SSD導入に関するTips【後編】
SSD導入前に“これだけは確認しておきたい”4つのポイント
企業導入が増えているSSD。その製品や提供ベンダーが増えているが、その使用法を誤るとメリットを得にくい場合もあるという。自社に最適なSSD製品を選択するためのコツを紹介する。
ソリッドステートライブ(SSD)の導入でDIY(Do It Yourself)方式を選択する企業が増えている。前回の「SSD導入では『ウェアレベリング』と『データの整合性』に注意すべし」に続き、エンタープライズ環境でのSSD導入に際してDIY方式で臨むべきかどうかを判断する上で考慮すべきポイントを紹介しよう(関連記事:約70%の企業がSSD採用を進めている理由)。
SSDストレージには幾つかのフォームファクターが存在するが、HDDスロットやPCIeバスに直接接続されるPCI Express(PCIe)フラッシュカードに装着するSAS、あるいはSATAベースのSSDを選択するのが一般的だ。
直接接続するPCIeカードの主な利点の1つに、従来のストレージプロトコルに伴うオーバーヘッドがないために遅延が少ないことが挙げられる。しかし米Dragon Slayer Consultingのマーク・ステイマー社長によると、「DIYユーザーにとっては、HDDと同じフォームファクターでSASベースのSSDよりもPCIeカードの方が高いスキルを必要とする可能性がある」という。
「HDDフォームファクターのSSDは、PCIe型よりもはるかにリスクが少ない。システム内蔵のSASコントローラーに接続するからだ」とステイマー氏は話す。ただし、SASコントローラー自体の制限があるのでパフォーマンスは劣るという。
SSDに最適な場所を選ぶ
有名メーカー製のハイエンドアレイは、市販のSSDを組み込むのに適しているとはいえない。保証対象外のドライブを搭載することで保証が利かなくなったり、システムの動作に悪影響が出る恐れがあるからだ。
「DIY方式でいくのであれば、デスクトップ、ノートブック、そしてサーバの順にSSDを導入するとよい」とステイマー氏はアドバイスする。JBOD(“Just a Bunch Of Disks”― シャーシ内の複数のディスクをサーバに接続した構成)も有力候補だという。「ストレージアレイはあまり適していない。有名ブランドの製品は、ケースを開けると保証が無効になってしまう」
サーバ組み込み型SSDやPCIeフラッシュカードを複数のサーバ間で共有するための製品もある。米Sanbolicのソフトウェア「Melio」や、米QLogicのホストバスアダプター(HBA)製品の「Mt. Rainier」などだ。だが、こういった製品はDIY派にとって追加出費を意味する。
フラッシュキャッシュも検討すべき
DIY派はプライマリストレージにSSDを導入するのがベストだと考えているかもしれないが、マーティン氏によると、フラッシュキャッシュという用途も検討に値するという。「フラッシュキャッシュはシステムに追加するだけでよく、アプリケーションやストレージを変更する必要がない。それでいて大幅なパフォーマンス向上を実現する」と同氏は話す。
しかしフラッシュキャッシュを利用するには、SSDベンダー、ストレージ/サーバベンダーあるいはサードパーティーのソフトウェアベンダーから販売されているソフトウェアが必要になる。これらの選択肢としては、米Fusion-io、米OCZ Technology Group、米SanDisk、米VeloBitのサーバ用製品の他、米EMC、米NetAppおよび中小ベンダー各社が提供しているソフトウェアがある。また、QLogicが開発中のHBA技術「Mt. Rainier」では、SANストレージを利用する環境において、同社のPCIeカードあるいはSASベースのSSDを装備した複数のサーバ間でキャッシュデータを共有することができる。
キャッシングソフトウェアは、最も頻繁にアクセスされるデータを特定し、そのコピーをフラッシュキャッシュに移動する。フラッシュキャッシュでは、SASあるいはSATAベースのSSDではなく、CPUとシステムメモリに直接接続されたPCIeカードを使ったものが多い。サーバベースのフラッシュキャッシュ製品は、ネットワークホッピングに伴う遅延を減少させる。
サーバ/ストレージベンダーの保証とサポート契約を確認する
有名ブランドのストレージアレイやサーバのベンダーは、特定のSSDやPCIeカードだけを対象として自社製品のテストと認証を行っている可能性があり、企業のIT部門はSSDを導入する前にサポート契約と保証内容をチェックし、購入した市販のドライブがサポートや保証に影響しないか確認する必要がある。
「有名ブランドのストレージシステムの場合は、単にドライブを交換するだけというわけにはいかない。システムに対応したドライブを選ばなければならないのだ」とマーティン氏は話す。だが、サーバややストレージのベンダーの製品ではなくサードパーティー製のドライブを使える可能性もあるという。
ステイマー氏によると、DIY方式を検討しているIT部門は注意が必要だという。「多くのサーバベンダーは『他社製品を使用した場合は保証が無効になる』と言うだろう。サービス契約も無効になると思われる。ベンダーが問題に対処してくれるかもしれないが、全て有償になる」と同氏は話す。
予備ドライブを購入する
HDDであれ、SSDあるいはPCIeフラッシュカードであれ、ドライブは故障する可能性がある。このため、DIY方式を採用するIT部門は、予備を購入しておく必要がある。またSSDおよびPCIeフラッシュカードはHDDよりも高価なので、手元に用意しておく予備ドライブの数を決めるためにデータ量を把握することも必要だろう(関連記事:SSDの導入効果の見極めに役立つシステムの分析指標)。
「企業向けSSD製品はコンシューマー向け製品よりも保証期間が長い場合もあるので、保証書の内容をよく読むこと」とマーティン氏はアドバイスする。また、メーカーが提供している「TBW」(TeraBytes Written)などの数字もチェックすべきだという。
「SSDベンダーはこのデータを提供しているが、HDDでそういった計算をしているエンドユーザーは非常に少ない。だから比較ができないのだ」とマーティン氏は指摘する。「HDDの場合、1日当たりのTBWのことを意識する人はいないので、どれくらいが適切な数字なのか分からない人がほとんどだ」
TBWというのは、特定のワークロードとアプリケーションクラス(クライアントまたはエンタープライズ)を用いて、ホストがSSDに書き込める最大Tバイト数を示したものだ。米JEDEC Solid State Technology Association(旧称はJoint Electron Devices Engineering Council、JEDEC)では、標準的な手法によって各社のSSD製品を比較できるようにするために、TBW(「耐久性指標」ともいわれる)を決定するためのガイドラインを提供している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
5
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
6
「Linuxサーバの長期運用とRed Hat Enterprise Linux」に関するアンケート
-
7
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
8
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
9
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
10
DXを阻む「動くだけ」のレガシーシステムに決別するための生成AI活用術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー