データセンターへの投資を無駄にしないために
SSDの導入効果の見極めに役立つシステムの分析指標
データセンターの性能向上を目的として、SSDの導入を検討する企業は多い。しかし、期待通りの効果を得るためには、システムの現状をより細かく把握し、分析できなければならない。
最近ではソリッドステートドライブ(SSD)の価格も下がり始め、メーカーはデータセンター全体のパフォーマンスを向上させる方法の1つとして、SSDを売り込んでいる。確かに、SSDは従来の回転式ディスクの最速モデルをも上回る性能を発揮できる。しかし、従来のHDDをSSDにリプレースするだけでは何も改善されない可能性もある。SSDで投資に見合う性能向上を実現できるかどうかは、どのように確かめられるのだろうか?
ボトルネックを確認する
SSDへの切り替えを行う前に、システム管理者はどの程度のメリットを得ることができるかを考察する必要がある。アップグレードによる性能向上がどの程度であるかを見積もるのに最善の方法は、まずSSDへの切り替えの有力候補となりそうなI/O依存度の高いサーバを特定することだ。そしてサーバを特定できたら、Windowsパフォーマンスモニターを使ってサーバのボトルネックを確認する。
サーバにはどこかしら性能のボトルネックがある。つまり、他のコンポーネントよりも動作が遅く、サーバ全体のパフォーマンスを制限する要因となり得る。そのため、I/Oが集中するアプリを実行するサーバであれば、問題はHDDにあると考えがちだ。HDDは機械的なハードウェアであり、他のシステムコンポーネントと比べて動作がはるかに遅いからだ。しかし実際には、別のシステムコンポーネントがボトルネックの原因であるケースも少なくない。とりわけ、高性能ストレージアレイに接続されているサーバの場合はなおさらだ。その場合、HDD以外のボトルネックを解消できないとSSDへの投資を無駄にすることにもなりかねない。
Windowsパフォーマンスモニターを使ってストレージのボトルネックを探すのは簡単な仕事に思えるかもしれない。だがデータセンターストレージは中央集中型のシステムであるため、そう簡単にはいかない場合もある。例えば、Windowsパフォーマンスモニターでディスク性能の評価に用いる主要なカウンタの1つに「Avg. Disk Queue Length」(ADQL:ディスクI/O待ちキュー長の平均)がある。Microsoftはこのカウンタの値を2以下に保つよう推奨している。2を上回れば、それはHDDの動作が遅過ぎるという意味になる。この推奨値で問題なのは、監視するディスクが1台と想定されている点だ。SANストレージを採用している企業の場合、サーバが実際に何台の物理ディスクを使用しているかを把握するのは不可能かもしれない。
たとえ管理者がSAN構成の詳細を正確に把握していたとしても、ADQLカウンタはやはり誤解を招きかねない。例えば、ADQLカウンタの値が6だったとする。このカウンタ値を2以下に保つというMicrosoftの推奨に従えば、これは大きな問題ということになる。だがボリュームが5台のドライブで構成されているのであれば、ADQLのカウンタ値「6」をドライブの台数「5」で割る必要がある。すると、ドライブ当たりのADQL値は平均1.2となり、Microsoftのガイドラインの範囲内に十分に収まる。
レスポンスタイムから手掛かりを得る
1つのボリュームに配置されている物理ディスク数を把握することが難しい場合が多い。従って、ADQLカウンタではなくAvg. Disk/secカウンタに着目した方が有効かもしれない。このカウンタでは、1回の「読み込み」や「書き込み」や「転送」にかかった平均時間を監視できる。レスポンスタイムだけでは、SSDへのアップグレードが効果的かどうかまでは判断できないが、少なくともシステムの健康状態についてのヒントは与えてくれるはずだ。例えば、レスポンスタイムが5ミリ~10ミリ秒の範囲に収まっていれば、サーバのパフォーマンスはかなり良好ということになる。そしてそれは、SSDによるサーバ性能の改善は期待できないということではなく、単にストレージ性能に重大な問題はないことを確認している。
ツールを用いてストレージトラフィックを分析する
ディスクのレスポンスタイムが10ミリ秒以上と高いようであれば、HDDがサーバの処理速度に追い付けていない可能性が考えられるが、他にネットワーク待ち時間の問題である可能性も考えらえる。
Windowsの場合、HDDをSSDでリプレースすればSANストレージの性能の問題を解消できるかどうかは、Windowsパフォーマンスモニターを使っても判断できない場合がある。これには、MicrosoftがストレージI/Oに使用している階層構成が関係している。
WindowsのI/Oスタックには幾つかのコンポーネントが存在している。Windowsでストレージ性能を監視できる最下位レベルは、個々の転送を管理するポートレベルだ。ポートはI/O操作をミニポートドライバに引き渡す。ミニポートドライバはベンダーが供給する、基底のハードウェアに固有のコンポーネントだ。従って、Windowsパフォーマンスモニターはミニポートレベルではスタックの監視は行えない。
ファイバーチャネル(FC)接続がボトルネックの原因と疑われる場合には、Fibre Channel TechnologiesやNetwork Instrumentsなどが提供するサードパーティー製ソリューションを用いてその通信を分析する必要がある。
ストレージトラフィックを分析すれば、FCリンクに帯域幅の飽和や待ち時間の問題がないかを確認できる。サーバのストレージ接続に問題があると考えられる場合は、追加のホストバスアダプターをインストールすればストレージ性能を改善できるだろう。
HDDで実現できるパフォーマンスよりもSSDのパフォーマンスの方が優れているのは確かだ。だがストレージ接続がストレージアレイの速度に付いていけないのでは、ストレージ性能の改善は実現しないままになる可能性もある。
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