データ保護に一定の効果、ただしライセンスなどに課題も
私物iOS/Android端末の安全性は「VDI」でどこまで高まる?
私物端末の業務利用(BYOD)におけるセキュリティ対策として、「デスクトップ仮想化(VDI)」の有効性を指摘する声がある。VDIは、BYODセキュリティの特効薬になるのだろうか?
私物端末の業務利用を認める「BYOD(Bring Your Own Device)」プログラムを採用する企業にとって、モバイル端末にアプリケーションを配信し、端末上のデータのセキュリティを確保することは大きな課題である。企業がBYODのセキュリティを確保する上で役に立つのが、「デスクトップ仮想化(VDI)」だ(参考:スマートフォン/タブレットの普及がデスクトップ仮想化導入を後押しする?)。ただし、注意すべき点も幾つかある。
VDIを導入すれば、管理者はOSとアプリケーションをバックエンドサーバで実行し、データをエンドポイントに保存させずに済むため、BYODのセキュリティは向上する(参考:デスクトップ仮想化が医療分野で重宝される理由)。
だがVDIは、常にデータ漏えいを防止できる手段ではない。さらに、VDIを導入すると、モバイル端末側ではエンドユーザーが管理しなければならない接続が1つ増えてしまうことになる。
BYODの管理とVDIについて、よく寄せられる疑問点とその回答を以下にまとめた。モバイル端末を安全かつ簡単な方法で管理するための参考にしていただきたい。
VDIがITのコンシューマー化において果たす役割とは?
企業の中には、モバイル端末での利用を目的としたネイティブアプリケーションやWebアプリケーションを開発しているところもある。だが多くの企業にとって、VDIを介してアプリケーションを配信する方が簡単で時間も節約できる。
ベンダーの間でも、自社のVDIプラットフォームと連係するモバイル端末管理(MDM)用のクライアントを提供する動きが進んでいる(MDMについては「スマートフォン導入企業必見! 計33のモバイル端末管理(MDM)製品比較」も参照)。実際、VDI市場で進行中の技術革新の多くは、ITのコンシューマー化に対応するのが目的だ。だが、まだまだ道のりは長い。
VDIでBYODのセキュリティを向上させる方法は?
モバイル端末からVDIセッションへ接続する場合、実行中のアプリケーションは、実際にはデータセンターのバックエンドサーバにホスティングされている。つまり、アプリケーションとOSは、端末上で直接実行されているのではなく、IT部門の制御下にある。最善のセキュリティを実現するためには、VDIセッションへの接続が認められているクライアントコンポーネントが必要だ。そのクライアントコンポーネントをIT部門が承認する仕組みにしておけば、接続のセキュリティを確保し、データ漏えいを予防できる。
VDIはBYODセキュリティの特効薬となるか?
VDIは、必ずしもBYODの安全性を確保する特効薬になるわけではない。VDIが大いに役立つのは確かだが、IT管理者は、データアクセス制御にも注意を払う必要がある。
VDIは、マルウェアをはじめとする外部の脅威に対処する他、端末が紛失や盗難にあった場合にデータを安全に保つ役割を果たす。一方、データアクセス制御は、業務用アカウントから外部アカウントへ重要な企業データに関するメールを転送するなど、さまざまな手段でLAN外部へデータが流出するのを防ぐのに役立つ。IT管理者は、「エンドユーザーがいつ、どこでデータへアクセスできるか」を定めたBYODポリシーを策定しなければならない(参考:私物スマートフォンの安全性確保には「ポリシーの強制」が不可欠)。
VDIを使ってモバイル端末を管理する上での課題は?
VDIを使ってモバイル端末を管理するのは、必ずしも簡単ではない。多くの企業は米VMwareの「VMware View」を使って、従業員がiPadなどの端末からデスクトップ環境へアクセスできるようにしているが、VMware Viewには欠点もある。
例えば、多くのIT担当者は、「View Persona Management」機能がまだ十分に成熟していないと感じており、プロファイル管理にサードパーティー製品を利用している(View Persona Managementについては「3D対応やVoIPも実現、VMware View 5の新機能とライセンス」を参照)。さらに、リモート仮想デスクトップには問題点の把握や分析が難しいという弱点がある。これは、どのVDIプラットフォームにも共通していえることだ。
BYODの管理には人的な課題もある。IT部門に求められるのは、仮想デスクトップのエンドユーザーを教育し、使用に適したハードウェアを見極め、BYODポリシーを強化することである。
VDIでBYODの管理を簡素化する方法は?
VDIを導入すれば、IT部門は、ハードウェアではなくVDIセッションとアプリケーションを管理すれば済むため、BYODの管理は簡素化される。エンドユーザーは、いつでもどの端末からでもデスクトップ環境へ接続できるようになり、柔軟性も増すはずだ。設定によっては、今まで通りエンドユーザー自身でデスクトップ環境をカスタマイズできる。IT部門は、VDIの採用で異種端末を集中管理できるようになるだろう。
関連記事
- VDIで実現する情報漏えい防止とPC運用管理コスト(TCO)削減の両立(ホワイトペーパー)
BYODとVDIを連係させる場合のライセンスの扱いは?
VDIのライセンスはややこしい問題だ。多くのベンダーはまだ、モバイル端末の使用を想定したライセンス条項の改定に取り組んでいるところだ。また最近まで、米MicrosoftがBYODのライセンス条項を定めるのは「Windows 8」のリリースと同時期だと考えられていた。だが同社は、Windows 8のVDIライセンスに「Companion Device License(CDL)」というオプションを新たに追加し、仮想デスクトップに接続する全ての端末に対してCDLの購入を求めている。
このCDLは、多くの企業にとって益よりも害となるだろう。CDLは、エンドユーザー1人当たり1台のプライマリデバイスをはじめ、最大4台の端末にライセンスを付与するオプションだが、この制限を強制するのは難しそうだ。さらに、IT部門の多くは、既に購入したソフトウェアアシュアランス(SA)契約に加えてCDLを購入しなければならず、コストや煩わしさが増えることは避けられそうにない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発特有の課題も解消できる「AI活用」の秘訣とは? -
事例
[株式会社ビザスク] 「新規事業」事例集:大手企業はどのように想定顧客ヒアリングを行っているのか -
市場調査・トレンド
[株式会社ビザスク] 質の高い「仮説検証インタビュー」を実施するためのポイント -
事例
[株式会社ビザスク] 富士フイルムの新領域参入に学ぶ事業創出 「畑違い」でもビジネス化できる方法 -
事例
[株式会社ビザスク] 三菱電機 上席執行役員に学ぶ、未来を切り開く「新事業創出」の実践方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
9
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
-
10
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
8
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー