GE、Pivotal、Amazonが提携を発表
今から注目したい「モノのインターネット(Internet of Things)」のリアル事例
計測機器やセンサーをインターネットに接続する「Internet of Things」を活用する事例が増えている。各社はどう利用し、何を課題に思っているのか。
クラウドコンピューティングとデータアナリティクスを活用して生産性を高めることを目的に、米General Electric(GE)からベルギーの大学病院グループまで、多岐にわたる企業や組織が「モノのインターネット」(Internet of Things、以下“IoT”)の概念を実践に移すための取り組みに着手している(参考:もはやバズワードではない、「モノのインターネット(Internet of Things)」とは?)。
IoTを構成するのは、中央集中型のデータアナリティクス用のリポジトリにデータを送信できるセンサーを装着した電動タービンや医療機器など各種の機械だ。そこへビッグデータ処理の新たな手法を適用すれば、製造の生産性や正しい診断に関して、新たな洞察を得ることが可能となる。データセットの伸縮自在な性質からして、こうしたIoTの活用事例はいずれも、クラウドでのストレージや処理と相性が良い。
こうした概念をITオペレーションに組み込み始めた組織の1つに、ベルギーのルーベンにある大学病院グループUniversity Hospitals Leuven(UZ Leuven)がある。
「1人の人間の全遺伝情報(ゲノム)を7日以内で計算できる。いずれは当グループの全ての患者のゲノム配列を解読できるだろう。そうなれば、そのデータと参照データをいつでも比較できる」と同グループのIT管理者、レイナウド・レインダース氏はメールで述べている。
患者のゲノム配列を解読できれば、臨床医はゲノムの変異を容易に特定できるし、統計データに基づき患者のがんのリスクを計算することも可能だ。こうした計算にはベルギーCartageniaのソフトウェアが使われており、このソフトウェアも米Amazon Web Services(AWS)で稼働しているという。
全ての病院がここまで進んでいるわけではない。
「当院は特殊な状況に置かれている。全ての医療データを1つの巨大データベースに保存しているため、異なるモジュールのデータ間で関係性を分析しやすい。大半の病院では、医療データは複数のシステムに分散しているため、同様の分析を行うのははるかに難しいはずだ」とレインダース氏は語る。
レンタカー業務システムプロバイダーの米BlueBird Auto Rental Systemsも、IoTを検討している企業の1つだ。ただし、まだ具体的な計画は決まっていない。
BlueBirdのフィル・ジョーンズ副社長によると、可能性の1つとしては、各営業所に返却されてきた車両の返却手続きを自動で行うシステムが考えられるという。問題は、営業所の敷地に駐車された車両が必ずしも返却車両とは限らない点だ。顧客が利用時間を延長したいのかもしれないし、運転手が道を尋ねるために寄っただけかもしれない。このアイデアを実現するには、レンタカーの各営業所に返却専用レーンを設けるといった措置が必要となるだろう。
GE、Pivotal、Amazonの3社が提携
GEは米Pivotal Initiative(以下、Pivotal)およびAWSとの提携に基づき、産業分野の顧客向けのデータ管理ソフトウェア「Proficy Historian HD」を発表した。
Pivotalは Platform as a Service(PaaS)の「Cloud Foundry」によって、HadoopベースのProficy Historian HDを他のクラウドでも利用できるようにする計画だ。さらにPivotalは、知的財産(IP)も提供している。このIPのおかげで、Proficy Historian HDはGEの既存のマシンデータ分析ソフトウェアよりもさらに広範な分析をサポートし、今では数日や数カ月の単位ではなく、数年や数十年の単位でデータを追跡できる。AWSは、Proficy Historian HDのアーキテクチャのインフラレイヤーを提供する。
「新世代アプリケーションの台頭が目前に迫っている。産業分野はこのビッグデータの概念を全く新しいレベルに高める必要がある」とPivotalのポール・マリッツCEOは先日、Webキャストで語った。
AWSの最高技術責任者(CTO)であるワーナー・ボーゲルズ氏が同じWebキャストで語ったところによると、米Shell Oilはそれぞれが1Pバイトのデータを生成できるセンサーを油田に導入する予定であり、米航空宇宙局(NASA)の火星探査機も何千ものリソースを同時に迅速に配備する必要がある。またAmazon.comの巨大倉庫もこうしたビッグデータ技術に依存しているという。これらのシステムにGEの新製品が採用されるかどうかは定かではない。
IoTは新しい概念ではないが、これまでのテクノロジーはまだこの概念を実現できていない。そう指摘するのは、米Cloud Technology Partnersの上級副社長デビッド・リンシカム氏だ。
今では、機械は組織の中だけでなく、組織間でも通信する可能性がある。例えば、医療分野では何万台ものMRI機器が1つのクラウドインフラに接続されるといったケースも考えられる。集められたデータは、機器の保守担当者から医療診断医まで、何かしらの判断を求められる人たちに配信される。
「この分野の可能性には限度がない」とリンシカム氏は語る。
とはいえ、問題も多い。
「大量のデータを集め、それをうまく活用するのは、容易には解決できない複雑な問題だ。支配するには非常に複雑な概念であり、セキュリティの問題もある。不確実な要素がまだ数多く残っている」とリンシカム氏は続けている。
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