引き金は「データベースドライバ」の更新
ヤマハ発動機も見落とした、「遅いWebサイト」の意外な原因
アプリケーションサーバをOSSへ移行したヤマハ発動機の海外法人。その直後、同社Webサイトのパフォーマンスが急速に悪化したという。原因はOSSではなく、別のところにあった。
システム要素をオープンソースソフトウェア(OSS)へ移行することには大きなメリットがある。一方で、データ開発者には特別な注意が求められる。例えば、有名なバイクメーカーであるヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のヨーロッパ現地法人がアプリケーションサーバを切り替えたとき、ディーラー向けWebサイトのページロード速度が大きく低下する問題が生じた。調べてみると、アプリケーションからのデータベースアクセスを処理するデータベースドライバが原因であると分かったという。
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このWebサイトは、数カ国の販社と1500社のヨーロッパディーラーが利用している。各ディーラーは、同サイトを利用してパーツの注文やクレーム処理、保証登録ができる。こうした電子商取引(EC)アプリケーションのユーザーにとって、処理速度の低下は深刻な問題だ。こう指摘するのは、ヤマハのヨーロッパ法人でオランダに本拠を置くYamaha Motor Europeで情報システム部門マネジャーを務めるキース・トロムメル氏である。
トロムメル氏のチームは、アプリケーションサーバを米IBMの「IBM WebSphere」から「Apache Tomcat」へ切り替える決断を下したが、各種のテストで、アプリケーションサーバとデータベースサーバ「Microsoft SQL Server」の接続性に非常に重大なパフォーマンス問題が見つかった。それまで5秒ほどだったページロードが、突然40秒もかかるようになってしまったのだ。
「われわれはストレステストを実施して、この問題がデータベースドライバにあることを突き止めた」と、Yamaha Motor Europeの上級開発者、ロナルド・ハーリング氏は説明する。「システムがうまく稼働した当初、データベースドライバについて深く考えなかった。オリジナルのデータベースドライバは(SQL Serverへ接続する)WebSphereのものだったが、Tomcatへ移行したときに他のデータベースドライバを利用せざるを得ず、パフォーマンスが急降下した」
そこでハーリング氏のチームは、米Progress Softwareが提供するJava Database Connectivity(JDBC)ドライバである「DataDirect」に注目した。Progressは、JDBCドライバやOpen Database Connectivity(ODBC)ドライバで知られるベンダーだ。
DataDirectをシステムに実装した後、ページロードに要する時間は4、5秒に短縮した。また、DataDirectへ移行したことによる副次的な効果として、UTF-8とUnicodeの文字コードのサポートを実現した。そのメリットは大きかった。ヤマハのサイトは、ヨーロッパ12カ国で12言語をサポートする必要があったからだ。DataDirectは、UTF-8のエンコードとデコードが可能だった。
データベースドライバ:どの速度でも安全か?
データベースドライバは、データ統合の進化において、常に重要な役割を担ってきた。「見過ごされがちだが、JDBCやODBCの頑健な接続性は、今もエンタープライズソフトウェアの発展に大きく貢献している」と、ProgressのDataDirect R&D上級ディレクタ、ジェシー・デイビス氏は語る。
ユーザーが何らかのビッグデータを扱うようになったとき、ODBCがメインの選択肢になる例として、デイビス氏は米Tableau Softwareなどが提供するデータ分析ダッシュボードを挙げる。
ODBCの登場以前、データベースは全て独自のインタフェースを持っていたと、デイビス氏は指摘する。「データストアのインタフェースが全て異なっていた時代、ソフトウェアを記述して保守するのは大変な困難だった」(同氏)。ODBCは、開発当初からユーザーのこうしたニーズに応え続けている。ODBCは、2012年に開発20年周年を迎えた。同種の技術であるJDBCは、ODBCの接続性をJavaの時代に合わせて進化させたものだと同氏は語る。
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