプログラムは契約期間が3年間なので、この29%に3を掛けた87%分が実質的な製品コストになる。
つまり、SAの有効期間内に、IT部門が導入したいと思える新バージョンがリリースされれば、13%の割引価格で入手できる。新バージョンがリリースされなかった場合、あるいは新バージョンを導入しなかった場合、企業は正規のライセンス料の87%に当たる費用をまるまる失うことになる。
※毎年の支払い額がさらに7%アップすると、割引価格にはならず、アップグレードがない場合、ライセンス価格の100%以上の損失になる。
サーバ製品はデスクトップ製品よりも多少分がよい。サーバ製品の場合、SAの年間支払額は製品価格の25%になるため、3年の契約期間内でアップグレードできれば25%のディスカウントが適用されたことになり、アップグレードできなければ製品価格の75%相当を損失することになる。
自社にSA費用をプール
Microsoft SAは、将来リリースされるであろう製品に対して顧客に前もって料金を支払わせる、実に巧みなセールスモデルだ。顧客にはどのような製品になるのか、その製品を利用したいかどうかさえ見当がつかない。これに匹敵するモデルは、宝くじぐらいだろう。3年のうちには何かしらのリターン(数枚の無料福引券など)はあるにしても、最終的には必ずギャンブルの主催者に全てを持っていかれる。
SAは保険の一種だという声もあるが、保険の掛け金とは異なり、SAの“保険料”には損失リスクは織り込まれていない。
SA料金をMicrosoftに支払うのではなく、それに相当する額を自社に保有しておくことは、次の2つの理由から、より有利な戦略といえる。
まず、導入したいと思えるアップグレードが提供されなかった場合、資金はMicrosoftに渡るのではなく、手元に残る。
2つ目は、その資金を使ってアップグレードを購入するか、アップグレードを見送るか、資金を取っておくか、別の形で使うかを選択できる。製品を導入するにしても、実際に導入を行うまでは、ライセンス料の支払いは発生しない。これは、製品のリリースから2年以上も先になる可能性もある。
SAを購入した場合、このような選択肢はない。また、たとえアップグレードをしなくても、Microsoftに支払った料金は返ってこない。
Vistaから得た教訓
Vistaはその典型的な例だ。Windowsのアップグレード権としてSA料金を5年間支払い続けた揚げ句に、SA利用者の大半はVistaを導入せず、3年後にWindows 7が登場するまでWindows XPを使い続けた。
Windows XPからWindows 7のリリースまで8年間。この間、3年契約のボリュームライセンスプログラム×3回分のSA料金を支払うことになった。つまり、製品価格の29%相当の額を9年間支払った。これは、計算すると元の製品価格の261%になる。
対照的に、資金を手放さず、最初の3年以降はSAを更新せず、本当に魅力的な新バージョンが出るまで、利息が付くような形でその資金を運用することもできただろう。
皮肉なことに、SAを購入していなかったユーザーは、Windows 7がリリースされてから最初の6カ月間は、15%の割引価格でWindows 7購入することができた。
後編「Microsoft『ソフトウェアアシュアランス』を買うべき企業、買うべきでない企業」では、どのような企業がソフトウェアアシュアランスを買うべきか、逆に買うべきでないかを紹介する。
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Microsoftライセンスとの賢い付き合い方
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