多くのメディアも失敗を予想
5年前にiPhoneの失敗を予想した4人
iPhoneの登場により世界は一変した。だが、当初は否定的な意見も目立った。ここに取り上げる4人が特に愚かだったわけではない。われわれと同じく、予言者でも占い師でも超能力者でもなかっただけだ。
米Appleの初代iPhoneは、今から5年前の2007年6月29日に米国で販売が開始された(訳注:日本は2008年7月11日)。iPhoneは、Appleを「世界で最も成功を収めたテクノロジー企業」の地位に押し上げた立役者であり、ITのコンシューマライゼーションの時代の先駆けだ。
このような成功を目にすると、iPhoneがAppleにとって危険な賭けだったことをつい忘れてしまう。例えば、物理キーボードがないので失敗は目に見えているという意見があった。その他にも、競合他社、将来のパートナー、独立系アナリストを含め大勢がさまざまな問題を指摘し、iPhoneの成功を疑っていた。
今回は、2007年当時にiPhoneの成功に否定的だった4人の発言を振り返ってみる。
「BlackBerryにとって大きな潮の変わり目などいうのは、言い過ぎだと思う」
カナダResearch In Motion 共同CEO(当時)ジム・バルシリー氏
Research In Motion(RIM)がBlackBerry端末によってスマートフォン市場を支配していた2007年当時、バルシリー氏はロイター通信社とのインタビューで、iPhoneの脅威を軽視していた。しかし、バルシリー氏は初めからAppleのことを真剣に取り合うべきだったろう。RIMの市場シェアと株価は急落し、新しいOS「BlackBerry 10」はリリースが遅れ、バルシリー氏ともう1人の共同CEOマイク・ラザリディス氏は2012年1月に辞任している。
「iPhoneがそこそこの市場シェアを獲得する可能性はゼロだ。あり得ない」
米Microsoft CEO スティーブ・バルマー氏
米国紙USA Todayのインタビューで、バルマー氏はiPhoneを少数の、しかし熱狂的なユーザーベースを獲得するMacのような製品と見ていたようだ。同氏はまた、「スマートフォンのエクスペリエンスを音楽によってしか」特徴付けていないとAppleを批判していた。しかしiPhoneはiPodに電話機能を付加した以上のものに進化している。そして、このインタビューの中でバルマー氏がアピールしていた2製品(ZuneとWindows Mobile)は生産を中止している。
「iPhoneは、弊社が提携先第一号にならなくてよいと思う製品だ」
米Verizon 社長兼最高実務責任者 デニー・ストリングル氏
少し前まで、米国ではAT&T(前Cingular)しかiPhoneを販売していなかったのを覚えているだろうか? Verizon Wirelessは最初iPhoneを検討したものの、Appleが要求するレベニューシェアリング(利益分配方式)と流通管理を理由に手を引いた。結果としてVerizonは、iPhoneの人気に火が付いた際に取り残された格好になった。Verizonは2011年にiPhone 4がリリースされたときに、ようやくiPhoneの取り扱いを開始した。
「Appleは、ある程度シェアを獲得できなければ、iPhone用クライアントを開発するようアプリケーションベンダーを説得するのにかなりてこずるだろう。かといって、サードパーティーのアプリケーションがなければシェアは伸び悩む、そんなジレンマに陥る可能性がある」
米J. Gold Associates創始者 ジャック・ゴールド氏
モバイル分野のアナリストであるゴールド氏は、iPhoneが成功する可能性を完全に過小評価していたわけではないが、2007年のComputerworldのコラムでiPhoneが抱えるアプリケーションの問題を指摘し、iPhoneがヒット商品になれるかどうかについて疑問を呈している。Appleの当初の戦略は、Webアプリケーションを採用することだったが、2008年にひとたびiPhone SDKをリリースし、App Storeを導入すると、ネイティブアプリケーションの人気は急速に高まった。モバイルアプリ検索サイトを運営する独Xyologicによると、2012年4月の時点では、iPhoneアプリケーションの1カ月当たりのダウンロード数は、米国内だけで3億7800万件に上るという。
関連記事
- 無理してiPhoneアプリを作る必要はない(ホワイトペーパー)
- RADで作る、 iPhone / Androidアプリケーション(ホワイトペーパー)
国内報道はどうだったのか
- iPhone不振は「想定内」とKDDI小野寺社長 「スマートフォンよりケータイの方が使いやすい」(ITmediaニュース)
同社がiPhone 4SからiPhoneの取り扱いを開始したのは周知の通り。
- 本当にiPhone 3Gは“失敗した”のか(+D Mobile)
「iPhone 3G失速」報道に対する神尾氏の冷静な考察。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー