イベントはもはやモビリティの国際見本市
モバイル市場に吸い寄せられる仮想化ベンダー
多くのITベンダーがデスクトップ向けソリューションからモバイル向けにシフトしている。特に、Citrix、VMwareといった仮想化ベンダーはその動きが顕著だ。
ここ最近のベンダー各社の変化は、デスクトップ仮想化市場の中心が徐々にモビリティへシフトしていることを示している。
米Citrix Systemsは先日、2013年10月にロンドンで開催を予定していたカンファレンス、Citrix Synergyをキャンセルすると発表した。比較的小規模のモビリティ関連展示会が欧州各地で開催されるのを受けてのことだ。これはCitrixがデスクトップおよびアプリケーション仮想化から、モビリティ志向へ移りつつあることを暗示する最新の兆候だ。“Citrix 2.0”と呼んでもいいだろう。
それは、Citrixがデスクトップ市場から撤退することを意味するわけではない(現在も同社が市場で大きな役割を担っていることは間違いなく、その革新性が色あせたわけでもない)が、このデスクトップ仮想化ベンダーが、いま翼を大きく広げようとしている印象を強く抱かせる。
XenAppとXenDesktop以外の、Citrixのソリューションを概観してみよう。それらには、Podio、ShareFile、Citrix Onlineコンポーネント群、そしてもちろん、CloudGatewayがある。さらに同社は、Citrix Receiverを活用して自社製品群を1つのプラットフォームに統合しようとしている。数年後、人々はCitrix Recieverがリモートデスクトップ製品であることなど気にもせず、単なるモバイルアプリケーションとして、あるいは情報管理ツールとして、モバイルデバイスに組み込むようになるだろう。
モバイルに力を入れるベンダー各社
その他にもモバイルに重点を置きつつあるデスクトップ仮想化ベンダーは多い。
米VMwareは最近、同社のHorizon Suiteを、物理デスクトップ、仮想デスクトップ、そしてモバイル管理ツールを含むエンドユーザーコンピューティングスイートに再パッケージ化した。VMwareは、モバイルデバイスを次の2つのいずれかの方法で管理している。まず、幾つかのAndroidデバイスでは、OSを実際に仮想化して2つの異なるコンテナを作成し、業務用(Work)と私用(Play)のスペースに区別する。Apple iOSデバイスでは、一般的なモバイルアプリケーション管理製品と同じように、組み込みアプリケーション用のサンドボックスコンテナを作成する。
階層化およびクライアントハイパーバイザ管理ツールで知られる米Mokafiveも、モバイル情報管理向けのモビリティパッケージをリリースした(モバイルアプリケーション管理も可能なこの製品で、同社は今後の方向性を固めたと思われる)。
米Dellは(Wyse TechnologiesやQuest Softwareと同じように)モバイルデバイスを管理するためのソフトウェアを買収するとともに、Microsoft System Center Configuration Managerにそれらのデバイス管理機能を組み込むことさえ行っている。そして、ある日突然、われわれは物理デスクトップや仮想デスクトップを管理する同じ場所から、自分のデバイスを管理できるようになるのだ。
デスクトップ仮想化市場に及ぼす影響は?
われわれの世界は数年前に予測すらできなかったほど変化している。だが、たとえ技術が変化しても、われわれの役割はそれほど大きく変化していない。いまだに、アプリケーションをデバイスへどう送り込むかということを一番気に掛けている。そして、いまだに、ユーザーが安全にデータやWebサイトにアクセスできているかどうかを気にしている。実は、アプリや情報にアクセスするために用いられるデバイスが机の上にあるか、データセンターにあるか、あるいはポケットの中にあるかに関わらず、それは変わらない。
Citrixの上層部の社員があるとき、筆者に「XenAppやXenDesktopと同じようにCloudGatewayについても知っておくべきだ」と話したことがある。今日、たとえモバイルデバイスのアプリケーションやデータ、セキュリティの責任者ではなくても、変化の波は間違いなく近づいており、早晩、あなたの目の前に押し寄せる。恐らく現在は、Windowsデスクトップをモバイルデバイスにいかに供給するかが課題だろうが、今よりもっと適切な手法を探す段階になったとき、あなたも当事者の1人になるだろう。
もしそれが信じられないなら、あなたが知っているデスクトップ仮想化ベンダーの動きを見ればよい。そこには前出のベンダー(Citrix、VMware、Mokafive、Dell)以外にも、米AppSenseや米Symantec、そして米RES Softwareといったビッグネームがある。米McAfeeやルーマニアのBitDefenderなどのアンチウイルスベンダーでさえ、この分野に進出しつつあるのだ。
もっと証拠が欲しいというのなら、2013年5月に米ロサンゼルスで開催されるCitrix Synergyカンファレンスの基調講演に注目せよ。少し前まで、Windowsデスクトップ仮想化の新機能を説明する1時間半の発表だったものが、今やクラウドとモビリティの国際見本市になった感がある。もちろんWindowsに関する話もあるが、もはや会場のエネルギーはモビリティのトピックスから生まれている。恐らくこの先、モビリティはデスクトップ仮想化の世界にさらに深く入り込んで来るはずだ。
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