3つのステップで最適な対策を選定
失敗しない、スマートフォン情報漏えい対策の選び方
スマートフォンやタブレットからの情報漏えい対策をどう選定すべきか。情報漏えい時のリスクの大きさと脅威の種類を基にした、最適な情報漏えい対策の選定方法を示す。
モバイルデバイス管理(MDM)やVPNをはじめ、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスからの情報漏えい防止に効くセキュリティ製品・サービスが充実しつつある。ただし、むやみにこうした製品・サービスを導入すると、無駄な投資となったり、逆に対策の漏れが発生することになりかねない。本稿は、スマートデバイスの情報漏えい対策を適切に選定する方法を紹介する。
適切な情報漏えい対策を選ぶ3つのステップ
スマートデバイスからの情報漏えいを防ぐために、どういった対策を採用すべきか。有力な選定手段の1つが、漏えい時にどういった組織に謝罪すべきかで情報資産の重要度を判別し、その重要度と、情報漏えいを招く脅威の種類に応じて対策を考える、というアプローチだ。そのステップを順に説明する。
ステップ1:「誰に謝罪すべきか」でリスクを分類
適切な情報漏えい対策を決めるための材料の1つは、保護すべき情報の重要度だ。導入すべき情報漏えい対策は、情報の重要度によって変化するはずだからである。
情報の重要度が高ければ高いほど、漏えい時のリスクは大きくなる。リスクのレベルは、以下の3段階で定義できる。レベル1が最もリスクが小さく、レベル3が最もリスクが大きい。
- レベル1:報告や謝罪が社内で済むような情報
- レベル2:顧客など社外への報告が必要な情報
- レベル3:監督省庁への謝罪と、漏えい事実の公表が必要な情報
ここでは、情報の重要度を分類する手段として、情報漏えいの発覚時に、企業が誰に報告や謝罪をすべきかという尺度を用いた。主要な報告・謝罪対象(ステークホルダー)には、「社内」「顧客など社外」「監督省庁」の3つがある。
ステップ2:脅威の種類を分類
次は、情報漏えいを招く脅威の種類を整理する。主要な脅威の種類として、「法務・コンプライアンス」「過失」「故意・犯罪」「事故」の4種がある。
- 法務・コンプライアンス:違法、脱法、契約違反の行為や知的財産の侵害
- 過失:端末などの誤操作や誤廃棄、紛失
- 故意・犯罪:情報資産の盗難や攻撃者によるなりすまし
- 事故:端末などの故障や障害
情報漏えいの原因が、従業員による過失なのか、悪意のある第三者による故意なのかなどによって、採用すべき対策は異なるはずだ。適切な情報漏えい対策を選定するために、対処すべき脅威の種類を明確にする意味は大きい。
ステップ3:リスクと脅威で適切な情報漏えい対策を選定
情報漏えい時のリスクと、漏えいを招く脅威の種類を把握することで、最適な対策の選定が可能になる。以下に、日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)がまとめた、リスクと脅威の種類に応じた情報漏えい対策の選定図を示す。図に掲載した情報漏えい対策は、MDMの機能、スマートデバイスの標準機能、それら以外の個別対応の機能、IT以外の施策に分類している。上位レベルのリスクに対処するには、下位レベルのリスクの対処に必要な情報漏えい対策が必須となる。
図を見ると、リモートロックやリモートワイプといったMDM製品の機能が必要なのは、リスクが「レベル2」以上、脅威の種類が「過失」の場合であり、「レベル1」のリスクの場合、こうした機能は必ずしも必要ないことが分かる。一方、「レベル3」のリスクになると、MDMに加え、VPNやシンクライアントといった比較的大規模な情報漏えい対策を施す必要がある。
スマートデバイスの標準機能やMDMなどの製品機能の進化によって、同じリスクや脅威であっても、採用すべき手段が今後変化する可能性はある。ただし、リスクや脅威によって必要な情報漏えい対策を見極めるというアプローチ自体は、長く役立つはずだ。
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