NFV、OpenFlow、Open vSwitchが躍進の見込み
大規模な合併や買収が活発化 2014年のSDN市場を予測する
SDN市場は2013年に続き、2014年も大きく飛躍すると予想される。OpenFlowやOpen vSwitch、NFVなど、同市場の動きについて、主要アナリストらの見解をまとめた。
2013年のSDN(Software Defined Network)市場は掛け声倒れに終わったようだ。多くのベンダーが製品や戦略を発表したものの、実際に製品をリリースした企業は少ない。
2014年には、ベンダー各社がSDN市場の動きを推進し、ITプロフェッショナルたちが本番環境で使える製品を要求するという流れの中で、SDN技術が大きく飛躍すると予想される。米TechTarget編集部では、2014年におけるSDNをめぐる動きについて、米451 Researchで主席アナリストを務めるエリック・ハンセルマン氏と米IDCの調査ディレクターであるブラッド・ケースモア氏に予測してもらった。
OpenFlowをめぐる動き
2013年、SDN市場をめぐる話題の中心は、草分け技術である「OpenFlow」から離れたが、「2014年にはOpenFlowに対応したネットワーク機器が多数登場し、アーリーアダプターたちはネットワークの新規立ち上げや更新といったタイミングに合わせてSDN技術の検証を開始できそうだ」と専門家らは予測する。
「OpenFlowは機能と製品リリースの両面で大きく前進する可能性がある」とIDCのケースモア氏は語る。「マーチャントシリコン(汎用チップセット)が多数登場し、OEM各社は自社製品にそれを本格的に組み込み始めるだろう」
さらにケースモア氏は、2014年には一部のキャンパスネットワークでOpenFlowの導入が始まると予測する。初期のOpenFlowスイッチの多くはデータセンターでの利用を想定していたが、米Hewlett-Packard(HP)をはじめとする一部のベンダーはキャンパススイッチにOpenFlowを採用した。
Open vSwitch 2.0がOpenFlowとオーバーレイ
2013年秋に登場した「Open vSwitch 2.0」は、普及が進むオープンソースの仮想スイッチにマルチスレッド機能を追加する。451 Researchのハンセルマン氏によると、この新バージョンにより、Open vSwitchをベースとするOpenFlowの実装とネットワークオーバーレイの両方の拡張性が高まるという。
「Open vSwitchの実装の多くは、インスタンス作成の速度、つまり新しい環境をどれだけ素早く生成できるかという問題を抱えていた。これが問題になったのは一部の大規模なインプリメンテーションだけだったが、普及の妨げになったことは事実だ」とハンセルマン氏は指摘する。「Open vSwitchの実装はシングルスレッドのものしかなく、これだけで全ての新機能に対応してきたのだ」
ハンセルマン氏によると、Open vSwitch 2.0での拡張性の改善は、スイッチ上に実装されるOpenFlowのエージェントとして、あるいはオーバーレイ技術のエンドポイントとしてOpen vSwitchを利用する多数のSDNベンダーに影響を与えるという。これらのベンダーには、米VMwareのような主要プレーヤーに加え、米Pica8や日米欧に拠点を置くMidokuraといった新興企業も含まれる。
データセンターのオーバーレイは壁に突き当たる?
