倒産寸前まで追い詰められたことも
成功と失敗に彩られたMacintoshの30年、Appleが学んだこととは
米Appleの初代「Macintosh」が発売30周年を迎えた。今でこそ「iPad」と「iPhone」で大成功を収める同社だが、この30年間は決して順風満帆だったわけではない。
2014年1月24日は、米Appleが初代「Macintosh」を発売してから30周年となる日だった。同社はいま、「iPad」と「iPhone」で大成功を収め、世界の頂点に君臨している。その30年間は決して順風満帆だったわけではない。しかし、同社は幸いにも、失敗から多くのことを学んできた。
「使いやすさ」を考慮した初めてのコンピュータ
Macintoshが登場した当時、パーソナルコンピュータ業界はまだ揺籃期(そして、インターネットが学術分野以外の一般に知られるようになる10年近く前)にあった。それ以前からホームコンピュータは存在していた。だが、Appleの共同創業者である故スティーブ・ジョブズ氏とスティーブ・ウォズニアック氏によって、コンピュータの「使いやすさ」が考慮されたのは、初めてのことだった。
Appleでは、これまでも一貫して「使いやすさ」を戦略としている。同社は、MP3プレーヤーを世界で初めて開発したわけではない。だが、誰でも使えるMP3製品を作ったのは同社が初めてだ。同様に、同社のスマートフォンは世界初ではないが、既存製品よりもずっと簡単に使えた。iPadは新分野を開拓したわけではないが、従来製品より使い方をシンプルにすることで、巨大な製品カテゴリを創出した。
これが、Appleの強みである。イノベーションを生み出すのではなく、既存の製品カテゴリに狙いを定め、これまでにないほど優れた製品を開発することだ。
Appleはどのようにして過去から学んだのか
初代Macintoshを発売後、Appleは1980年代、米IBMや米Radio Shack(家電販売店で過去にPCを製造販売していた)といったPCベンダー各社と激しいシェア争いを繰り広げた。Appleは当時、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を強みとしていた。画面上のアイコンをマウスでクリックして操作するこのシステムは、パーソナルコンピュータの操作を格段に容易にするものだった。一方の競合コンピュータは、難解なテキストコマンドを覚え、入力する必要があった。
GUIなどの優位性があったにもかかわらず、Appleは市場でシェアを落とし、1990年代には倒産寸前の状況に陥るほどだった。「Windows 3.1」の登場(ある意味でMac OSに匹敵する初めてのバージョン)は、Appleにとって危うくとどめになるところだった。
その訳は、女性が巨大ビデオスクリーンにハンマーを投げ付ける、有名な「1984」のCM(1984年のスーパーボウルで放映)で見て取れる。非常に多くの人がこのCMを目にしたが、その感想は「クールな広告だ。でも一体、何のCMだろう?」というものだった。
1980年代に放送されたAppleの広告は全て、IBMなど巨大勢力に対する反骨心をあおるものだった。DOSやWindows 3.1と比べ、Macintoshがいかに使いやすいかといったことは、一切強調されなかったのだ。当時、多くの米国人が初めてのコンピュータを購入し、使い方を覚えるのに苦労していたのに、である。
結局、ほとんどの人が、Appleは反骨精神と果物にちなんだ製品の他に、何を提供するのか理解できなかった。その結果、大多数の人が他社製品へと流れて行ってしまった。
デバイスを売り込む極意とは
それから早数十年、Appleを取り巻く状況は一変した。同社の広告は今では、タブレットやスマートフォンの可能性を強調するようになった。例外はあるが、その大部分は、iPadやiPhoneがいかに便利であるかを訴えるものである。
これこそが、デバイスをうまく売り込むための秘訣である。つまり、タブレット/スマートフォン/スマートウオッチなど何でもよいが、その製品で何ができるかを人々に伝えることだ。
もし、Appleが30年前に、そのようなスタンスでMacintoshの広告を作っていたなら、今日の世の中はどうなっていただろう。想像すると非常に興味深いものがある。
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