“刺さる”顧客リストを予測分析で抽出
【事例】ソネットが「思わずクリックしたくなるメール」を作り出せた理由
ソネットエンタテインメントは、メールのクリック率やコンバージョン率の向上を図るべく、予測分析製品の導入を決断した。同社担当者に製品選定の背景を聞いた。
インターネットサービスプロバイダー(ISP)大手のソネットエンタテインメント(以下、ソネット)は、メールマーケティング支援を目的に予測分析製品を導入した。同社は、どういった経緯で導入を決めたのか。製品選定のポイントは。同社ソリューションサービス事業部門の高木信之氏に話を聞いた。同氏は、2012年まで所属したマーケティング部門プロジェクト室において、予測分析製品の導入検討を進めた。
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導入の経緯:ペルソナ、CRM導入を検討も課題に直面
210万人以上のISP会員を抱えるソネット。会員の退会防止や入会促進を進めるべく、2011年初頭にメールマーケティングの強化策を検討した。
同社がまず検討したのが、商品のユーザー像を仮想的に人格化した「ペルソナ」を利用したメールマーケティング手法だった。4パターンのペルソナを作成した後、20~30人に対して1人当たり1時間30分程度のインタビューを実施し、顧客を4種のペルソナに分類。各ペルソナに合わせたメールを配信するのが骨子だ。
試験的に4パターン分のメール原稿を作成して試験配信したが、「クリック率の顕著な向上など具体的な成果が得られなかった」。ペルソナベースの手法はいったん検討をやめ、適切な手法を継続的に調査することにした。
同社が次に目を付けたのは、「顧客関係管理(CRM)」だった。「ペルソナベースの手法の場合、マーケティング施策の対象は集団となってしまうが、CRMであればユーザー単位で細かい施策の調整が可能だと判断した」
外資系ベンダーを中心に複数社のCRM製品を選定した同社だが、数千万~数億円掛かることも珍しくない導入コストがネックとなっていた。
製品選定:低コストと操作性の高さが選定ポイントに
ソネットは、メールマーケティング支援策の最終候補として、あるCRM製品に加え、ちょうど同時期に存在を知っていたシナジーマーケティングの予測分析製品「iNSIGHTBOX」の2製品を選んだ。
予測分析製品であるiNSIGHTBOXを選定対象に含めた理由は、「製品選定や検証を進めるうちに、自社に必要なのはデータマイニングなどの予測分析機能であることが分かった」からだという。210万人以上という大量の会員が複数のサービスを契約している状況で、分析に余計な手間をかけずに効果を出すためには、予測分析機能が不可欠だと判断したためだ。
選定対象となったCRM製品は、ソーシャルメディアとの連動といった機能が魅力だったが、予測分析機能を備えていなかったという。一方のiNSIGHTBOXは、予測分析機能を搭載することに加え、「データ入力といった基本的な作業だけで、顧客リストの算出やメルマガに盛り込むべきキーワードの分析ができる」手軽さを評価した。「日常のマーケティング施策として現場の担当者が利用できるようにするには、手軽さが重要だった」
高額なCRM製品と比べ、数十万円程度で利用できるiNSIGHTBOXはコスト面でも負担がないと判断。導入候補をiNSIGHTBOXに絞った。
試験導入:高いクリック率を実現
iNSIGHTBOXは、試験導入時に「明確な導入効果が得られた」と高木氏は語る。同社は試験導入として、210万人以上の会員の中から一定数を無作為抽出したテストマーケティングを実施した。
テストマーケティングでは、ソネットのポイントサービス「ソネットポイント」に加え、同社が販売するWiMAXサービス、マカフィー製品を遡及テーマとして設定した。iNSIGHTBOXには、ソネットが2011年度に配信した8種類のサービスに関するマーケティングメールの本文データ、各メールのクリック実績データを入力。過去の実績を基に訴求力が強いと判断したキーワードと、配信先の顧客リストを出力した。
配信先の顧客リストについては、母集団である4万人の中でメールに反応する可能性が高いとiNSIGHTBOXが判断した「推奨リスト」と、それ以外のリストに分類した。
テストマーケティングの結果、メールのクリック率(CTR)、クリック後にサービスやポイントの登録など具体的な行動に至ったコンバージョン率(CVR)ともに「期待通りの効果があった」という。
最も効果があったソネットポイントの登録を促すメールマーケティング施策の場合、推奨リストに登録された人のCTRは7.01%と、それ以外のリストの0.31%と比べて約23倍に達した。同社の通常のマーケティングメールでは「CTRが1%未満になることも珍しくない」ことを考慮すると、高いCTRだといえる。またCVRは、推奨リストで2.68%、それ以外が0.08%。推奨リストでは、クリックした人の約4割がコンバージョンに至ったことになる。
今後の展開:本格導入を急ぐ
iNSIGHTBOXの試験導入が一通り終了したソネット。「本格導入はまだこれから」といった段階であり、エンドユーザーの評価が出るのはしばらく後になりそうだ。高木氏は、CTRやCVRの向上だけでなく、「マーケティングメール配信解除者の抑制にも役立つ」という手応えを感じているという。「ユーザーが本当に必要な情報のみを提供することで、ユーザーにとって余計なメールを配信してしまう可能性を抑制できると考えている」
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