サーバ上で稼働する仮想的なPC環境をネットワーク経由で利用する「デスクトップ仮想化」。導入効果を最大限に引き出すには、ノートPCやスマートフォン、タブレット端末といったモバイル端末の活用が鍵となる。
iPadに代表されるタブレット端末やスマートフォン、ノートPCといったモバイル端末から、社内のデスクトップ環境にリモートアクセスしたいという声は根強い。こうした声の高まりが、企業におけるデスクトップ仮想化導入を後押ししそうだというのが、CIOや専門家の見方だ。
米調査会社Forrester Researchのシニアアナリスト、デビッド・ジョンソン氏は、「明確な数字が示せるわけではないが、モバイル端末の普及とデスクトップ仮想化の導入の間には関連性があると見ている」と話す。
米投資信託大手Vanguard Groupで、企業システム統合部門を統括するアブハ・クマール氏は、デスクトップ仮想化とモバイル端末との関連性を強く意識する1人だ。一般的な投資信託会社と異なり実店舗を持たない同社は、従業員同士がリモートでコミュニケーションできる仕組みを必要としていた。同社は近年、ビデオ会議システムの導入や、米Microsoftのポータルサイト構築製品「SharePoint」上に1000種類以上のサイトを構築する、といった取り組みを進めてきた。
「導入したシステムは相互に連携するものではない。だが最終的には、あらゆるシステムをリモートからシームレスに利用可能にしたいと考えている。それを実現する手段の1つとして、デスクトップ仮想化とモバイル端末を活用できないかと模索中だ」と、クマール氏は語る。同社は現在、社員教育プログラムの参加者と一部のエンドユーザーを対象に、デスクトップ仮想化の試験導入を開始したという。
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