米国ではiPhone 5対応サービスも提供
スマホ通話が楽しくなる「HD Voice」の秘密
スマートフォンは、通話品質以外は全ての機能が向上している。実際、通話は、スマートフォンで一番物足りないサービスだろう。しかし、LTE経由の音声通話がこの状況を変える可能性がある。
この通話技術は一般的に「HD Voice」と呼ばれており、「広帯域音声(Wideband Audio)」と呼ばれることもある。今使っているスマートフォンがHD Voiceに対応していなくても、次に使用する新しいスマートフォンは対応しているだろう。
HD Voiceとは何か
HD Voiceはユーザーに、バックグラウンドノイズが軽減されたクリアで明瞭な通話エクスペリエンスを提供する。音質はSkypeのようなVoIPサービスと肩を並べる。HD Voiceサービスの提供に使われるLTE(Long Term Evolution)は、大手キャリアの4G(第4世代)ネットワークを支える携帯技術だ。
現在、ほとんどのスマートフォンの通話は、3Gと呼ばれることが多い旧来のCDMA技術で伝送されている。この技術は、ごく単純化すると、複数のトランスミッタが同時に1つのチャンネルでデータを送信する方式だ。キャリアはこの方式により、同じ周波数帯域で多数の顧客に対応できる。CDMAでは、端末ごとに固有のコードを割り当てることで、同じ周波数帯域を使用する顧客間の混信を防止できるからだ。
HD Voiceの仕組み
CDMAとは異なり、HD Voiceでは広帯域音声技術の採用により、現在よりも広い周波数帯域を利用できる。従来の電話では300Hz~3.4kHzの周波数帯域を使うのに対し、広帯域音声では50Hz~7kHzの帯域を使う。この新しい帯域は、人間の声の範囲を十分カバーできる。
また、利用できる周波数帯域の拡大により、CDMAでは8kHzだった音声サンプリングレートが、HD Voiceでは16kHzに向上する。これは、スマートフォンでの通話音質がより明瞭で聞き取りやすくなるということだ。
HD Voiceの普及条件
HD Voiceはまだ普及の初期段階にあり、対応端末を実際に持っているユーザーは多くない。しかも、HD Voiceが機能するには、通話者双方がこの技術にアクセスできる必要がある。一方の通話者がHD Voiceにアクセスできないと、通話はCDMA方式で行われる。
すなわち、HD Voiceが普及するには、メーカーが当分の間、CDMAとHD Voiceの両方に対応した端末を提供することが前提として必要になる。実際、メーカーはそうするだろう。また、端末のスピーカーやマイクの品質も、HD Voiceの利用を制約する要因の1つとして挙げられる。端末のスピーカーやマイクの音質が悪ければ、HD Voiceを使っても、その恩恵をあまり享受できない。それでも、従来の通話よりは音質の改善が見込めるため、HD Voiceが全く無駄になることはないだろう。
気になるサービス動向
現在、米AT&TはHD Voiceサービスを2013年に提供開始する計画だ。既に米T-Mobileは同サービスをiPhone 5で利用できるようにしている。米SprintもHD Voice端末をリリース済み。米Verizonは2014年にHD Voiceサービスを開始しようとしている。これらは米国の大手キャリアの動向だが、欧州諸国では2013年の大半を通じてHD Voiceサービスが利用されている。
現時点でHD Voiceの先行きを具体的に予想するのは難しいが、HD Voiceサービスは提供が徐々に進められており、一部のユーザーは既に利用している。米AppleのiPhone 5はHD Voice技術をサポートしているが、ユーザーがHD Voiceサービスを試せるのは、自分が利用しているキャリアの対応を待つことになる。
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