2007年08月20日 05時00分 UPDATE
特集/連載

メール機能は? 予定表の同期は?iPhoneはBlackBerryの代わりになり得るか?

Appleが7月に発売した携帯電話「iPhone」は、ビジネスツールとして使えるだろうか? Windows XPやOutlook、Exchange Serverなどへの対応、メール機能の使い勝手などを調べてみた。

[Rik Ahlberg,TechTarget]

 筆者の顧客の中には、発売よりもずっと前からAppleのiPhoneに関心を抱いていた企業が少なくない。彼らは、この新デバイスがWindows XPやOutlook、Microsoft Exchangeなどに対応するのかどうか知りたがっていた。筆者はiPhoneの発売後、その連係機能と管理性はどうなのか、電子メール、スケジュール管理、アドレス帳といった機能はBlackBerryに取って代わることができるのかといった点を確認するためにさまざまなテストを行った。

 iPhoneは基本的にはAppleのデジタルプレーヤーiPodの派生製品であるため、アクティベーション、設定、コンピュータ上のiTunesコンテンツと個人情報管理ソフトウェアとの同期には、AppleのiTunesソフトウェアを使用する。iTunesは数世代前から連絡先と予定表をiPodに同期する機能をサポートしている。2007年7月17日現在の最新版であるiTunes 7.3ではこのサポートが拡大され、電子メールアカウント情報をiPhoneに同期する機能が追加された。その一方で、メモ帳を同期する機能が削除され、iPodをHDDとして利用することができるディスクモード機能も外された。

 iPhoneはWi-FiとBluetooth機能を搭載しているが、同期はすべてUSBケーブルを通じて行われる。Wi-Fiはインターネットと電子メールへのアクセス用としてのみ使用され、Bluetoothはヘッドフォンとの接続用としてのみ機能する。無線でのディスクアクセスや同期を可能にするようなBluetoothプロファイルはサポートされておらず、筆者はiPhoneとコンピュータを無線で結合しようとしたが、だめだった。

設定

 テストではiTunesを通じてiPhoneをアクティベートした後、iPhoneとOutlookの連絡先と予定表を同期するように設定した。筆者のOutlookの連絡先は、データソースごとに分類された多くのグループの人々の管理を容易にするために、幾つかのサブフォルダに分けられている。しかしiTunesが選択できるのは最上位の連絡先フォルダだけで、サブフォルダの中身は見えなかった。また、1つの電子メールアカウント(筆者のExchangeアカウント)を選択しただけなのに、iTunesはすべての電子メールアカウントをiPhoneに転送した。このため、iPhone上で不要な電子メールアカウントを手作業で無効にしなければならなかった。

同期

 予定表と連絡先のOutlookとの同期は期待通りだった。変更は問題なく反映され、数千件の連絡先および数カ月分の予定表項目を簡単に同期できた。iPhone上で作成した新しい項目は、USBケーブル経由での同期後に適切な場所に保存された。

 iPhoneで完全に欠落しているのは、複数の予定表と会議への招待状を管理する機能だ。予定表項目をワイヤレスで同期できないため、招待状はiPhoneに転送する前にデスクトップ上で処理する必要がある。タスクやメモ帳を同期化することもできないため、仕事でタスクリストを活用している人には非常に不便に感じられるだろう。

メールチェック

 筆者がテストで使用したExchange Server 2003は、標準のIMAP/SMTPポート経由で問題なく電子メールを送受信できた。このサーバはあらかじめIMAPアクセス用に構成されていたため、サーバ側ではiPhoneをサポートするのに何も変更する必要がなかった。筆者は電子メールを15分ごと(これが設定できる最小時間間隔なのだ)にチェックするようにiPhoneを設定し、新しいメッセージが到着したらすぐ分かるように音量を高くしておいた。しかしiPhoneを利用し始めて間もなく、電子メールにすぐ応答しないと同僚たちから苦情が出た。15分以内に応答するのでは、「直ちに」応答するということにはならなかったわけである。新しいメッセージングが到着するとすぐにライトの点滅で知らせてくれたBlackBerryの便利さをあらためて思い知らされた次第だ。

管理性

 この第1世代のiPhoneの管理性については、Appleは何の努力もしなかったようだ。ワイヤレスでのプロビジョニング機能はないし、設定やポリシーを読み込む方法もない。リモートキル(遠隔停止)機能も備わっていない。

 ほとんどのユーザーは、必要に迫られない限りセキュリティパスコードを有効にしないだろう。その場合、紛失や盗難の際にはiPhoneに保存されている情報は保護されない。iPhoneの設定にはPCにインストールされたiTunesが必須であるため、設定はユーザーのデスクでユーザーとしてログインして行う必要がある。

社内システムとの連携

 AppleはiPhoneに関する話題を非常にうまくコントロールした。同社のスティーブ・ジョブズCEOは予定表機能のデモは一度も行わず、iPhoneの広告でもPIM(個人情報管理)機能が触れられることはほとんどなかった。Appleでは、iPhoneを基本的にiPod+インターネットデバイス+携帯電話として位置付けている。Appleは、PIM機能はオマケのようなものと考えているようだ。携帯電話アプリケーションの連絡先管理機能は十分に使えるが、iPhoneのメイン画面に連絡先管理機能のボタンがないのには驚いた。

 iPhone発売の前日、VistoはExchangeとLotus Notesの電子メールをサポートし、エンド・ツー・エンドの電子メールセキュリティ機能を備えた製品を7〜9月期に出荷すると発表した。しかしiPhoneの開発環境が整っておらず、Appleからも発表がないという状況では、Vistoの幸運を祈るしかない。

 今回のリリースは文字通りiPhone 1.0であるため、バグがあるものと予想される。iPhoneはとてもすてきな携帯電話であり、素晴らしい電話機能と美しいインタフェースを備えており、移動中であっても非常に簡単に通話を管理したり、膨大な連絡先リストにアクセスしたりできる。しかし、今回のバージョンではBlackBerryを代替する製品には仕上がっておらず、それを期待しているユーザーは失望を味わうことになるだろう。

 iPhoneに対する不満を要約すると以下の4点になる。

  • ワイヤレスで同期化とプロビジョニングが行えない
  • IMAP電子メールがリアルタイムで受信できない
  • タスクとメモ帳機能がない
  • メール着信を視覚的に通知しない

本稿筆者のリック・アールバーグ氏は、Empiric Partnersの共同創業者で同社の社長を務める。Empiric Partnersは事前予防型IT管理を専門とする会社で、ダウンタイムによって業務に大きな支障を来たすモバイルワーカーを抱えた企業を主な顧客とする。

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