ネットワークオーバーレイは2013年に大きな関心を呼び、VMware、米Nuage Networks、米Juniper Networks、Midokuraなどのベンダーが製品を発表した。オーバーレイ技術は、高度に仮想化された環境で接続性とネットワークサービスのオーケストレーションと自動化という問題を解決した。「しかし、データセンター事業者の多くは2014年、オーバーレイ技術のみに依存したアプローチは困難だと思うようになるかもしれない」とハンセルマン氏は語る。
「オーバーレイはいずれ、基盤となるネットワーク構造の制約を受けるようになるだろう」とハンセルマン氏は言う。「今後も物理ネットワークの管理をしなければならないのが現実だ。オーバーレイでは最初に簡単なシステムからスタートし、必要な機器と資金の準備状況に応じて、より高度なシステムに移行すればよい」
「データセンター事業者は、物理ネットワーク上でダイナミックコンフィギュレーションとトラフィック管理を行い、それをアプリケーション層のオーケストレーションに連係する機能を求めるだろう」とハンセルマン氏は語る。
「基本的なインフラのオーケストレーションと自動化については大丈夫、というのが現在の状況だ。新しいサーバを配備するだけなら何の問題もない。しかし、認証機能付きの本格的なWebサーバを配備するという段階では、まだ手作業でしなければならないことがたくさんある」と同氏は説明する。
ぼやける境界線――M&Aの嵐で混乱するSDN市場
SDNが原因なのか結果なのかは分からないが、データセンター業界が極めて混沌とした状況を呈しているのは明らかだ。これまで1つのニッチ市場を確保することで満足していたベンダー各社が他の市場に参入し始めたのだ。VMwareは米Niciraを買収し、米Cisco Systemsが支配するネットワーキング分野に進出した。Ciscoはサーバの販売を開始し、古くからのパートナーであるHPとの関係にひびが入った。HPおよびその他のネットワーキングベンダー各社は、Ciscoから市場シェアを奪う手段としてSDNを捉えている。
「従来の同盟ベンダー間の競争が激しくなる一方で、SDN関連で大規模な合併や買収が活発化するだろう」とケースモア氏は予測する。同氏によると、2014年にはIT企業が大手ネットワーキング企業を買収する可能性があるという。「またソフトウェア企業がネットワーキング企業を買収すれば、SDNの“S”(Software)がさらに強調される形になるだろう」(同氏)
SDNのコンソーシアムと標準化団体に求められる共通理念
ケースモア氏によると、「OpenDaylight Project」は2014年、困難な課題に直面する可能性があるという。「料理人が多過ぎる」からだ。
「プロジェクトに参加している個々のベンダーを見れば、今のところ、OpenDaylightは各社の製品戦略の中心に据えられていない。この状況がどう変化するかは予想できない」とケースモア氏は話す。
OpenDaylightの最初のコードのリリースが遅れていることに関して、「寄贈された各種のコードをまとめるのに苦労しているからだ」と同氏は指摘する。この状況は2014年も続く可能性があるという。「OpenDaylightプロジェクトの共通理念を維持するのも容易ではなさそうだ」と同氏は語る。
「どんなコンソーシアムでも標準化団体でも、『そこに共通の理念があるか?』と私は問い掛けるようにしている。Open Networking Foundationの滑り出しが順調だったのは、通信会社や大手企業が確固とした共通理念を持っていたからだ。Open Compute ProjectやETSI(欧州電気通信標準化機構)のネットワーク仮想化技術NFV(Network Functions Virtualization)の場合も同様だ」(同氏)
NFVの快進撃
NFVはアプライアンスベースのネットワーク機能とサービスをx86システム上の仮想機能として提供することを目指した取り組みであり、2014年も快進撃を続けそうだ。
ハンセルマン氏によると、サービスプロバイダーはNFVを利用することにより、サービスモデルの変化に素早く適応できる可能性があるという。
「多くの企業が設備投資の削減を期待しているのに対し、通信企業各社は、機器のプロビジョニングサイクルを大幅に短縮できるという理由でNFVに関心を示している」と同氏は話す。「NAT(ネットワークアドレス変換)システムやIMS(IPマルチメディアサブシステム)ゲートウェイなど、広範な機器の機能を既存のx86システムで実現できるのであれば、柔軟性が大幅に高まる」
こうした柔軟性は、ベンダー各社がOSS(オペレーションサポートシステム)やBSS(ビジネスサポートシステム)をプロバイダーに売り込む上でもメリットになる。サービスを迅速に配備できるので、インフラの変化に応じて業務オペレーションを柔軟に対応させることが可能になるからだ。
「OSS/BSSはサービスの具現化に時間がかかることを前提としており、キャパシティーの動的な変化に対応できない。サービスを一時的に利用するユーザーに課金できないのであれば、プロバイダーはOSS/BSSの導入をためらうだろう」とハンセルマン氏は指摘する。
「しかしベンダーの間では、OSS/BSSの魅力を高める興味深い動きも見られる。エンドユーザーにフォーカスしたサービスの提供とOSSを連係することにより、ユーザーが1時間あるいは1日単位でプレミアムサービスを購入できるようにしているベンダーもある」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー