独居高齢者の生活相談・安否確認などを支援
「唐津スマホ」とKinectなど活用、佐賀県唐津市が高齢者見守りサービスの実証実験
佐賀県唐津市が、一般住宅に住む高齢者を対象とする生活相談・安否確認支援サービスの実証実験を開始した。スマートフォンを無償貸与し、利用者宅に設置する各種センサーを収集してビッグデータ分析を行う。
佐賀県唐津市は2014年1月27日、「高齢者向け安心見守り・健康相談システム」の実証実験を開始した。この実証実験は、総務省が進める「ICTスマートタウン」の実現に向けた「ICT街づくり推進事業」の委託事業として実施され、2014年度の事業化を目指している。唐津市、フリービット、コアラ、公益財団法人ハイパーネット社会研究所などが共同参画している。
今回の実証実験は、一般住宅に住む高齢者を対象に「サービス付き高齢者向け住宅」における安心見守りサービスと同様のサービスを提供するというもの。唐津市の光ファイバー網と、フリービットのMVNO(仮想移動体通信事業者)網「YourNet MVNO Pack」を基盤としている。具体的には、専門的な判断が求められる予防/健康チェックなどを行う「生活相談」支援サービスと、センシング技術を活用した「安否確認」支援サービスを提供することで、健康かつ自立した高齢者の生活を支援する。
スマホで高齢者自らが健康状態を把握
生活相談支援サービスでは、高齢者宅に専用タブレットを配布し、インストールされたアプリケーションから自分1人で24時間365日、健康に関するセルフチェックを行う。
利用者が質問に答えていくと、フリービットが開発した「独自健康チェックアルゴリズム」が重篤度を判定し、「受診の推奨時期」「推奨診療科」「症状に対する処置対応」などの情報を提供する。また、表示される推奨診療科は佐賀県の医療機関情報・救急医療情報システム「99さがネット」のデータベースと連動し、佐賀県内の病院・診療所情報を確認、連絡を取ることも可能。
さらに、フリービットのBPOセンター「SiLK Hotlines」のオペレーターを通じて健康相談を行うこともできる。フリービットによると、タブレット端末の操作が苦手な高齢者や、端末が手元にない場合でも、電話を通して自身の健康状態から病院情報の提供までを支援するという。
プライバシーに配慮した3種類のセンサーで安否を見守る
安否確認支援サービスは、プライバシーを考慮した3種類のセンサーで高齢者の安否を見守る。実証事業期間中、高齢者宅に設置した各種センサーと健康器具から取得する生体データを収集し、クラウドサーバによるビッグデータ分析を行う。
- μ波ドップラーセンサー:周波数運動の検知で、対象者の体動と呼吸をサーバにアップする。異常を検知し、家族などの見守り担当者に確認依頼のメールを自動送信する。
- Kinectセンサー:対象者のモーションを検知し、骨格映像のみをサーバにアップロードする。対象者のプライバシーに配慮した形で、遠隔での映像確認が可能。
- 環境センサー:温度や湿度、照度、モーション、気圧、集音などのデータを収集する。健康器具から取得する生体データなども収集し、サーバによるデータ分析を行う。
また、市民にはスマートフォン「唐津スマホ」を無償貸与。このスマートフォンでは、高齢者の体動と呼吸の状態を常に確認でき、異常時でもすぐに連絡が可能だ。
「響創のまちづくり」を基本理念に掲げる唐津市は、光ファイバーを市全域に敷設するなど情報基盤や公共インフラの整備、産業活性化などの施策を進めてきた。特に、2010年の高齢者率は25.9%となり、全国平均を上回っている。そのため、唐津市は健康増進計画「からつ元気いっぱい健康プラン21」の中で、「健康寿命(健康で自立して暮らすことができる期間)の延伸」を目標に掲げている。また、フリービットは2008年、唐津市にSiLK Hotlinesを開設するなど、同市の教育機関と連携して人材教育、ノウハウなどを提供してきた。
唐津市とフリービットは2013年6月、コンパクトスマートシティの実現に向けた実証事業「コンパクトスマートシティサービス」に合意しており、この実証実験は両者の合意事業の第一弾に位置付けられている。
センサーやクラウドなどを活用した新たな街づくりが全国各地で進んでいる
今回の実証実験は、2013年(平成24年)度補正予算におけるICT街づくり推進事業プロジェクトの1つ。ICT街づくり推進事業では「災害に強い街づくり、地域が複合的に抱える諸課題の解決、経済の活性化・雇用の創出、国際社会への貢献・国際競争力の強化などを可能とする“ICTスマートタウン”の早期実現を図る」ことを目的としている。全国各地の21事業が委託先候補となっている。各事業の概要は以下の通り。
| ブロック | 代表提案団体 | 事業名 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 北海道 | 北海道北見市 | 地域実証プロジェクト:北見市G空間情報とICTの連携活用事業 |
| 2 | 東北 | 宮城県大崎市 | みちのくの架け橋 人とまち、絆と共にまちなか創生事業~住民サービスIDとM2Mビッグデータを用いたまちなかコミュニティ、暮らし再生~ |
| 3 | 東北 | 福島県会津若松市 | 会津若松市 地域公共ネットワーク基盤構築事業 |
| 4 | 関東 | 群馬県前橋市 | ICTを活用した学びの場の創造と健康を支える環境づくり 「前橋ICTしるくプロジェクト」 |
| 5 | 関東 | 山梨県市川三郷町 | 産学官民協働のICT街づくり ―歴史ある地方の街のプラス成長への挑戦― |
| 6 | 北陸 | 富山県富山市 | コンパクトシティを実現する「富山まちあるきICTコンシェルジュ事業」 |
| 7 | 北陸 | 石川県七尾市 | ななおICT利活用の高齢者・来訪者などに優しく住みたい街づくり事業 |
| 8 | 東海 | 三重県玉城町 | ICTを利活用した安心・元気な町づくり事業 |
| 9 | 近畿 | 大阪府箕面市 | ICTを通じた地域と教育の再生事業 |
| 10 | 近畿 | 兵庫県淡路市 | 地域住民の生活利便性を向上する淡路ICTスマートアイランドプロジェクト |
| 11 | 近畿 | 奈良県葛城市 | 新時代葛城クリエーション推進事業 |
| 12 | 中国 | 鳥取県米子市 | よなごスマートライフ・プロジェクト推進事業 |
| 13 | 中国 | 岡山県真庭市 | 真庭の森林を生かすICT地域づくりプロジェクト |
| 14 | 四国 | 徳島県 | 放送と通信の融合による、地域力・地域連携を活かした災害に強い徳島プロジェクト |
| 15 | 四国 | 愛媛県松山市 | 松山市 健康・観光街づくり「スマイル 松山プロジェクト」 |
| 16 | 四国 | 愛媛県新居浜市 | IDを利活用したバリアフリー観光・移動、避難・救護システム |
| 17 | 九州 | 福岡県糸島市 | ICTを活用した見守りの街糸島 |
| 18 | 九州 | 佐賀県唐津市 | 唐津ブランド戦略支援型、防災・減災システム ★今回紹介したプロジェクト★ |
| 19 | 九州 | 佐賀県武雄市 | オープンデータシティ武雄の見える化とエコシステムによる農業活性化 |
| 20 | 沖縄 | 沖縄県名護市 | おきなわICT Smart Hub タウンモデル構築及びASEAN地域への展開事業 |
| 21 | 沖縄 | 沖縄県久米島町 | 豊麗のしま ―久米島地域経済活性化プロジェクト |
その多くが、センサーやクラウドなどの最先端のICTを活用した新たな街づくりに関する実証プロジェクトを実施している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー