【連載コラム】医療ITの現場から
スマートデバイスは医療ICTにどんな変化をもたらすのか?
医療分野におけるスマートデバイスの活用が進んでいる。その背景にはクラウドコンピューティングの普及がある。スマートデバイスは今後、医療分野にどのような影響をもたらすか? 医療ICTの未来を考察する。
医療現場に根付き始めたスマートデバイス
医療分野におけるiPadなどのスマートデバイスの活用は確実に進んでいます。医師の所有率の高まりだけでなく、医師ならではの用途という面でも、これまで多かった「医薬品の検索や論文の閲覧などの限定使用」から大幅に広がっているようです。
「スマートデバイスを活用したい」という医師の声を受けて、メディプラザでも展示形態の見直しを行いました。現在は、「問診票」や「音声入力端末」「看護師の指示受け端末」「在宅訪問時のカルテ閲覧・入力端末」「多職種間の情報連携端末」などさまざまな製品を体験できるようになっています。1年前にはスマートデバイスを利用した展示がほとんどなかったことから考えると大きな変化だと感じています。
スマートデバイスの利点である「軽量」「安価」「簡単な操作」といった特性が、医療の現場で好意を持って受け入れられた結果ではないでしょうか。
スマートデバイスの活用の影にクラウドコンピューティングの普及あり
スマートデバイスが急速に普及してきた背景には、医療分野におけるクラウドコンピューティングの普及・定着があると考えられます。特に在宅医療の分野で期待されている「多職種間の情報共有」においては、クラウド型電子カルテや情報連携システムが多数開発されており、この傾向は医療分野だけではなく介護分野にも広がっています。
クラウド型のシステムは、インターネットへの接続環境が整っていれば、いつでもどこでも欲しい情報にアクセスできます。そのため、政府の「どこでもMY病院」構想(患者主体の医療情報活用を可能にする構想)に沿って、クラウド型システムの普及が着実に進んでいるようです。場所や時間を問わず情報へアクセスできるクラウド型システムは、手軽に持ち運べるスマートデバイスとの相性が非常によいのです。今後は在宅医療のみならず、地域連携ネットワークという観点からも、スマートデバイス活用の広がりはますます出てくることでしょう。
スマートデバイスの普及がもたらす医療ICTの未来
今後スマートデバイスが、医療の現場にどのような影響をもたらすかを予想してみましょう。
- 医療従事者1人ひとりがスマートデバイスを保有することで情報共有レベルが上がる
- スマートデバイスとクラウドコンピューティングの普及がICT化のコストを下げる
- 医療機関のITに関する苦手意識が払拭され、急速にICT化が進む
これらにはかなり希望的観測も含まれていますが、現実味が全くないわけではありません。この10年あまりの間、医療分野のICT化を見てきた立場からすると、医師のスマートデバイスに対するこの関心度の高さからも、新しい医療ICTの潮流が生まれるのではないかと期待を膨らませています。
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